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雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断1月号」が発売されました。

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今回のテーマは、「果たして2019年にデフレからの脱却は実現するか?―インフレになるという人々の予想が実際の経済を動かす」です。

 

本稿執筆時の消費者物価指数は,「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」で0.4%(2018年9月)であり,物価上昇率目標2%に遠く及びません。消費者物価指数は上方に0.5~1%程度ブレる傾向があることを踏まえると,実際にはまだデフレの状態とさえいえます。

2013年4月以降,日本銀行(日銀)の量的・質的金融緩和が行われているにもかかわらず,なぜ物価は上昇しないのでしょうか。その理由と2019年の物価上昇の展望について,計量経済学のLSTARモデル(平滑推移モデル)を使って考察してみました。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。


今年1年ありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 





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デフォルト設定

前回、売り手はデフォルト設定(初期設定)を上手く行うことで売上や利益を高められることについて触れました。今回はその続きです。

 

■臓器移植の意思は初期設定に従う

 

臓器提供の意志のある人の割合は、国によって大きな差があります。ドイツは12%程度に対しフランスはほぼ100%です。隣国同士なのに、なぜこんなにも差があるのでしょうか?

 

答えは臓器移植の意思表示カードの違いにあります。臓器提供の意思が高い国のカードは「臓器提供プログラムに参加を希望しない人はチェックしてください」(オプトアウト方式)、低い国のカードは「臓器提供プログラムに参加を希望する人はチェックしてください」(オプトイン方式)と記載されていたのです。つまりデフォルト設定の違いなのです。

 

 

■デフォルト設定をマーケティングに活かす

 

アメリカとイタリアで、ピザに追加のトッピングをする方法(デフォルト設定はトッピングがない)と、すべてのトッピングから削除していく方法(デフォルト設定はすべてのトッピングあり)で結果的にどちらが多くのトッピングが選ばれるかを比べました。結果は、トッピングを減らしていくほうが増やしていくよりもトッピングの種類は2倍になりました。

 

自動車の実験でも同様の結果が得られています。①オプションをフル装備した車から不要なオプションを取り除く場合と、②標準装備の車にオプションを加える場合を比較すると、①のほうが車体価格は高くなりました。

 

これは追加していく場合は価格の上昇に目がゆきますが、削除していく場合は費用の低下が強調されるからです。少しオプションを追加しただけでものすごく費用が増えたと感じる一方、少しオプションを取り除いただけで、「十分節約になった」と勘違いするというわけです。

 

よって、売り手としては、構成要素や特性の多い商品を用意し、そこから不要なものを顧客に減らしてもらうようにすれば、結果的により高く売れるということになります。

 

 

【参考】

『潜在意識マーケティング6つの心理戦略』フィル・バーデン著 ダイレクト出版

顧客に説得力をもたせる3つの原則③(確実性)

私たちは、安全で確実な選択肢を選びます。すなわち「確実に価値が得られるか」「追加の費用はないか」「誤った買い物ではないか」です。買い手側としては、これを利用することができます。

 

■希少価値

 

人間には生まれつき「希少なものを高く評価する」という性質があります。よって売り手側は希少性をアピールすることで購入増加につなげることができます。

 

キャンベルスープの例を取り上げます。

12%オフ⇒平均購入数3.3缶

12%オフお1人様4缶まで⇒平均購入数3.5缶

12%オフお1人様12缶まで⇒平均購入数7缶

 

購入制限を設けることで希少性を高め、購入につなげた例です。

 

 

■定額料金バイアス

 

定額制よりも利用に応じた料金のほうが多くの場合利用者にとって安上がりなのですが、なぜ定額料金が好まれるのでしょうか。それは消費者が確実性を好むからです。予期せぬ想定外の追加費用を避けるために定額料金を選択するのです。売り手側からすれば定額制を要しておくほうが儲かることになります。

 

 

■社会的証明

 

「多くの人と同じことを選択する」という社会的証明も、消費者の確実性を好む性質の表れです。他人と同じものを選べば損はない、多くの人が選んでいるのだから損はないだろうというわけです。よって、売り手は自社商品が多くの人に選ばれていることをアピールします。

 

 

■デフォルト設定

 

