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雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断9月号」が発売されました。

201910月_


今回のテーマは、「採用困難な企業がすぐにでもできる募集のしかた

――応募者数よりも定着率にこだわるRJPという姿勢」です。

 

完全失業率をみると,2.2%(7月)と極めて低水準の状況が続いています。失業率の低下は,人材確保のために,企業側の雇用環境の改善を促すので,望ましいことです。

しかし,その一方で企業側としては採用難は頭の痛いところでしょう。基本的には魅力ある仕事や良好な労働条件の提示が解ですが,実際にはそれらが困難な場合も多いです。特に中小企業ではなかなか難しいでしょう。

人材採用が難しい中で,企業側として,どのような姿勢で臨むことが望ましいのでしょうか。今回は,その1つの例として,RJPRealistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)について取り上げます。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。

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デプスインタビューによる調査の流れ

デプスインタビューによる調査の流れは、おおよそ次のとおりです。

 

●第1フェーズ

<プレ・インタビュー>

対象となるブランドに関し、広範囲から問題となりそうな領域を探る。この絞った範囲がデプス・インタビューの対象となる(5名程度)。

<デプス・インタビュー>

絞られた範囲で、消費者の潜在意識、無意識にある訴求ポイントを探り、仮説を立てる(1015名程度)。

 

●第2フェーズ

<ウェブ・モチベーションリサーチ>

デプスインタビューは手間と時間がかかるので、サンプル数を多く集められないという欠点がある。調査の信ぴょう性を高めるためには、サンプルを多く集める必要がある。第1フェーズで立てられた仮説から、検証のための調査票を作る。アンケートはインターネットで実施する。この調査結果は自由記述が多いため、分析にはテキストマイニングを活用し、記述解析、キーワードの構造解析により、仮説検証などを行う(10001200名が望ましいが予算次第)

 

●第3フェーズ

実験店舗での仮説の検証。代表的な方法として、スプリットランテスト(A/Bテスト)がある。これは、同時期に同じ条件下で、複数の異なった表現(デザイン)を使った広告を打ち出した結果から、どの広告がもっとも効果的であったかを測定するテストのことである。

 

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

インタビューの際の注意点

一般的に言われるインタビューの際の注意点は、次のとおりです。要はインタビューをする側が持っているイメージの枠組みを超える情報を得ることが目的ですので、被験者に自由に縛りなく語らせるということです。

 

・被験者には、調査したい細かなテーマまで明かさない。

・事前に用意した質問票に沿った話にならなくても気にしない。

・特に熱を帯びて話し始めた話題があったら、それを中心に掘り下げていく。

・インタビュー中は傾聴態度を忘れず、メモを取るには最小限にとどめる。

・話が弾まない相手でも、笑顔を忘れず答えを待つ。

・内容が軌道に逸れても無理に軌道修正しない。

・誘導しない。

・沈黙を恐れない。

・曖昧な言葉を無視しない。

・圧迫感を与えない。

・非言語的な表現(身振りや態度、表情など)を無視しない。

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

 

デプス・インタビューの例②

デプス・インタビューの例の2つめです。

 

<デプス・インタビューの例②>

「ルウシチュー」

 

①製品や製品にまつわる分野全体について

対象となる製品や、その製品が利用されるカテゴリー全体に対して思いついたことや感じたことを自由に語ってもらう。その後、被験者の発言に基づいて細かな部分を質問していく。

 

Q:寒い日に食べるメニューとしては、どんなものを思い浮かべますか?

A:やっぱり鍋かな。あと煮物とか。洋食だったらシチューとかポトフとか。

Q:いま挙げて頂いたメニューは、どのようなところが寒い日にふさわしいと思われますか?

A:煮込み料理だからですかね。手間はそれほどかからないけど、グツグツ煮込むのに時間がかかるでしょ。お部屋も暖かくなるのがいいんですよね。

②製品に関する基本情報

使用銘柄や使用頻度、購入のきっかけ、購入時に重視するポイントなどを訊く。事実に関する質問は、被験者にとっても答えやすい。また、その行動を掘り下げていくことで深層心理下の感情を明らかにしやすくなる。

 

Q:ルウシチューはどのブランドのものを使ってらっしゃいますか?

A:特に決めていないんだけど、この前は「○○」を使いました。

Q:「○○」を選んだのはどうしてですか?

A:たまたま安売りをしていたから。使ったことはなかったんだけど、ああ、これを使ってみようかなって。

Q:もし、安売りしているルウシチューの種類がたくさんあったら、どうやって選びますか?

