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消費者をイノベーションに巻き込む方法⑥(UD法とリードユーザー法の比較)

今回は、UD法とリードユーザー法の比較をしてみます。

 

UD

インターネット上の掲示板で消費者の企画アイデアを募り、その中から実現可能なものを他の消費者に公開し、購入希望者を募って、商品化の必要最小購入者数を上回れば商品化に踏み切る。

 

●リードユーザー法

リードユーザー(先端的なニーズを持ったユーザー)を製品開発過程に積極的に取り込むことで高い製品開発成果を目指す。

 リードユーザー法とUD法


■開発に関する起点

 

まずリードユーザー法では、開発に関する起点は常にメーカーにあります。この開発手法ではあくまでメーカーが最初にユーザーに対して働きかけを行うことを前提としています。

 

それに対してUD法は、開発の起点をユーザー側に設定しています。つまり開発の進行がユーザー側からの働きかけを起点に行われることを前提に設計されているのです。

 

 

■調査対象範囲

 

リードユーザー法では、個々のユーザーを対象として調査を行います。そこではユーザーをコミュニティとして見るという視点は弱いです。

 

それに対し、UD法では、何らかのユーザー集団(コミュニティ)を単位として想定します。ここでは消費者は、ある一定の集団として活動してはじめてイノベーションを実現することができると想定されています。最初のアイデアを提示するのは1人の消費者であったとしても、それに対して他ユーザーが修正案や追加案、洗練案を提示したり、投票により意見分布や需要分布の顕在化に貢献することがこの手法では重要な役割を演じることになります。

 

 

■需要顕在化のタイミング

 

リードユーザー法では、当該イノベーションに対する需要は、あくまで開発が終了し、生産が終了した後、明らかになります。つまりリードユーザー法では、当該イノベーションに関する市場規模をあらかじめ推定することが必要になります。

 

それに対してUD法では、消費者による投票活動(発注)が事前に行われるため、部分的にではあるが需要が開発、生産に先立って顕在化することになります。

 

 

■インターネット利用の必要性

 

UD法では、「製品案の提示」と「選好・購入意思に関する投票」においてユーザーとの対話メディアとしてインターネット使用が不可欠です。開発過程であらかじめ対象ユーザーを設定せず、不特定ユーザーからの働きかけを前提とするUD法では、インターネット利用は必須です。ユーザーとのコミュニケーション費用が削減できるからです。

 

他方で、リードユーザー法では、ユーザーとの開発主体との接点としてインターネットを使用する必要は必ずしもありません。

 

 

■ユーザー特定の容易さ

 

UD法は、製品アイデア提供者となる消費者の特定がリードユーザー法と比較して容易です。

 

リードユーザー法では、今後支配的となる市場トレンドを特定し、そうした将来トレンドに現時点で直面しているリードユーザーを特定し、接触し、協力を得ることが必要となります。しかし、それを実現することは容易ではありません。

 

他方で、UD法では、製品開発案を持つユーザーが自らインターネット掲示板を通じて自身の存在を告知してくれます。また提示されたアイデアがどれほど他のユーザーの支持を得られるものかもインターネットの掲示板を通じて製品化に先立って知ることができます。

 

以上より、UD法では市場トレンドの探索、特定や製品案を持つユーザーの探索、特定、協力関係の構築が、リードユーザー法よりも容易であることになります。

 

【参考】

『競争的共創論』小川進著 白桃書房

 

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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