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プラシーボ効果⑤(劣等感の心理)

プラシーボ効果は、思い込みによるものです。「病は気から」というように、思い込みは必ずしも悪いものではありませんが、劣等感の原因にもなります。今回はステレオタイプ的な思い込みが行動にどう影響するのかを見ていきたいと思います。

 

■人種のステレオタイプの影響

 

「黒人は白人に比べて知性が劣る」というステレオタイプがあります。

 

スタンフォード大学で、黒人と白人の学生を大量に集め、同じ試験を受けさせる実験をしました。試験内容は同じですが、試験の趣旨説明は2つ用意しました。1つは、「知性の高さを測る試験」であると説明し、もう1つは「科学研究の資料にするための試験」であると説明したのです。

 

後者の説明文を読んだ場合、黒人と白人の学生の成績に違いは見られませんでした。しかし、まったく同内容の試験にもかかわらず、「知性の高さを測る試験」だと言われると黒人学生の点数は白人学生に比べて明らからに低くなりました。

 

研究者は、「黒人は白人に比べて知性が劣る」というステレオタイプに影響されたのではないかと考えています。

 

人種のステレオタイプのイメージの影響は、たとえその人が優秀であっても逃れることができません。

 

一般的に「アジア人は数学が得意」というステレオタイプがあります。同じくスタンフォード大の数学の成績が優秀な白人学生に、SAT(大学進学適性試験)の数学を受けさせる際に、事前に「数学では、どの民族もアジア人には敵わない」と告げると、成績が大きく下がりました。

 

 

■情報の与えられ方によってパフォーマンスが変わる

 

もう少し複雑なケースを見てみます。先に挙げたように、「アジア人は数学が得意」というステレオタイプがあり、それとは別に「女性は数学が苦手」というステレオタイプがあります。それでは、アジア系の女性はどちらにより影響を受けるのでしょうか。

 

アジア系のアメリカ人を集めて数学の試験を受けさせた実験があります。1つめのグループには、「家族はアメリカに住み始めて何世代目ですか」と自分の民族的出自を強く意識させる事前アンケートをしました。2つめのグループには、「家庭は男女同居ですか。それとも女性のみですか」という自分の性別を意識させる事前アンケートをしました。3つめのグループには何も事前アンケートはありませんでした。

 

結果は、アジア人であることを意識されたグループが最も成績がよく、女性であることを意識されたグループが最も成績が悪かったのです。

 

つまりプライミング(先行情報の与えられ方)によって、影響されるものが異なるのです。ネガティブなステレオタイプのせいできることができなかったり、ポジティブなステレオタイプによって実力以上のことができたりする可能性もあります。

 

 

【参考】

『「期待」の科学 悪い予感はなぜ当たるのか』クリス・バーディック著 CCCメディアハウス

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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