A:やっぱり、コマーシャルを見てよさそうかなって思ったものを買うかな。「あ、知ってる」って思うものに手が伸びますよね。いくら安くても、聞いたことがない商品は買えないなと思います。

 

③製品とのかかわり

はじめてその製品を使用したときの様子やその気持ち、子供の頃の思い出、今までで一番良かった、あるいは悪かった使用経験などを聞いていく。過去の経験が現在の意思決定や行動に影響を与えている可能性が多いので、詳細に掘り下げていく。

 

Q:最初にシチューを食べたのはいつですか?

A:やっぱり小さい頃、母親が作ってくれたシチューですね。最初はいつかはわからないけど、覚えているのは幼稚園の頃かな。私、シチューが大好きだったから、よく作ってもらいました、あと、給食のシチューも好きだったな。

Q:シチューを食べた時の気持ちは?

A:うーん、やっぱりおいしいって感じ?シチューって、おうちの中に匂いが漂うじゃない?カレーも同じだけど。外から帰ってきてその匂いをかいだたけで、なんかうれしい気持ちになりますよね。

 

④モチベーション・リサーチ的な(深層心理を引き出す)質問

対象となる製品や会話の流れ次第では、「この製品を人に例えるとどのような人だと思うか?」や「この製品を利用している人はどんな人だと思うか?」など、思いがけない質問を投げかけることで対象者に軽い驚きを与え、深層心理を引き出しやすくすることができる。

 

Q:ルウシチューを人にたとえるとどんな人だと思いますか?

A:え~っ、人?人って・・・なんだろう?うーん、ふくよかでニコニコしているおばさんっていうか、お母さんかな。

Q:具体的に、どんなおばさんやお母さんだと思いますか?

A:きっとお料理が上手な人だと思います。で、食べるのも好きな人。

Q:料理が上手で食べるのも好きと想像したのはどうしてだと思いますか?

A:うーん、やっぱりシチューをコトコト煮ているのって、料理上手で世話好きな人のイメージじゃない?それで、ときどき「できたかな?」とか言いながらつまみ食いしちゃうから、太っちゃう(笑)。

 

以上のインタビューから得られる仮説としては、「香りの良さのアピールがシチューを選ぶ際のフックになる可能性がある」「シチューというと「料理上手」という良いイメージのようだ」「その一方、潜在意識ではカロリーを気にしているようだ」ということでしょう。こうした仮説を販促活動に生かしていきます。

 

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

デプスインタビューの例①

顧客の潜在意識を探るための手段には、以前、ご紹介したデプス・インタビューがあります。デプス・インタビューとは、1人の対象者に対して価値観や利用動機・購買動機について深くインタビューするというものです。

 

<デプス・インタビューの例①>

「シャンプー 50代勤労主婦」

 

Q: シャンプーをしているときの気持ちは?

A: 洗っているときは気持ちよくないけど、髪をタオルドライした後とか、ドライヤーで乾かした後はすごく気持ちいい。全身気持ちいいのは髪洗った日。ふあ~っとした感じ。睡眠まで違う気がする。

 

Q: ふあ~っとした感じとは、具体的にどんな感じですか?

A: ドライヤーで乾かしたときのすごく爽やかな感じ。すごく好き。

 

Q: シャンプーすること自体はどうですか?

A: まあまあかな。シャンプーした後が好き。

 

Q: それはどんな気持ちですか?

A: 1日の疲れがとれた感じ。いい気分。すごくいい気分。

 

このインタビューの内容からは、「ユーザにとって、シャンプーは1日の締めくくりの儀式化ではないか?」という仮説が得られます。そして、販促として、「安眠をテーマとするプロモーションは従来なかった!香りなどで安眠訴求が可能か?」という仮説が得られます。

 

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

顧客の潜在意識を探る

■顧客の潜在意識を探る

 

人の意識には顕在意識と潜在意識があります。このうち潜在意識が占める割合は95%とも言われています。

 

新たな製品・サービスの開発、あるいは既存製品・サービスの新たな用途の提案を考える際に、よく用いられるのが「顧客にニーズを尋ねる」というものです。

 

たとえば、「この商品に何か不満がありますか?」「この商品をなぜ買い続けているのですか?」「この商品がこうなったらいいなと思うポイントはありますか?」といったことをインタビューの被験者に尋ねます。

 

こうした質問で答えられる情報は、被験者の顕在意識にもとづくものです。すでに気がついているから答えられるからです。しかしながらこうした情報は、新たな用途や価値の提案には結びつくことはあまりありません。

 

なぜなら、被験者である一般ユーザーはただの素人であり、「値段を安くして欲しい」「使い勝手を良くして欲しい」といったありきたりな答えしか出てこないからです。

 

これまでにない新たな用途や価値につながる情報を得るためには、顧客の潜在意識を探る必要があります。

 

 

■顕在意識を本音と取り違えると的外れな提案になる

 

次の質問について考えてみてください。

 

「今から約75年前、アメリカ人で牛乳を最も飲んだのはどんな人たちか?その理由は?

