fc2ブログ

物価は人々の予想で決まる①

 

現時点で消費者物価指数は、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」で0.3%(201812月)であり、物価上昇率目標2%に遠く及びません。消費者物価指数は上方に0.5~1%程度ブレる傾向があることを踏まえると、実際にはまだデフレの状態とさえいえます。

2013年4月以降、日本銀行(日銀)の量的・質的金融緩和が行われているにもかかわらず、なぜ物価は上昇しないのでしょうか。

 

根強いデフレマインド

 

日銀が量的金融緩和を行い、失業率も歴史的な水準にまで下がっているにもかかわらず、なかなか物価が上がらない理由として指摘されるのが、根強い人々のデフレマインド(デフレレジーム)による消費の低迷です。

 

消費性向(所得に占める消費の割合)は2014年の消費増税から半年ほど後の2015年初めから低下し続けています(76%弱から71%弱に)世帯主の消費支出等の伸び率(2013年から2017年の平均)でみると、勤労者世帯では2050歳代までのすべての層で消費性向が低下しています。これは将来に対する根強い不安によるものと考えられます。

 

特に興味深いのは、20歳代の貯蓄率が顕著に高まっていることです(7.9%の上昇)。よく「最近の若者は物欲がない」と言われるが、奇しくもデータでも裏付けられてしまっているのです。

 

 

人々の物価予想を推計するモデル「LSTARモデル」

 

実際にデフレからインフレに転じるためには、まず人々のデフレマインドを払拭して、今後、インフレになるという予想を高める必要があります。人々のインフレ予想が高まれば、それに沿った行動に表れ、実際にインフレとなります。

 

経済学的には、「インフレ予想が高まれば実質貨幣残高(名目貨幣残高÷物価水準)が目減りすると考えるので、相対的に貯蓄よりも有利となった消費活動が起こるから」と説明されますが、「インフレに応じて名目所得(額面所得)が増加すると考えれば、不安が解消し、お金を使う気になるから」といったほうが直感的に理解しやすいでしょう。

 

LSTARモデルは、単純にいえば「人々の今後の物価上昇の予想の程度」を見たもので、計算式より推計されたインフレレジーム確率が50%を超えれば、過半の人々がインフレを予想し、下廻れば過半の人々がデフレを予想していることを意味します。

 

エコノミストの安達誠司氏の分析によれば、リーマンショック後のインフレレジーム確率の推移は次のとおりです。

 

2008年~2012年 ほぼ全期間で0%

2013年~2014年前半 急激に上昇し100に達し、70に下降

2014年後半~2015年末 再び上昇し100に達する

2016年前半~ 急激に下降し45%程度まで落ち込む

2016年後半~2018年 徐々に回復し65まで回復

 

【参考】

『デフレと戦う――金融政策の有効性』安達誠司・飯田泰之編著 日本経済新聞社

 

スポンサーサイト



プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR