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プラシーボ効果⑥(劣等感の呪縛を解くには)

ステレオタイプの悪影響を明確に否定する

 

ステレオタイプの悪影響は、それによって生じている不安の存在に気がつくだけでも大きく軽減されることが、2009年の実験結果でわかっています。

 

「女性は数学が苦手」というステレオタイプがあります。この実験ではこれは統計学入門の授業をとっていた学生に数学の文章問題を解いてもらうという実験です。まず学生を3つのグループに分けました。

 

・1つめのグループには、事前に「性別によって数学の能力に違いがあるかを調べるための実験」と告げておく。

・2つめのグループには、事前に「あくまで人間の認知能力についての研究の一環であり、数学のテストではない」と告げておく。

・3つめのグループには、「これは数学のテストである」とはっきり告げたあと、「女性は数学が苦手だというステレオタイプがあるが、それはこのテストの出来不出来には一切関係がない」という。

 

結果は、1つめのグループでは、女性の成績が男性に比べて大幅に悪くなりました。これは、「女性は数学が苦手」というステレオタイプの罠に自らハマってしまったといえます。

 

しかし2つめ、3つめのグループでは、男女で大きな成績の違いは見られませんでした。ステレオタイプについて一切意識させなかった場合、そして反対にステレオタイプについて詳しく触れたあとで悪影響を明確に否定した場合には、成績低下を防げたということです。

 

3つめのグループでは、詳しい説明を聞いたことで、女性たちが自分の不安を客観視でき、影響が抑えられたと考えられます。

 

 

■不安と向き合う

 

ちなみに不安を客観視することで不安を克服できるという研究成果もあります。

 

高校生を対象に試験前の10分間時間を与え、その試験にどのような不安を抱えているか文章に書かせると、書かせない場合よりも、点数がよくなったそうです。

 

GRE(大学院進学適性試験)の模試を受験する大学院生を対象に、「緊張感や興奮によって手に汗をかいたり、胃が痛んだりするのは良い兆候。そういうときは良い成績が取れることが多い」と告げると、数学の成績が格段によくなったそうです(言語系の試験ではかわりませんでしたが)。

 

また、黒人の中学生を対象にした実験では、試験を「自分の能力が測られる機会」ではなく、「挑戦すべき課題」と捉えるようにいうと、ステレオタイプの脅威を回避するのに十分効果があることが確認されています。

 

否定的なステレオタイプによって不安が生じたら、それは良い方向に進むためのエネルギーとなると考えるべきなのです。

 

私が担当している中小企業診断士の2次試験が10月21日にありますが、受験生の方にも是非試して頂きたいです。

 

 

【参考】

『「期待」の科学 悪い予感はなぜ当たるのか』クリス・バーディック著 CCCメディアハウス

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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