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対象人数が多いと関心を失う

■対象人数が少ないほど関心が高まる

 

「1人の死は悲劇だが、100万の死は統計に過ぎない」

 

旧ソ連の独裁者、ヨシフ・スターリンが言ったとか言わなかったとかされる言葉ですが、確かに私たちは対象の人数が多くなると、1人1人への関心は薄れ、単なる集合やデータとしか見なくなる傾向があります。

 

アメリカの心理学者フェザーストーンハウによる実験を紹介します。

 

「ザイールの難民キャンプでは水が不足していて、緊急の資金援助が必要になっている。その援助があれば、ある程度の水が確保され4500人が助かる。そのような事情があるので寄付をしてもらえないか」

 

難民キャンプの規模が1万1000人と被験者に伝えた場合と、25万人と伝えた場合、前者のほうが寄付の意思を示した人の割合が大きかったそうです。助けられる人数が同じであるにもかかわらず、母集団の人数が少ないほうが援助率が高かったのです。

 

同じような実験はいくつかあります。「小児ガンの子供を救うために30万ドルが必要なので寄付してもらえないか」とたずねた実験では、子供の数を8人とした場合よりも、1人とした場合のほうが、寄付に応じる傾向が強かったそうです。

 

 

■できるだけそれぞれの対象を具体化する

 

対象人数が少ないほうが共感を得やすいのは、1人1人を具体的にイメージしやすいからでしょう。テレビのワイドショーを見ていると、特定の事故の被害者に焦点があたり、同情を誘う演出がなされます。たとえば井戸に落ちた小さい子供や、隙間にはまって出られなくなった犬に対し、私たちは全力で助けて欲しいと思ったりします。

 

しかしながら、その一方で、もっと大きな問題である子供の貧困問題やペットの虐待問題に関心を払っている人はあまり多くはないのではないでしょうか?

 

対象人数が多くなると、具体性が薄まり、関心が弱まるという性質は、組織の管理や接客の上で、十分留意したい点です。従業員や顧客を1つの集団としか見ない結果、従業員の本音や顧客の嗜好を読み間違えるリスクがあります。できるだけそれぞれの対象を具体化することが求められます。

 

 

【参考】

『あなたの部下は、なぜ「やる気」のあるふりをするのか』釘原直樹著 ポプラ社

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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