リアリズムに基づく採用③
応募者に対して、RJPに沿って仕事の良い面悪い面ともにありのままに見せることで、次のような効果が期待できます。
■ワクチン効果
まず過剰期待を事前に緩和し入社後の幻滅感を和らげる効果があります。これは期待のワクチン化とよばれます。人生あるいはキャリアの節目ではいつも、新たな段階に入る前の期待の水準が、その後の適応のあり方に大きな影響を与えます。不安ばかり大きいのも問題ですが、あまりにバラ色の始まりを期待するのも考えものです。
■役割明確化効果
入社後の役割期待をより明確かつ現実的なものにする効果です。RJPでは、入社後につく仕事の実際の仕事の姿をリアルに描くことを重視しているので、いいイメージだけで浮かれて入った人に比べると、仕事のうえでその会社で自分に期待されている役割についてもより明瞭な認識を抱いているはずです。節目をくぐる覚悟が現実的で、役割意識も明瞭になっている分だけ、初期の業績向上につながっていきやすいでしょう。
■スクリーニング効果
自己選択、自己決定を導く効果です。応募を考えている人は、仕事のありのままの姿を知って実際に応募するかどうか自己決定します。採用する側としては、勘違いして応募・入社してくる人をふるいにかけてくれる(スクリーニング)ことになります。
■コミットメント効果
入った組織への愛着や一体化の度合いを高める効果です。「大変なことはわかった。それでも挑戦したい」と自己選択する人のほうが、仕事への達成意欲や組織へのコミットメントが高いと考えられます。
【参考】
『働くひとのためのキャリア・デザイン』金井壽宏著 PHP研究所