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直感の力

■システム1とシステム2

 

行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは、「人の脳では、外部からの刺激に対して、大きく2種類の意思決定の過程(システム)が同時に、異なるスピードで起きる」メカニズムを明らかにしました。

 

<システム1>

ある外的な刺激を受けた時に、「早く、とっさに、自動的に、思考に負担をかけずに、無意識に行われる意思決定」のことです。要は直感です。

 

<システム2>

ある外部刺激を受けた場合に、「時間をかけて、段階的に、思考をめぐらせながら、意識的に行う意思決定」のことです。要は論理的思考です。

 

人間は、いちいち時間をかけて意思決定しているわけには行きませんから、直感に頼りがちです。しかしながら、考えずに直感に頼ると、当然、失敗することが多いです。よって、一般的にはシステム2(論理的思考)が望ましいとされます。

 

 

■直感のほうが優れた意思決定ができるケース

 

しかしながら、直感のほうが論理的思考よりも正確な将来予測が出来る場合があります。その条件は、次の3つです。

 

  直感が豊富な経験に裏付けられている場合

玄人の勘であれば、それは優れた意思決定になりえます。ベテランの消防隊長は、危険の兆候を直感で上手く察知し、意思決定します。豊富な経験を持ったキュレーターであれば、すぐに作品の真贋を見分けます。彼らはうまくいった理由を聞かれても、「よくわからないが感じた」と答えます。

逆に素人であれば、論理的思考に頼ることが大事です。

 

  過去に同じ事象が起きた数が少ないこと

論理的に意思決定しようとすると、数多くの類似ケースを集めて確率的に分析することになります。サンブル数が多いほど、それぞれのバラツキが相殺され、おおよそ平均的な結論や確率に収まることになります。これを大数の法則といいます。

たとえば、コイントスを3回したら、すべて表といった極端な結果もわりと出やすいでしょう。しかしながら、100回もやればおおよそ表が出る確率は50%に収まるはずです。

過去に同じ事象が起きた数が少ない場合、集められるサンプル数が少なく、結果にバラつきがあります。よって、あまり標準的な結論を得にくいのです。論理的に考えようとすると、特定のサンプルの結果に引っ張られて偏った判断をしてしまうのです。

 

  環境の不確実性が高いこと

豊富なサンプルがあっても、環境が変化してしまえば、それらは論理的な分析に使えないことになります。よって、この場合は直感に頼ったほうがよいことになります。

 

イノベーションや起業のように、不確実性が高く、前例のないことに取り組む場合には、直感のほうが大事なわけです。

 

 

【参考】

『ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016 9 月号 イノベーションのジレンマ』ダイヤモンド社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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