fc2ブログ

弱いつながりの強さ④

■弱いつながりを多く持つほうが創造的な仕事ができる

 

ここまで仕事などの自分の転機となるような情報や、自分の見方を変えるような情報は、弱いつながりのネットワークからもたらされる可能性が高いことについて述べてきました。

 

ビジネスパーソンに求められる能力の1つとして、「自分から離れた遠くの知識を幅広く探索して、それを自分が持つ知識と組みあせて新しい知識を生み出すこと」があります。この知の探索に有利なのが弱いつながりのネットワークです。

 

このことは多くの研究成果でも明らかにされています。エモリー大学のペリースミスは、米研究所の研究員97人を対象とした調査で、「弱い人脈を多く持つ研究員のほうが、創造的な研究成果を出しやすい」果を得ました。また農産加工品企業238人を調査した別の研究でも、「弱いつながりを多く持つ従業員のほうが、創造的な成果を生み出しやすい傾向がある」ことを指摘しています。

 

「とにかく人脈を作れ」とはよく言われますが、確かに実証的にも正しいようです。ただよく見られるように、とにかく名刺をばらまくだけではだめでしょう。それは「弱いつながり」にさえもなっていないからです。強固な関係でなくてもよいので、ある程度は話せる間柄にはしておかないと「弱いつながりの効用」は得られないでしょう。

 

 

■企業のイノベーションも弱いつながりが大事

 

「弱いつながりを多く持つほうが、創造的な成果を生み出しやすい」ことは、企業間の連携でもいえます。

 

カーネギーメロン大学のクラッカードとトロント大学のロウリーの、半導体メーカー66社による132のアライアンスの調査では、「共同開発・技術ライセンスなど、両社のコミットメントが弱くて済むタイプの提携を多く持つ企業ほど、事後的な利益率を高める傾向がある」ことが明らかになりました。

 

 

■様々な分野で応用される「弱いつながりのネットワーク」理論

 

ちなみに「弱いつながりのネットワーク」理論は、知識や情報の伝播だけでなく、様々なものに応用されています。

 

昔の社会では、閉鎖的なネットワークが個別に存在していました。交通手段が少なく、ネットワーク間の移動は極めて限定的でした。一方、現代のように交通手段が発達し、自由に人やモノが行き来する社会は、弱いつながりのネットワークです。

 

ここである感染症が発生したとします。昔ならそれは特定のネットワーク内にとどまりますが、現代の弱いつながりのネットワークでは、爆発的に広まることになります。パンデミックの発生です。

 

またクチコミがどのように伝わるのか、それをどうマーケティングに活かすのかの研究もさかんです。今までまったく売れなかったものが、何かの拍子に爆発的に売れ出すことがありますが、その背後にも「弱いつながりのネットワーク」があるのです。

 

【参考】

「ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016 12 月号」ダイヤモンド社

 

スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR