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課金のしかたのシフト④

引き続き「顧客への課金(料金請求)のしかた」について取り上げます。

 

■高価格化

 

あえて値段を高くするというやりかたです。

 

価格設定法の1つに名声価格(威光価格、prestige price)というものがあります。これは、高価であることがその所有者にある種の優越感をもたせるような商品の価格のことです。高級ブランドで用いられる価格です。

 

名声価格が成立する条件として、買い手が合理的な品質判断ができないということがあります。つまり「安かろう悪かろう、高かろう良かろう」という判断しかできない場合です。1着30万円の高級スーツが5万円のスーツの6倍の価値があるか合理的な根拠は何もないですが、高いのだから良いのだろうということで需要があるわけです。

 

また製品にくらべてサービスの方が高い値段をつけやすい可能性があります。なぜなら製品と比べてサービスは合理的な品質評価が難しいからです。たとえば医師や弁護士で報酬がえらく高い先生がいますが、一般的な先生よりそれだけの価値があるかは別問題でしょう。

 

名声価格はブランド化されていないと難しいことは事実ですが、ブランド化されていない場合でも値段を下げるだけでなく上げてみることも考慮すべきです。

 

値段を下げるからには、値下げの減収分を上回るだけの需要量の増加による増収分がなければ意味がないのですが、「値下げすれば売れるだろう」という安易な姿勢が目立つ気がします。

 

逆にいえば、値上げをしても需要量が対して減らないのなら、値上げしたほうが増収になります。

 

少し古いデータですが、東証一部上場企業のデータをもとにマッキンゼーが行った調査があります。下記はそれぞれ1%改善することで営業利益が何%改善するかを示したものです。

 

・価格 ⇒ 1%アップで営業利益23.2%アップ

・変動費 ⇒ 1%削減で営業利益16.3%アップ

・数量 ⇒ 1%アップで営業利益6.9%アップ

・固定費 ⇒  1%削減で営業利益5.9%アップ

(出典:マッキンゼー・プライシング2005

 

価格をあげる余地がないかはぜひ検討したいところです。

 

 

■デアゴスティーニモデル

 

デアゴスティーニは、CMでもおなじみですが、日本の城や特撮ヒーローなどの全集や、船や自動車のプラモデルがセットになった雑誌を小分けにして発売する方式で、人気を博しています。

 

このように、1つの商品を分割して、少しつずつ売るのが、デアゴスティーニモデルです。

 

顧客のメリットは、毎週届く楽しみが得られることや少ない小遣いでも買えることです。1冊300円でも50冊まとめて買えば1万5000円になりますから、普通はなかなか買えません。また、嫌になったら途中でやめられるので最低限の出費で済みます。

 

一方、ディアゴスティーニにも、多くのメリットがあります。1つは、分割で売ることで、気がるに買ってもらえることです。1度買って気に入れば、最後まで買い揃えたくなるもの、それを狙って、デアゴスティーニでは、創刊号を190円程度と安く販売しています。

 

また、この方法は、創刊号の売れ行きが予想できるので、2号目以降の在庫リスクを抑えられるメリットがあります。

 

漫画なども創刊号から第3巻まで読んだ読者の多くは、その後も購読するといわれているため、3巻までを低価格で提供するなどの工夫をしているケースがあります。

 

また、最後までスタンプを貯めれば●●円引きといった紙のスタンプカードも同じ効果をねらっていると考えられます。発行してもらう際に、最初に気前よく何個かスタンプを押してくれますが、これも継続してその店で購入して最後までスタンプを貯めさせるための工夫です。

 

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

 

 

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課金のしかたのシフト③

引き続き「顧客への課金(料金請求)のしかた」について取り上げます。

 

■会員制月額課金モデル化

 

月々、料金を支払ってもらう仕組みです。スポーツジムやスマホのアプリ、携帯電話の料金など様々な分野で利用されています。

 

月額にすることで買い手側は負担感が軽減しますし、また支払っていることも忘れがちです。実際には使っていないのに料金を支払い続けている人も多いです。

 

 

■金融化(リース・レンタル)

