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消費者をイノベーションに巻き込む方法⑤(リードユーザー法)

■ユーザーイノベーション

 

従来は、イノベーションは、企業の研究所や一部の発明家などによって生み出されているとされていましたが、むしろ使い手であるユーザーが、目的を達成するためにイノベーションを起こすことが多く報告されています。

 

たとえば、Shah(2000)によれば、スノーボード、スケートボード、ウィンドサーフィンといったスポーツ分野では、スポーツ器具の第1バージョンがいつもユーザーによって考案され、実現されたことが明らかになっています。そして、器具の主要な改良の58%がユーザーとユーザーメーカー(自分自身がユーザーであると同時に他のユーザーに器具を販売するもの)であったことを発見しました。このようなユーザーの手によるイノベーションは消費財・産業財を問わず確認されています。

 

 

■リードユーザー

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ユーザーがイノベーションを行っているといってもすべてのユーザーが行っているのではなく、リードユーザーと呼ばれる一部のユーザーが実行者です。

 

リードユーザーとは、「先端的なニーズを持ったユーザー」です。「当該市場の大多数のユーザーがやがて直面することになる新しいニーズに時間的に先行してすでに直面していること」「そうしたニーズに対して解決手段を提供するイノベーションを実現することで大きな便益を得られえること」という特徴があります。

 

先のスポーツ分野におけるイノベーションもリードユーザーによるものです。

 

ただし、ユーザーイノベーションの多くは1人のユーザーではなく、集団で互いに支援し合いながらイノベーションを行っていることが確認されています。企業側としては、このようなリードユーザーを開発過程に巻き込みながら開発を進めることが求められます。

 

 

■リードユーザー法

 

リードユーザー法とは、リードユーザーを製品開発過程に積極的に取り込むことで高い製品開発成果を目指す取り組みです。

 

伝統的な製品開発手法では、当該製品のターゲットとなる平均的ユーザーを対象に市場調査を行い、その結果から製品案の創出や市場規模の推定を行います。それに対し、リードユーザー法では、メーカーがリードユーザーの特徴を持つユーザーを探し出し、そのユーザーが直面する問題やそれへの解決法を参考に製品開発を行います。

 

たとえばリードユーザー法では、住宅メーカーが高齢化社会で求められる家を開発するにあたって、同じ家に同居する親が90歳を超える家族を探し出します。そして、彼(彼女)らが直面している問題とそこで生み出されている解決策を参考に新しい家の開発を行います。

 

3Mやプロクター・アンド・ギャンブといった企業での取り組みが有名ですが、マサチューセッツ工科大学のエリック・フォン・ヒッペル教授の3Mに対する調査では、リードユーザー法によって開発される製品は従来型の市場調査を使った場合と比較して新規性と独自性が高く、従来型の開発製品と比べて2倍以上の販売実績を達成していました。

 

【参考】

『競争的共創論』小川進著 白桃書房

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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