デフォルト設定(初期設定)のままにするのも消費者のリスク回避といえます。デフォルト設定はおそらく多くの人にとって便利な設定なのだろうという思い込みがあります。よって、滅多にデフォルト設定を変えようとしません。売り手側はそれを利用することができます。

 

たとえば、2007年、アメリカのタクシーで料金のクレジットカード払い受け入れが義務化された際に、チップ料金のタッチスクリーンシステムが導入されました。チップ料金は、20%、25%、30%のいずれかを押す設定(デフォルト設定)になっていました。その結果、タッチスクリーン導入前は平均10%のチップだったのが、導入後には22%に上昇したのです。

 

【参考】

『潜在意識マーケティング6つの心理戦略』フィル・バーデン著 ダイレクト出版

顧客に説得力をもたせる3つの原則②(即時性)

■「報酬は直ちに」「費用は先延ばしに」

 

私たちの思考システムは、目前にあるものや、その瞬間に知覚できるものに強く作用され、将来的に知覚できるものは意思決定に影響されにくいです。時間的・物理的な距離があれば、価値や費用は少なくなります。

 

たとえば商品の現物を見せるのとそうではないのと(画像や文章での説明のみ)では、前者のほうが60%売上が高いという実験データもあります。また、現物をアクリルケースに入れてすぐに手に取れないようにすると、支払う金額は少なくなります。

 

顧客に自社商品を買わせるためには、顧客に「報酬は直ちに」「費用は先延ばしに」感じさせるとよいということになります。

 

典型例は、分割払いでしょう。「商品は先に支払いは後で」というわけです。また何かキャンペーンを打つ場合(たとえば限定商品やクーポンが当たる)も、応募者を待たせずに商品がもらえるように工夫すれば、応募者数が増えるかもしれません。

 

 

■双曲割引

 

「将来の価値を現在の価値に換算するときに、将来の価値から大幅に割り引いて考える」ことを、行動経済学では双曲割引といいます。

 

これによれば、将来得られる便益の大きさは現時点ではかなり小さく見えますし、将来被るコストや損害も現時点では些細なことに思えてしまいます(逆にいえば、現時点でのコストはかなり大きく感じてしまいます)。遠近法で目がかすむというわけです。

 

双曲割引は「浪費グセ、喫煙や運動不足がなぜやめられないか」の説明でよく用いられます。「タバコをやめる」「運動する」の将来の価値は本来は大きいのですが、現時点ではかなり小さく見えます。一方、2つとも現時点でのコスト(犠牲)は大きく見えるので、今の悪癖はやめられなくなるというわけです。

 

価値やコストの評価は将来と現時点で異なることも認識する必要はありますが、正しい割引を行わないと誤った結論になりかねません。

 

 

【参考】

『潜在意識マーケティング6つの心理戦略』フィル・バーデン著 ダイレクト出版

顧客に説得力をもたせる3つの原則①(明確性)

■説得力の3つの原則

 

顧客の購買意思決定は合理的なものではありません。経験のもとづいて直感的に自動的にモノを買います。こうした顧客に自社の商品やサービスを説得力を持って説明するためには、次の3つの原則があります。

 

明確性:この直感的な経験則を引き出すためには、明確で知覚しやすいシグナルが欠かせません。

 

即時性:顧客の自動的な思考システムは将来の報酬よりも目先の報酬を高く評価します。

 

確実性:自動的思考システムは安全で確実な選択肢を選びます。

 

また、顧客は商品・サービスに感じる価値とコストの2つの観点から購買を決定します。3つの原則を価値とコストの両方に働きかける必要があります。

 

 

■価値の明確性

 

完成した姿を提示することが例です。完成した姿を見せることで、価値を明確に示すことができます。

 

たとえばレゴは、キットの入った商品箱を店頭にあるスクリーンにかざすと完成した姿が浮かび上がります。

 

アパレル商品では、店頭のマネキンやトルソーにコーディネートがディスプレイされていますが、これも価値の明示です。バーチャル上の試着もこの例です。

 

古典的ですが、美容・健康食品やダイエットグッズで、使用前と使用後を見せるのも同様です。

 

 

■コストの明確性

 

顧客は、購買や使用に当たり、何らかのコストを負担します。それは代金であったり、使い方を覚える手間であったり、損するかもしれないという不安であったりします。こうした顧客のコストを、明らかな形で軽減できることを示せれば大きなアピールになります。