 

リースは、コピー機やパソコン、車などを販売するのではなく、リースを行うことで使用料を得るやり方です。購入するのに比べて初期投資がかからず、ランニングコストだけで済むことや、常に新しい機種を使えることが大きなメリットです。

 

一方、レンタルは、短期的にあた利用できるシステムです。出費を抑えるために、家具やネットが使える状態になったレンタルオフィスを利用する起業家なども増えています。

 

 

■カミソリの刃モデル

 

ジレットモデルともいわれる、カミソリの柄と刃を別々に販売するビジネスモデルです。すなわち柄を安く売って、広く普及させ、交換用の刃でもうける方法です。例としては、コピー機本体と消耗品・アフターサービス、ウォーターサーバーと水、エレベーターとアフターメンテナンスなどがあります。

 

刃の部分を安く他社に提供されないようにする工夫が大事です。たとえばプリンターがは、本体のメーカーが販売している純正トナー以外に安いものが販売されています。ユーザーがそちらを購入してしまうと本体メーカーは儲ける機会を失います。

 

 

■受注前受け化

 

先に代金の支払いを受けてから製造する方法、すなわち受注生産です。デルのパソコンの例が有名です。

 

通常、入金が先になるのでキャッシュフロー上も企業にメリットがありますし、在庫リスクも減ります。いかに料金を安くし納期を短縮できるかが差別化の鍵となります。

 

 

■仲介型

 

売りたい人と買いたい人の間をとりもって、仲介手数料でかせぐビジネスモデルです。売買のプラットフォームをつくり、胴元が手数料をかせぐ方法です(プラットフォームビジネス)。不動産仲介業やオークションサイト、結婚紹介所など多くの例があります。

 

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

課金のしかたのシフト②

引き続き「顧客への課金(料金請求)のしかた」について取り上げます。

 

■無料化・低価格化

 

商品やサービスを無料にしたり、極めて低価格にしたりして顧客を獲得することです。儲ける手段は別に用意します。

 

「顧客価値のシフト③」で触れた、「フロントエンド(集客するための製品やサービス)+バックエンド化(利益を得るための製品やサービス)」の考え方です。

 

たとえばスマホのゲームアプリ、クラウドサーバー、ウィルス対策ソフトは無料で提供して顧客を誘引し、その一部が有料のバージョンアップ版を購入してもらうことで儲けるという形式があります。また、コンテンツは無償で広告で稼ぐのもこの例です。

 

ただし、バックエンド商品を購入してくれるのは全体の46%、最大でも10%といわれますので、フロントエンドの魅力を高め、上手くバックエンドにつなげられるようにしなくてはなりません。

 

 

■変動価格化、オークション化、リバース・オークション化

 

需要などに応じて価格を変動させるやりかたです。

 

通常、ホテルや航空券は繁忙期と閑散期で価格が変動しますが、最近では宿泊日直前に売れ残ったホテルの客室を格安で販売しているサイトも増えました(yoyaQ.comTOCOO!)。顧客は安く使え、ホテルは空室を出さずに済むというメリットがあります。

 

価格が変動するという点ではヤフオクのようなオークションスタイルや、買い手が大勢の売り手の中から1社を選び買い手が値段を決めるリバース・オークションというスタイルもあります。

 

 

■ライセンス化、フランチャイズ化

 

ブランドなどの自社の権利を他社が製造・販売に利用できるように、ライセンス化する方法です。あるいは飲食店のフランチャイズのように、自社ののれん貸しをする(フランチャイズ権を売る)方法もあります。

 

ラインセンサーやフランチャイザーからすればライセンス収入(ロイヤルティ収入)が得られる、自社資源を節約しながら事業を拡大できるというメリットがあります。ラインセンシーやフランチャイジー(加盟店)にとっては、十分なノウハウがなくても事業を始められるというメリットがあります。

 

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

 

課金のしかたのシフト①

前回まで「顧客への提案価値のシフト」について見てきましたが、今回から「顧客への課金(料金請求)のしかた」について取り上げます。

 

■顧客のトータルコストに応じて課金する

 

顧客のトータルコストとは、顧客が支払う製品の価格やサービスの料金だけでなく、関連して生じる様々な費用全体を含めたコストをいいます。たとえば自動車であれば、販売価格だけでなく、税金、駐車場代、ガソリン代、保険、メンテナンス費用などを含めたトータルの支払いです。

 

日本車がコストパフォーマンスがよいのは、販売価格が安いのではなく、燃費効率や下取り価格が高いからだと言われます。価格を下げなくても、顧客にとってのトータルのコストを安くできるのであれば、顧客にとっての価値は大きなものになります。

 

 

■実績連動化・成功報酬型

 

実績連動化、成功報酬型は、利用実績に応じて料金を決めることで、価格を安くする方法です。

 

たとえばGEは航空機のエンジンを航空会社にリースしていますが、航空機が稼働した距離に応じて料金を決めています。またソニー損保は、走行距離に応じた保険料を業界ではじめて導入しました。

 

求人サイトのリブセンスは、求人広告の掲載料はとらず、実際に人が採用されたときにはじめて料金が発生するシステムを取り入れました。レベニューシェア(システム開発を安く受託する代わりにその事業から得られる利益の一部を得る方式)や、アフィリエイトなども成功報酬型の課金です。

 

 

■価格の個別化。カスタマイズ化

 

個々の顧客の特性に合わせて価格を変える方法です。

 

たとえば欧州を中心に普及している「ペイ・アズ・ユー・ドライブ保険」は、車にオートレコーダーのような記憶装置を搭載し、急発進やスピードの出し方などのデータを一定期間とった上で保険料を決めます。つまりその人自身を見て保険料を算出します。

 

馴染みの客や上得意客に対して便宜を図るのもこの取り組みと言えます。

 

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

顧客価値のシフト⑤

■ソーシャル活用化

 

文字通りソーシャルメディアを使った拡販手法です。Youtubeなどで信頼に足る情報提供の動画を投稿し、多くの視聴者に推薦商品を買ってもらうということがよくみられます。

 

またグルーポンで有名な共同購入型クーポン(フラッシュマーケティング)もソーシャル活用の例です。

 

これは、一定時間内に一定数が揃えば、購入者は大幅な割引率のクーポンを取得することができるという手法で、たとえば「24時間以内に30人の購入希望者が集まれば、フルコースディナー7400円相当が54%割引の3500円になるクーポンを提供」のような形態をとります。

 

指定された時間内に最低販売数に到達しなければ不成立となり、クーポンは提供されません。このため購入者がTwitterやソーシャルネットワーキングサービスを使って口コミを起こし、他の共同購入者を短時間のうちに集めるという行為が行われることになります。

 

要は自社が努力せずとも熱心なユーザー(視聴者)が商品を拡販してくれることをねらったものです。もちろんそのためには、実際に商品が話題となるものでなければなりません。

 

 

■ブランドマルチ化

 

1つのブランドを多方面に生かしていく方法です。ディズニーが映画等で生かしたブランドを活かして、ディズニーランドやキャラクター販売、ラインセンス事業、ホテル等に進出しているのが典型例です。強力なブランド力が前提です。

 

 

■最先端スピード化

 

二番手以下の企業がついてこられないようなスピードで、製品のバージョンアップやコストダウンを図るやりかたです。もちろんかなりの技術開発力が前提となります。

 

現在、特にハイテク分野では、技術的に優れた製品を出しても、すぐにキャッチアップされ、価格競争に陥るというコモディティ化が顕著です。これに対抗するには、1つの製品技術の成功に満足することなく、画期的な製品技術を、次から次に出していく必要があります。たとえば東レの戦略がこれにあたります。

 

 

■二次市場化

 

製品の生産やサービスの提供などの過程で生まれる廃棄物や副産物を捨てるのではなく、それを欲しがる人々に提供するというものです。

 

たとえば生ゴミを植物の肥料にするということがあります。また、キューピーはマヨネーズを製造する過程で出る卵の殻を健康食品に転用しています。

 

 

■ローカル化

 

製品やサービス、プロセス、顧客経験を、その地域の文化や慣習などに合わせて変えることです。グローバル企業の戦略です。

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

 

顧客価値のシフト④

■デファクトスタンダード化

 

デファクトスタンダードとは、市場競争の結果、世界的に業界標準とみなされるようになった規格や製品のことです。OSのマイクロソフトやCPUのインテルなどの例がありますが、古くは家庭用VTRの規格でソニーのベータと、旧日本ビクターや旧松下電器がおすVHSのデファクト競争が有名です。

 

デファクト化に成功すれば、業界のトレンドを自社の有利なようにコントロールでき、買い手に対して強い立場にでることが可能です(マイクロソフトとPCメーカーの関係)。

 

もっともデファクトスタンダードを取るのは容易なことではありません。

 

 

■規格化

 

材料の規格を統一することで製品を大量生産して低コスト・低価格を実現することです。顧客は、自由な設計をできませんが、低価格の割に質の良い製品を手に入れることができます。

 

飯田産業やアーネストワンは、規格化された住宅で、低コスト・低価格を実現しました。また規格化されたことで工期の短縮も可能です。サービス業においても、提供する過程をプログラム化すれば、効率化が可能です。コンサルティングサービスは、通常、カスタマイズ対応されますが、プログラム化することで、若手でも対応可能になります。

 

 

■競合模倣・同質化

 

要はパクリです。業界トップのリーダー企業は、差別化によって挑んでくるチャレンジャー企業に対し、同質化で臨むのが定石とされています。開発コストが抑えられ、リスクを軽減できるメリットがあります。

 

 

■受託

 

自社の機能の優れている部分を他社に提供することです。

 

たとえばアマゾンは、自社でサーバーを運用することで培ったノウハウを活かして、安定性の高いクラウド上の仮想サーバーを他社に貸しています。また大阪ガスは、自治体からのコールセンター業務を請け負っていますし、ルフトハンザ航空は、航空機のメンテナンスを他の航空会社に提供しています。

  

(つづく)

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

 

顧客価値のシフト③

■中古市場

 

既存のビジネスで新品を売っている場合に中古品も売るというケースです自動車メーカーやアマゾンなどの例があります。新品販売時に、中古品になったときの買取もセットで提案すると顧客価値が高まります。

 

 

拡張化

 

商品そのもののカテゴリーよりもっと広いカテゴリーで自社のビジネスをとらえることで、顧客に提供する価値を広げていくという考え方です。

 

たとえばスターバックスが、喫茶店を「単にコーヒーを飲む場」ではなく「第3の場所」としてとらえることで、これまでの喫茶店とは異なるコンセプトを提案しています。鉄道会社が、輸送業としてだけでなく、旅行サービス業ととらえることで、新しい内装の列車や宿泊施設を提供するといったケースもあります。

 

 

■フロントエンド+バックエンド化

 

フロントエンドとは「集客するための製品やサービス」を指し、バックエンドとは「利益を得るための製品やサービス」を指します。すなわち「フロントエンド+バックエンド化」とは、集客のための商品と利益を得るための商品をうまく組み合わせたビジネスモデルのことです。

 

音楽業界

CD:フロントエンド コンサートやグッズ販売:バックエンド

ビジネス書籍

コンテンツ:フロントエンド 研修会やセミナー:バックエンド

 

小売店や飲食店でもあえて「集客のための儲けない商品」と「儲ける商品」に分けるケース(商品ミックス)がよくみられます。

 

 

■多毛作化

 

昼は喫茶店、夜は居酒屋といったように、時間によって別の業態の店に変えることで、顧客に複数の価値を提供するものです。カラオケボックスは、昼は勉強会の開催場所やカルチャースクールに使われていたりします。

 

(つづく)

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

 

顧客価値のシフト②

■時間短縮化・省手間化

 

これまでよりも時間や手間がかからなくすることで顧客価値を生み出す方法です。古くはカップラーメンやレトルト食品(調理の時間や手間を省く)といった例がありますが、通販サイトでの翌日配送も同様です。

 

 

■階層化

 