答えは、アメリカ軍の兵士たちです。理由は、遠く離れた故郷や家庭・家族を思い出せるからです。おそらく彼らに「なぜそんなに牛乳を飲むのか?」と尋ねても、「体力をつけて敵を倒すため」とか「健康を維持するため」といった回答しか得られないでしょう。

 

顧客に尋ねても潜在意識にある情報は得られません。文字通り潜在意識とははっきり認識していない認識であるからです。また、認識していたとしても見栄や気恥しさから本音をいうとも限りません。

 

質問から得られた情報(顕在意識にもとづく情報)を鵜呑みにすると、ユーザーの本音からかけ離れた商品・サービスを開発して的外れな提案になりかねません。

 

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

 

アピールするのは最初か最後か?(クライマックス法と反クライマックス法)

商品や企画を売り込む時に、もっとも強力なセールスポイントを最初に強調する方がよいか、それとも最後に強調するほうがよいか迷います。クライマックス法とは、アピール点を最後に持ってくる方法で、反クライマックス法とは、アピール点を最初に持ってくる方法です。

 

様々な研究成果がありますが、総合すると、相手がはじめから関心を持ってくれている場合はクライマックス法が効果的で、相手の関心が薄い場合は反クライマックス方が効果的と言えそうです。

 

相手が関心を持っており、先方から説明を求めてきた場合などは、周辺事項の説明をしながらメリットを小出しにしても、話についてきてくれるので、最後にガツンと決めゼリフを切り出すことで同意しやすい心理状態を生み出せます。

 

一方、相手の関心が薄いと、話を最後まで注意深く聞いてもらうことが難しいため、冒頭でガツンと決めゼリフをぶつけて関心を喚起する必要があります。

 

【参考】

『ビジネス心理学 100本ノック』榎本博明著 日本経済新聞社

 

好条件は先がよいか後がよいか(ザッツ・ノット・オール技法)

■好条件の提示は先が良いか後が良いか

 

最初から好条件を示した方がインパクトがあるという人もいれば、好条件は後から追加したほうがよいという人もいます。一体どちらがよいのでしょうか。

 

心理学者のバーガーは、カップケーキの販売を使った実験を行いました。ケーキには値段を付けずに、客から訊かれたら答えるようにします。その際に、2つの条件を設定しました。価格は同じです。

 

<第1条件>

値段を訊かれたら、まず最初に値段を告げ、客が迷っているときに「クッキーを2枚おまけに付けます」と付け加える。

<第2条件>

値段を訊かれたら、最初から「クッキー2枚とセット」の価格だとして値段を告げる。

 

結果は第1条件のほうが売れました。ケーキを購入した客の比率は、第2条件では40%だったのに対し、第1条件では73%と2倍近くになりました。

 

クッキーのおまけを付ける代わりに、値引きをする実験も行われました。こちらも値段は同じです。

 

<第1条件>

値段を訊かれたら高めの値段を告げ、客が迷っているときに本来の値段に値引きする。

<第2条件>

値段を訊かれたら最初から本来の値段を告げる。

 

ケーキを購入した客の比率は、第2条件では44%だったのに対し、第1条件では73%と大差がつきました。

 

先に好条件を示すよりも、後から好条件を追加したほうが購入率が高かったのです。

 

 

■後から好条件を追加するほうがなぜよいか?

 

なぜ後から好条件を追加したほうが客は買いたくなるのでしょうか?そこには2つの心理効果が作用しています。

 

1つは返報性の原則です。私たちは他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱きます。おまけの実験では、「おまけをつける」という形で、値引きの実験では「値引きをする」という形で売り手が譲歩したことになるため、買い手はそれに対する「お返し」として購入しなければいけないような気になるのです。

 

もう1つは「対比効果」です。おまけの実験でも値引きの実験でも、最終的な条件は同じでも、「おまけ」とか「値引き」とかがあったほうが得した気分になり、納得しやすくなります。

 

このように後から好条件を追加する説得的コミュニケーションを、ザッツ・ノット・オール技法といいます。こうしてみると、最初からギリギリの好条件を提示するよりも、最初は無理のない条件を提示しておき、相手型が納得しないとみてからギリギリの好条件を提示するほうが、話がまとまる確率が高いといえます。

 

【参考】

『ビジネス心理学 100本ノック』榎本博明著 日本経済新聞社

途中までだと気になる効果(ツァイガルニク効果)