 

たとえば、みなさんが運動不足の解消のためにスポーツジムへの入会を考えているとしましょう。自分としては、本当に続けられるのか不安です。ジムの利用料は次の2つだとします。

 

・年会費12万円を前払いで一括で払う

・月会費1万円を毎月払う

 

人は費用を払ったらもとを取ろうとします。この観点でいえば、ケースバイケースですが、どちらかといえば後者のほうがよいでしょう。毎月の支払いで費用を明確にすることができ、ジムを利用しようと思うからです。

 

ジムへの入会は多くの人にとっては、一念発起のことですから、まとめて年会費を払ってしまうことが多いと思います。しかし、初めにまとめて払ってしまうと、時が経つにつれて、費用として明確に意識できなくなり、「まあ、そのうち通ってもとを取ればいいだろう」ということですぐに通うことを選択しなくなる恐れがあります(もっとも12万円も払ったのだからと最初から熱心に通うことはありえますが)。

 

売り手側はえてして顧客の費用をわかりにくくして売ろうと考えがちですが、顧客が追加のコストに不安を感じているのであれば、あえて費用を明確にすることもありです。

 

【参考】

『潜在意識マーケティング6つの心理戦略』フィル・バーデン著 ダイレクト出版

他人事のように考えて行動する

つい先日、私は仕事でミスをしてしまいました。ミスに気づくと混乱してしまい、上役に当たる方の指示を求めてしまいました。後で振り返ると、指示を求める前に自分でもう少し上手く対処できたように感じます。

 

エバン・ポルマンとカイル・J・エミックの実験をご紹介します。

 

Aグループの被験者

ある囚人が塔の上から逃げようとしている。ロープを見つけたが、ロープは安全に地面に降りられる長さの半分しかない。「どうするか?」という問題を出した。

Bグループの被験者

囚人であるあなたは塔の上から逃げようとしている。ロープを見つけたが、ロープは安全に地面に降りられる長さの半分しかない。「どうするか?」という問題を出した。

 

結果は、Aグループの34%が、Bグループの52%がすぐに答えを出せませんでした。

(答え:ロープを縦に切って結び合わせる)

 

つまり、自分が直面している問題よりも、他人が直面している問題のほうが、答えを見つけやすいのです。

 

「なぜ人のことはアドバイスできるのに、自分のことになると判断できないのだろう」と思うことはよくあります。そんなときは、自分のことを他人事のように考え、「自分にアドバイスをしてあげる」という姿勢で臨みましょう。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

意思決定のOOCEMR

意思決定の観点にOOCEMRというものがあります。

 

Outcome:得たい結果を明らかにすること

 

人は何かを決定する場面に置かれると、決定という行為そのものに目が奪われ、どんな結果を得たいのかを忘れてしまいます。本来の目的・結果に沿って見据えることが大事です。

 

 

Option:選択肢を出し続ける

 

できることの選択肢を増やし続けることは、それだけ問題への対処能力を上げることになり、周囲への影響力を増すことになります。差し迫った事態になるまえから、色々なスキルや知識を身につけておけば、経験のない事態に遭遇しても対処しやすくなるでしょう。困ったときからでは遅いということですね。

 

 

Consequence:とにかく結果を出すこと

 

何もしなければ結果は得られません。結果がなければ、判断や行動が正しかったのか検証することができません。とにかく行動してみて学習するというサイクルを早めることが大事です。

 

 

Evaluate:結果を評価すること

 

行動から得られた結果を評価し、それが得たい結果にどれだけ近づいていたか評価するということです。

 

 

Mitigate:マイナス面を減らすこと

 

いま選択していることのデメリットを減らすことができないか、みんなで検討します。

 

 

Resolve:締切を作ること

 

締切を作ることで意識を集中することができ、効率性が高まるということです。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

自律性が健康に与える影響

モチベーション理論の1つである内発的動機づけ理論(モチベーションの要因を自分の内側に求める理論)では、「有能さの欲求」「関係性への欲求」「自律性への欲求」を重視しますが、このうち最も重要視されるのが「自律性への欲求」です。

 

ここで、ハーバード大学の実験をご紹介します。

 