自社商品・サービスに、これまでとはターゲット層が異なるラインナップを加えるというものです。たとえば「高価格帯・中価格帯・低価格帯」「上級者用・中級者用・初級者用」といったものが典型例です。

 

また顧客のライフコースに合わせたラインナップということも考えられます。「学生⇒独身社会人⇒結婚⇒子供誕生⇒中年⇒退職」といったライフステージごとに商品やサービスを用意します。学習塾が「中学受験・高校受験・大学受験・社会人教育」ごとにカリキュラムを用意するのもこの例です。

 

 

■専門化・限定化による特定市場でのナンバー1化

 

製品カテゴリーを絞って専門化することで、その分野でのナンバー1を目指すというものです。いわば専門店化、ニッチ戦略です。

 

 

■漁夫の利化

 

あるブームが起きた際に、ブームに直接参入するのではなく、ブームに参加する人や企業を相手にするというものです。

 

たとえばリーバイスはゴールドラッシュの際に、金脈を掘り当て用とした人にむけてジーンズを販売し大儲けしました。スマホゲームが流行った際にはゲームクリエイター養成学校が儲かったといいます。

 

 

■カスタム化・半製品化

 

カスタム化とは、製品を顧客の要望どおりにつくり上げる「オーダーメイド化」のことです。半製品化とは、あらかじめパーツを作っておき、仕上げは顧客の要望を受けてからするというもので「パターンオーダー」のイメージです

 

たしかにカスタム化すれば顧客の様々な要望に応えることができますが、コストがかかります。また顧客嗜好の多様化が進んでいるといっても、顧客がそれぞれ個別の要望を持っているわけではなく、ある程度のバリエーションを確保すれば事足りることが多いです。よって「半製品化」が今の流れです。

 

逆に現在が個別対応であるならば、商品やサービスを標準化してしまうという発想もあります。標準化したほうが手間がかからずコストが安くなります。たとえば小型モーターのマブチモーターは製品を標準化して低価格で提供しています。

 

(つづく)

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

顧客価値のシフト①

前回、ターゲットとする顧客層をシフトさせる観点について述べましたが、顧客層をシフトさせると、顧客への提案価値をシフトさせる必要がある場合があります。今回は顧客価値のシフトの方法について取り上げたいと思います。

 

 

■顧客に提供する価値を「モノからサービスあるいはモノ+サービス」「サービスからサービス+モノ、あるいはモノ」にシフトする

 

モノを提供するのではなく、サービスの提供に変えたり、モノに加えてサービスも提供する方法にシフトします。

 

成功例としては、次のようなことが挙げられます。

 

IBM

コンピュータやパソコンの製造販売 ⇒ ソリューション、コンサルティング

 

<ヒルティ>

電動工具の販売 ⇒ 電動工具のリース

 

<コマツ>

建設機械の販売 ⇒ 建機+KOMTRAX(位置や建機の状態、部品交換時期の情報を提供するシステム)

<アシックス>

ランニングシューズの販売 ⇒ ランニングシューズ+シャワールーム+靴のアドバイス

 

サービス業がグッズ販売を手がけたり、メーカーが保守サービスを手がけることはよく見られます。

 

 

■競合の逆張りにシフト

 

競合他社の逆のことをやるという発想です。たとえば高価格販売に対し、低価格高回転率で対抗するといった発想です。そのためにはターゲット顧客が重視する価値に着目してそれ以外のものを削るということが求められます。

 

 

■同一顧客に提供する価値を複数化する

 

提供するラインナップを拡大し、ワンストップサービスを提供するというものです。そのためには自社商品だけでなく他社商品も扱う必要があります。オープン化、パッケージ化、多角化といった方法があります。

 

<オープン化>

自社の持っている「場(プラットフォーム)」を他社に開放することで、様々な企業がサービスを提供できるようにし、場の強化を図ることです。

 

たとえばマイクロソフトは自社OSで機能するソフトの開発を促すために、基本仕様を公開しています。スマホのOSSNSなども基本仕様を公開し、その上で動くアプリの開発を促しています。補完するソフトを増やすことで本体の価値を高めています。

