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成長戦略の経済的効果①

アベノミクスの第一の矢「金融政策」、第二の矢「財政政策」に比べ、あまり取り上げてこなかった第三の矢「成長戦略」について取り上げたいと思います。

 

 

■成長戦略とは

 

首相官邸ホームページを見ると、「第3の矢 民間投資を喚起する成長戦略 規制緩和等によって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へ」とあります。

 

経済学的にいうと、成長戦略は成長政策にあたり、「潜在GDP(総供給力)を上げる」ための政策になります。潜在GDP(総供給力)とは、「過去のトレンドから平均的に生産要素(労働力や資本など)を投入したときに実現するGDP(供給水準)」と定義されますが、簡単にいえば「現在の国全体の労働力や機械設備などの生産手段をフル稼働させたらどれくらいのGDP(供給水準)が実現するか」を示しています。

 

 

■なぜ潜在GDPを上げたいか?

なぜ、潜在GDPを上げたいかというと、GDPは国内総生産なので、いくら国内の総需要が高くなっても、それに対応できる国内の供給力がなければ、GDPは上昇しないからです。

 

一方、GDPは国内の総需要水準で決まるという側面もあります。国内の総需要があまりなければ、いくら国内の供給力があっても、総需要以上に生産するなんていうことはしないからです。

 

つまり「国内総需要>潜在GDP(潜在総供給力)」ならば、実際のGDPは潜在GDPで決まり、「国内総需要<潜在GDP(潜在総供給力)」ならば、実際のGDPは国内総需要で決まります。

 

この関係を図で示すと、次のようになります。総需要は浮き沈みがあるので、波線になっています。一方、潜在GDPは毎年一定程度上がっていきます。これは、人は経験を積むことで少しずつは仕事を効率化でき、生産性が高まるからです。星印は実際に決まるGDPの水準です。

国内GDPの決定

一方、成長政策(成長戦略)は、潜在GDPを上げるための政策なので、次のようになります。

成長戦略

上の図で真ん中の「総需要>潜在GDP」のときに実現するGDPの水準は上がることになります。それまでは総需要に総供給が追いつかずに低い総供給の水準だったのが、総供給力が高まったことで、総需要に対応することができるからです。

 

 

■成長戦略はタイミングが大事

 

しかしながら、それ以外の「潜在GDP>総需要」のときは、GDPはまったく変わらないどころか、超過供給分(総供給-総需要)が増加することになります。いわばモノ余りに近い状態なので、価格は下がりデフレ圧力が生じます。

 

成長政策はタイミングが悪ければ、かえって逆効果になるのです。「潜在GDP>総需要」のとき、つまり需要不足のときは、成長政策ではなく、需要を増やす政策(有効需要管理政策)が必要です。


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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