実験A

被験者である老人ホームの入所者に観葉植物を配ります。

Aチームの老人:自分で植物の世話をしてもらう。

Bチームの老人:職員が植物の世話をしてもらう。

結果は、半年後にAチームは15%の人が亡くなり、Bチームは30%に人が亡くなりました。

 

実験B

学生が定期的に老人ホームを訪問します。

Aチームの老人:学生の次の訪問日と滞在時間を自分で決めてもらう。

Bチームの老人;学生が次の訪問日と滞在時間を告げる。

2ヶ月後、Aチームは健康で活動的で、薬の服用量が少なくなりました(ただし、実験終了の数ヶ月後、死亡者数が極端に増えました。これは、自己決定権を失ったからと考えられます)。

 

 

自分でコントロールできることがあると、幸せで、健康的な生活を維持できます。これは、普段の仕事の場でも意識したい点です。人から命令されて仕事をするのは、気が進まないものです。自分に回りそうだと感じたら、進んで手を挙げましょう。どうせやるにしてもかなり気分が違うはずです。

 

また、他人に何か頼むときも、命令口調ではなく、「してもらえないだろうか」と依頼口調になれば、相手としては選択権(自律性)があるように感じられ、不満なく受け入れられる可能性が高くなります。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

緊張感とのうまい付き合い方

■「落ち着こう」とするより「興奮状態だ」と認めたほうがパフォーマンスがよい

 

ハーバード・ビジネス・スクールの実験をご紹介します。

 

被験者である学生たちに2分間スピーチをしてもらいます。緊張している学生たちに次のようなアドバイスをします。

 

Aグループ

スピーチの冒頭に「私は落ち着いています」と言うように伝えました。

Bグループ

スピーチの冒頭に「私は興奮しています」と言うように伝えました。

Cグループ

何も伝えず普通にスピーチを始めてもらいます。

 

結果は、AチームとCチームのスピーチには目立った差が見られませんでしたが、Bチームは平均して27秒長くスピーチしました。

またスピーチ後に、観客から説得力・自身について100点満点で評価してもらったところ、説得力について平均17点、自信については平均15点高くなりました。

 

つまり、気持ちが高ぶっているときは、「落ち着こう」とするよりも、「これは興奮状態だ」と認めたほうがパフォーマンスが高くなる傾向があるのです。

 

 

■緊張感をポジティブに利用する

 

人は緊張すると、深呼吸したり、手や首を回したりして、何とか緊張を和らげて落ち着こうとします。しかし「落ち着こう」という意思は、「力を発揮しよう」という意思と、反対方向に作用し、結果的にミスを誘発してしまったり、パフォーマンスが中途半端なものとなりがちです。

 

緊張という状態は無理になくそうとせず、ポジティブな方向にどんどん盛り上げた方が恐怖を消しやすくなります。

 

人に対しても、または自分に対しても、「なんかすごいことが起きそう」「ワクワクしてきた」などといった言葉を使うだけで。緊張が興奮に変換されるのです。

 

その瞬間、意識のフォーカスが、「失敗する不安」から「今やるべきこと」に向き、周囲があっと驚くようなパフォーマンスをもたらすのです。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

最初に発言した人がリーダーになる?

■最初の発言者がリーダーになりやすい

 

カリフォルニア大学の実験を紹介します。

 

お互いを知らない学生同士を集めて、4人ひと組のグループを10個作り、チーム内で数学の問題を解いてもらいます(その様子は録画されています)。

 

Aチームの学生

それぞれのチーム内でリーダーを決める。

Bチームの学生

録画を見るだけの、野次馬として「誰が各グループのリーダーにふさわしいか」を選んでもらう。

 

結果は、両チームともリーダーに選ばれたのは同じ人物でした。選ばれた人物の特徴は、数学の能力が高い人ではなく、共通して一番最初に発言した人でした。ちなみに、グループで出した答えの94%はリーダーが最初に提案した答えでした。

 

最初に発言した人は、発言力が高まりやすく、リーダーにもなりやすい傾向があるのです。

 

 

■能力がない人がリーダーになる罠

 

 

しかしながら、このことはよくよく注意する必要があります。なぜなら、この場合、リーダーは最初の発言者にすぎず、必ずしも能力がある人ではないからです。

 

