弱いつながりの強さ②
■ローカルブリッジ
前回触れたように、私たちの人間関係は「弱いつながり」です。「弱いつながり」では、ブリッジ(2つの点をつなぐ唯一のルート)が存在します。
「友人のAさんは、実は別の友人のBさんとも友達だった」とか「最近知り合ったCさんは、奥さんのお父さんの知り合いの息子だった」とかいったように私たちは多くの人と何らかの形でつながっています。下図は、こうした人間関係を擬似的に示したものです。
まずAとBの関係だけにフォーカスすると、破線の丸で囲まれたルートはブリッジのように見えます。しかしながら、ズームアウトすると、両者がつながるルートはそれ以外にも存在します(C、D、Eなどを経由して外側を迂回するルート)から、厳密に言えばブリッジは存在しません。
一方、AとBとで情報を伝達するためには、AとBを直接結ぶルートを使ったほうが圧倒的短く、早く効率的です。これはネットワーク全体での情報伝播についてもいえます。上図で言えば、AとBとをつなぐルートを活用することで、左右のルートから同時並行で情報を伝えることができるからです。
よって、このルートが使われるのが常態化し、やがてブリッジのように機能します。このようにネットワーク全体に情報を伝播させるためにブリッジのように機能するルートを、ローカルブリッジといいます。
■「強いつながりのネットワーク」と「弱いつながりのネットワーク」
実際の人間関係のネットワークには、弱いつながりも強いつながりもありますが、ここでは単純化して「強いつながりだけのネットワーク」と「弱いつながりだけのネットワーク」の2つを考えてみます。
これまで述べてきたように、強いネットワークではブリッジは乏しくなります。上図では3人以上が互いにつながった、いわば「閉じた」三角形が多くある状態で重層的です。
一方、弱いつながりのネットワークでは、ブリッジによって一辺が欠けたままの三角形がつながり合い、見た目でスカスカしています。
次回はこのうち弱いつながりのネットワークのほうが、幅広く・多様な情報が、遠くまでスピーディに伝播することを見ていきます。
【参考】
「ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年 12 月号」ダイヤモンド社