 

<パッケージ化>

2つ以上の商品を組み合わせることで、1つのパッケージにすることです。たとえば交通機関が乗車券と宿泊券をセットで販売する、マイクロソフトがワード、エクセル、パワーポイントなどをまとめてオフィスとして販売するといったことがあります。

 

<多角化>

文字通り新しい事業を追加し、本業とのセット販売を行うというものです。たとえば自動車会社や電機会社が、リース事業やクレジット事業を追加し、モノの販売とセットで販売するといったことです。

 

(つづく)

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

ターゲット顧客の設定

ビジネスモデル。ビジネスプランの構想の第一歩は、ターゲット顧客の選定です。ターゲット顧客を選定する際には、次の5つを考えてみましょう。

 

  顧客を法人向け、個人向けにシフトする

  顧客を関係先にシフトする

  顧客の地域を集中する

  顧客を特定層に集中する

  グローバル化

 

このうち「顧客を特定層に集中する」は、文字通り、デモグラフィック基準(地域、所得、年齢、職業等)やサイコグラフィック基準(顧客の嗜好やニーズ、便益など)で市場を細分化するというやりかた、「グローバル化」は国内の事業を海外で展開するということです。

 

 

■顧客を法人向け、個人向けにシフトする

 

「今の事業が法人向けなら、個人向けの事業を展開できないか」「今の事業が個人向けなら法人向けの事業を展開できないか」検討するということです。

 

たとえばオフィスグリコは、個人向けの菓子販売業を法人向けに応用したケースです。

 

ベネッセコーポレーションは、もともと中学校の教師向けに生徒手帳を販売していたのが(法人向け)、問題作成を頼まれるようになり、そのノウハウを活かして個人向けの進研ゼミを始めました。

 

中古車買取専門のガリバーは、「消費者から車を買い取り、消費者に売る」という中古車ビジネスにおいて、「消費者から車を買い取り、ディーラーに売る」という法人向けのビジネスに転換し成功しました。

 

 

■顧客を関係先にシフトする

 

今までの顧客の周りにいる関係先にスポットを当て、その関係先にターゲット顧客をシフトするというやり方です。

 

たとえば幼稚園のユーザーは幼稚園児です。幼稚園児をターゲット層とすると、「面倒見が良い」「玩具が充実している」ということが訴求点になります。しかし、関係先として両親(入園先を決める意思決定者)、祖父母(お金の出し手)まで広げると、訴求点が変わる場合があります。

 

たとえば、先生の教育水準の高さ、入園料、迎えの融通さ、祖父母が孫と一緒に参加できる環境の有無などです。

 

青梅慶友病院は、高齢者専門病院ですが、関係先である「高齢者の子供たち」に焦点を当て成功しています。たとえば、仕事の関係でなかなか面談できない事情に配慮し24時間面会システム、家族が泊まれる施設を用意しています。

 

 

■顧客の地域を集中する

 

様々な地域の顧客を相手にするのではなく、特定地域の顧客を相手にするというもので、一般的にはドミナント戦略といわれます。コンビニが有名ですが、中小飲食店でも地域に何店舗も展開しているケースがあります。

 

1:地域での認知度が高まる

人は馴染みのある名前の店に入りがちです。一定地域での馴染みを深くするために集中出店します。

2:配送効率が上がる

一定地域内での配送なので効率がよいです。

3:地域に合わせた広告宣伝ができる

特定地域内での市場情報に精通できます。

4:スーパーバイザーが巡回しやすい

一定地域内での巡回なので効率がよいです。

 

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

プレゼン・文章構成のフレームワーク(PREP法)

よく「起承転結」といいますが、ビジネス上のプレゼンテーションや説明のための文書においてはまったく相応しくありません。なぜなら、言いたいメッセージが最後までわからないからです。

 

人の注意は30秒が限界とも言われ、起承転結型だと関心がもたれません。前結論が原則です。

 

PREP法は主にビジネスシーンで用いられる文章構成方法であり、簡潔かつ説得力のある文章を作成する際に用いられます。

 