最初の発言者がリーダーになってしまうのは、他の人々がリーダーの責任を負いたくないという傍観者を決め込むからという面があります。したがって能力がない人がリーダーになると、議論が誤った方向になっても誰も修正せず、意思決定も不適切なものとなる恐れがあります。リーダーにならずとも、客観的に判断する積極性は持ちたいものです。

 

 

【参考】

『図解 モチベーション大百科』池田貴将著 サンクチュアリ出版

バフェットの教え③

<キャリア>

「歴史書が成功へのカギだと言うのなら、フォーブス400社はすべて図書館司書で占められることになるだろう。」

実践から得られた知恵が大事ということですね。

 

「我々が歴史から学ぶべきなのは、人々が歴史から学ばないという事実だ。」

バフェットや読書の効用を否定しているわけではありません。「川を上り、海を渡れ(歴史に学び、海外の事例を参照せよ)」という言葉がありますが、多くの事例を知り、糧にしたいところです。

 

「最も重要なのは、自分の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかだ。」

バフェットは、どんなに新規性があって有望と思われても、決してIT関連企業には投資しませんでした。それは自分がITに関して知らないかったからです(※2011年よりIBMへの投資を行い、近年はアップル株を大量保有しています)。戦略論の大家であるマイケル・ポーター(ハーバード・ビジネス・スクール教授)は、「戦略とは何をやらないかを決めることである」という名言を残していますが、それと同じ趣旨ですね。

 

「薬を売った量に応じて報酬が増減する医者のところに、誰が行きたがるだろうか。」

「助言者を選べ」ということとともに、事業者は「相手の価値に貢献し、それに対して対価を得るという姿勢を持て」ことです。

 

「地下鉄で通勤している連中の助言を、ロールスロイスで乗りつけてきた連中が有難く拝聴するような場所は、ウォール街以外には存在しない。」

上と同趣旨です。それほど有難い助言なら、なぜ証券マンは全員金持ちになれないのでしょう?彼らは「顧客を儲けさせること」が仕事ではなく、「金融商品や情報を売ること」が仕事なのです。

 

「習慣という名の鎖は、抜け出せないほど重くなるまでは、軽すぎて存在を感じることができない。」

単に「これまでそうしてきたから」というだけでやっていることが多い気がします。無駄なことはさっさとやめましょう。

 

「名声を打ち立てるには一生かかるが、台無しにするには5分とかからない。」

あまりにお粗末な失態で、キャリアを台無しにする著名人は後を立ちませんね。有名になると気が緩むのでしょうか。

 

「トラブルから抜け出すよりも、トラブルを避ける方が簡単だ。」

トラブルの多くは事前のプランニングのまずさが原因です。プランニングの手間を省く方が多いですが、後の混乱の対処の苦痛と比べれば大したことではありません・

 

【参考】

「ウォーレン・バフェット 成功の名語録」桑原晃弥著 PHP研究所

「バフェットの教訓―逆風の時でもお金を増やす125の知恵」メアリー バフェット、デビッド クラーク著 徳間書店

バフェットの教え②

<意思決定>

「時代遅れになるような原則なら、原則ではない。」

私たちは何かあると勝手な理由をつけて自分の行動を正当化してしまいます。また、違う状況になると、悩み右往左往してしまいます。しかし原則に忠実な方は態度も自信にあふれています。そのような行動を心がけたいものです。

 

「ビジネスの世界で最も危険な言葉は、『他の誰もがやっている』だ。」

人の提案を聞いていると、「みんなやっているから」という理由が多いです。しかしそれは都合がいい方便にすぎません。私たちは流行りものに流されがちですが、本当にそれが目的に適うものか、よく吟味したいところです。

 

「リスクとは、自分が何をやっているか、よくわからない時に起こるものだ。」

本当は決めないといけないのに、リスクと称して決められない(決めない)のは、逃げ口上にすぎません。リスクの原因を作っているのは、自分かも知れないのです。

 

「まだ判断のしようがない事柄について、あれこれ考えて時間を無駄にすることは避けるようにしている。判断というものは、5分で容易くできるものだ。」

私のような凡人がうかつに信じると怪我をしそうです。一万時間の法則というものがあります。これは「どのような分野でも、天才になるには一万時間の練習が必要だ」というものです。長年、投資の世界で生き抜いてきたバフェットならではの言葉でしょう。

 

