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成長戦略の経済的効果③

労働の生産性を上げると総需要が上がってGDPが上昇し、物価が上昇して脱デフレが実現するという主張があります。この主張にあるのが、ミクロ経済学の「古典派の第一公準」です。今回は前段階として、古典派の第一公準を取り上げます。

 

古典派の第一公準とは、「労働の限界生産力が実質賃金と等しくなる水準で労働需要量が決定する」というものです。

 

労働の限界生産力とは、「追加で労働者を1人雇って生産ラインに投入した場合に、増加する生産量」です。これまで生産ラインに8人投入して生産量が100個だったとします。ここで、追加で1人雇ってラインに投入したら生産量が合計で110個になったとしたら、限界生産力は10個になります。

 

労働者をどんどん追加で投入したら、生産量の合計は増えるでしょうが、比例的に増えるわけでなく、だんだんと生産量の増え方は減少するのが普通でしょう。これを限界生産力逓減といいます。また生産された製品は市場で販売されますので、労働の限界生産力は個数換算で考えた収入の増加分にあたることになります。

 

一方、実質賃金は「名目賃金÷物価水準」と定義されますが、ここでは簡略化して「単に1人あたりの賃金」とします。追加で1人雇うことで賃金が発生しますから、実質賃金は「労働者を追加で雇った場合の追加的な費用」という意味を持ちます。

 

また、基本的には新しく労働者を雇っていっても実質賃金は変わりません。ちなみに実質賃金は、古典派の第一公準では、個数換算で考えます。「追加的な費用(賃金)は、生産した製品の何個分の価値に相当するか」というイメージです。

 

労働需要量は、「企業が需要する労働者の量」ですが、企業が需要する人数だけ実際に雇われるので、「実際の雇用量」と置き換えることができます。求人数が2人なら、実際に2人雇われるというイメージです。

 

この関係を図で示すと、次のようになります。


実際の雇用量は、「労働の限界生産力=実質賃金」となる水準で決まります図でいうと、左側は「労働の限界生産力>実質賃金」なので、追加で1人雇ったときの追加的な収入が、追加的な費用を上回り、差額分が追加的な利潤になります(図の矢印)。

 古典派の第一公準

「労働の限界生産力=実質賃金」となるまで雇用を続ければ、矢印の合計である図の左上の青線で囲まれた三角形が利潤合計となり、利潤が最大化されるのです。一方、それを超えて雇用すると、「実質賃金>労働の限界生産力」となり、差額分が追加の損失となります。よって、企業は「労働の限界生産力=実質賃金」の水準の雇用量を超えてまで雇用することはありません。

 

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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