PPoint(結論)

RReason(理由)

EExample(事例、具体例)

PPoint(結論を繰り返す

 

ReasonExamplePointの根拠となります。そして最後にPointを繰り返すことで、メッセージを強調します。

 

事業プランのまとめ方にもPREP法は使えます。

 

PPoint(結論)「○○事業を展開する」

RReason(理由)「それを実行できる自社資源がある」「事業として成立できる需要が見込める」

EExample(事例、具体例)「CFTの観点で事業内容を具体化する」

PPoint(結論を繰り返す

発想のためのフレームワーク(シックスハット法)

シックスハット法とは、水平思考のエドワード・デ・ボノが開発した発想法です。次の6つの帽子のうち、いずれかの帽子をかぶったという意識で発想します。

 

白い帽子:

客観的・中立的な視点

 

赤い帽子:

感情的な視点

 

黒い帽子:

批判的・消極的な視点

 

青い帽子:

分析的・冷静な視点

 

黄色い帽子:

積極的・希望的な視点

 

緑の帽子:

革新的・創造的な視点

 

人は誰でも自分では意識せずとも、何らかの思考に偏りがちです。「異なる帽子をかぶる」というちょっとした儀式をすることで視点を変え、新たな発想を生み出そうというわけです。

 

これはチーム運営でもいえます。チームでは以上の6つの視点が必要だということです。

 

【参考】

「カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル構築」平野敦士カール著 朝日新聞出版

発想のためのフレームワーク(水平思考②)

水平思考のためのフレームワークには、エドワード・デ・ボノが開発したものがあります。これはフォーカスした特性を1つ選び出したあとに、変化を加えるためのものです

 

逆転:反対にしてみる

代用:代えてみる

結合:組み合わせてみる

協調:もっと○○にしてみる

除去:取り除いてみる

並び替え:並び替えてみる

 

<水平思考の例>

「バレンタインデーに最愛の人にバラの花を贈る」

 

逆転:バレンタインデー以外の日にバラを贈る

代用:バレンタインデーにレモンを贈る

結合:バレンタインデーにバラの花と鉛筆を贈る

強調:バレンタインデーに何十本ものバラの花を贈る

  バラの花を1本だけ贈る(縮小方向の強調)

除去:バレンタインデーにバラの花を贈らない

並び替え:バレンタインデーに、男性が女性にバラの花を贈る

 

 

【参考】

『コトラーのマーケティング思考法』フィリップ・コトラー、フェルナンド・トリアス・デ・ベス著 東洋経済新報社

発想のためのフレームワーク(水平思考①)

ある領域について既定のフレームワークに沿って掘り下げて論理的に考えるロジカル・シンキング(垂直的思考法)に対し、アイデア発想では、既定のフレームワークから離れ、様々な角度からヒントを得る水平的思考法が求められます。

水平思考の手順は、次のとおりです。

 

  フォーカスを選択する

  水平移動により、ギャップ(刺激)を誘発する

  ギャップを埋める手段を考える(連結する)

 

 

■フォーカスを選択する

 

 フォーカスとは思考の対象として注目すべきもののことです。そのフォーカスの特性を考えます。たとえば花なら「香りがいい」「色がきれい」「枯れる」などです。

 

 

■水平移動により、ギャップ(刺激)を誘発する

 

①で考えた特性を1つ選び出し、変化を加えます。変化のさせ方には、「逆転」「代用

」「結合」「協調」「除去」「並び替え」があります。

たとえば花の特徴である「枯れる」を「逆転」させると、「いつまでも枯れない」となります。フォーカスしたもの(花)とここで導き出したキーワード(いつまでも枯れない)には隔たりがあることから、「ギャップ」と呼びます。

 

 

■ギャップを埋める手段を考える(連結する)

 

たとえば花なら「いつまでも枯れない」方法を考えます。すると、「枯れない花=造花」などの答えが出てきます。

 

 

【参考】

『コトラーのマーケティング思考法』フィリップ・コトラー、フェルナンド・トリアス・デ・ベス著 東洋経済新報社
プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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