「予測が教えてくれることは、未来のことではなく、むしろ予測者のことである。」

テレビの識者の主張や、営業マンのアピールには、必ず背後に理由(ポジションやメンツ、金銭的な見返り)があります。相手の行動の背景を知った上で判断しましょう。

 

「ビジネススクールでは単純な行動を取るより、複雑で困難な行動をとったほうがお褒めにあずかれる。しかし、効果が高いのは前者である。」

やたらデータを持ち出して説明したり、小難しい話をする人は要注意です。データや理論に酔っています。シンプルな疑問をぶつけてみましょう。

 

「ミスを犯さない人には意思決定はできない。」

行動しなければ学習は得られません。野村監督の「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」ではないですが、失敗からこそ学ぶことができます。

 

「リーダーから発せられた業務上の要望は、たとえいかに愚劣なものであろうと、取り巻き達が用意したデータによって、すばやく支持される。」

リーダーが心得ておきたい言葉です。

 

「市場が効率的なら、私はいま街頭で物乞いをしているだろう。」

効率的市場仮説とは、現在の株価は、将来に対するあらゆる情報を織り込んだ上で形成されており、世間にある情報をもとに恒常的に利益を上げることはできないという考え方です。つまり、投資家の付け入る好きがないほど資産市場は完璧だというあくまで理論上の話です。この言葉を拡大解釈すると、世の中は理論どおりに動かないくらい非効率なので、人々の努力の余地があるということでしょう。

 

【参考】

「ウォーレン・バフェット 成功の名語録」桑原晃弥著 PHP研究所

「バフェットの教訓―逆風の時でもお金を増やす125の知恵」メアリー バフェット、デビッド クラーク著 徳間書店

「天才! 成功する人々の法則」マルコム・グラッドウェル著 講談社

バフェットの教え①

ウォーレン・バフェットをご存知でしょうか。現在、世界第3位の資産家です。株式投資家にとって、教祖的な存在で、投資会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めています。長期投資を基本スタイルとし、長期間に渡ってバークシャー・ハサウェイに高い運用成績をもたらし、その質素なライフスタイルと相まって、敬愛の念を込めて「オマハの賢人」と呼ばれています。

バフェットは自己宣伝的な自伝や指南書はまったく書かない人ですが、講演やインタビューなどを通じてウイットが効いた多くの名言を残しています。

 

<企業の見極め方>

 

「まずまずの企業をすばらしい価格で買うよりも、すばらしい企業をまずまずの価格で買うことのほうがはるかによい」

言っていることは極めて当たり前のことですが、カリスマがいうと重みが違いますね。企業の買収や株式投資を見ていると、イメージだけが先行し、実態が伴わない企業を高値で掴まされるケースが多く見られます。地味だけどキラリと光る企業を発掘して投資をし、育てるのがバフェット流です。

 

「私なら、株を買うなら、どんな愚か者にも経営を任せられる優れた会社の株を買いたいと思うだろう。なぜならいつかは愚かな経営者が現れるからだ。」

企業とは組織でありシステムであることを示す至言だと思います。

 

「事業の多角化は、無知を隠す1つの手段である。」

特に成熟産業の企業が、苦し紛れに新規事業を始めると大抵は失敗します。安易な新規事業は既存事業の失敗を認めているようなものだということはよく認識したいところです。

 

【参考】

「ウォーレン・バフェット 成功の名語録」桑原晃弥著 PHP研究所

「バフェットの教訓―逆風の時でもお金を増やす125の知恵」メアリー バフェット、デビッド クラーク著 徳間書店

雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断12月号」が発売されました。


企業診断12月_ 


今回のテーマは、「リーマン・ショックから10年――恐慌からの脱出法について考える」です。

 

少し前ですが、2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの経営破綻から今年で10年が経つということで,新聞各紙でも特集記事が組まれていました。

 金融恐慌は資産バブルの崩壊で生じます。元FRB(米国の中央銀行に当たる連邦準備制度)議長のグリーンスパンが言うように,バブルは「はじけてみなければわからない」というのが実態であり,それを予測する客観的なモデルが確立されているわけではありません。しかしながら,恐慌からの脱出方法は長年の経験則から,徐々にではあるが明らかになりつつあります。

 今回はリーマン・ショック後の各国の経済政策や、1929年の世界大恐慌の経験を踏まえ,恐慌からの脱出法について考えてみました。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。

 


プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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