「○○の件だけど・・・まあ、いいか。また今度」などと何か途中まで言われかけたりするとますます気になることはないでしょうか。中断された課題についての記憶は、完成された課題についての記憶よりも、思い出しやすい、つまり強く心に引っかかっていることをツァイガルニク効果といいます。

 

商品を大々的に取り上げず、断片的な情報だけを公開し、消費者の興味を引くことを意図したプロモーション手法のことを、ティーザー広告(じらし広告)といいますが、これもツァイガルニク効果を利用したものです。

 

ツァイガルニク効果は身近なことでも利用することができます。手間がかかって面倒な

仕事はあまり気が進まないものです。朝一番で取り掛かろうとは思わないでしょう。そんなときは、前日の仕事に終わりどきに、少し手をつけておくとよいです。手をつけた以上は気になって、次の日に取り掛かろうという気になるからです。

 

【参考】

『ビジネス心理学 100本ノック』榎本博明著 日本経済新聞社

心理的リアクタンス

「売れ切れまじか」「数量限定」「もうすぐ締切り」「先着100名様」といった文言を目にすると気になるものです。これは人が持つ心理的リアクタンスを利用したものです。

 

心理的リアクタンスとは、心理学者ブレームが提唱したもので、「自由を制限されたり奪われたりすると、自由を回復しようとする心理が働く」というものです。

 

私たちは、選択の自由を奪われることに強い心理的抵抗をもちます。ゆえに、「なくなるかもしれない」と思うと買いたい(確保したい)衝動が高まり、「今のうちに買わないと」と慌てて買ってしまうのです。「手に入れる自由」を失うと思い、そうならないうちに「手に入れる自由」を行使しようということになるのです。

 

もちろん、「数量限定」は、売るほうがそういった買い手の心理的リアクタンスをねらって行っているものですので、別にその機会で購入しなくても問題がないことも多いでしょう。数量限定に惑わされて、特に必要がないものまで購入してしまわないように気をつけたいものです。

 

 

■相手に選択権があるように思わせる

 

さて、心理的リアクタンスは、相手への説得の際にも意識する必要があります。あまりに押しつけがましく言うと、相手にとっては選択の自由が脅かされたと反発を招くことになります。

 

「私としてはおススメですが、よくご検討してお決めください」「A案とB案があり、一長一短がありますから、ご自身の事情に合わせて最適なものをお選びください」といったように、相手に選択権があるような言い方が求められます。

 

 

【参考】

『ビジネス心理学 100本ノック』榎本博明著 日本経済新聞社

 

 

説得にあたってのフロセス②

前回、マクガイアの「メッセージの受け手の処理プロセス」を取り上げましたが、一般には、マーケティング・コミュニケーション・プロセスのほうが有名です。

 

AIDMA

 

AIDMAとは伝統的な消費者の購買プロセスです。

 

Attention

その製品の存在を知る。

Interest

その製品に興味をもつ。

Desire

その製品を欲しいと思う。

Memory

その製品を記憶する

Action

最終的にその製品を購買する

 

 

AISAS

 

インターネット・SNS社会での消費者の購買プロセスです。

 

注意(Attention)→ 関心(Interest)→ 検索(Search)→行動(Action)→意見共有(Share

 

 

AMTUL

 

AIDMAが短期的な購買行動を示しているのに対し、AMTULは特定ブランドに対する長期的な態度の形成を示しています。

 

認知(aware)→記憶(memory)→試用(trial)→本格的使用(usage)→ブランド固定(loyalty

 

売り手としては、各段階を意識し、それぞれにあった対応が求められます。

 

 

 

説得にあたってのフロセス①

相手にこちらの説得を受け入れさせるためには、相手がこちらのメッセージをどう処理するかのプロセスについて理解しておく必要があります。

 

心理学者のマクガイアは、メッセージの受け手の処理プロセスを次のように捉えています。カッコ内は顧客管理ソフトの採用の例です

 

  接触

メッセージにはじめて接する

(ダイレクトメールである顧客管理ソフトXの案内が届き、目にする)

  注目

メッセージに注目し、好感や関心を持つ

(今までにない機能があり、自社の状況に合いそうだと関心を持つ)

  理解

メッセージの内容を学習し理解する。

(詳しい資料を取り寄せて、機能やサプライヤーについて理解する)

  承諾

メッセージの内容が妥当であることに合意し態度を形成する。

(最初の直感どおり、よさそうだと判断する)

  保持

態度の変化を記憶にとどめる。

(すぐに導入するわけではないので、記憶にとどめる)

  検索

外部情報や内部記憶から、代替案を検索し、比較検討する。

(これまで提案されたものや、他社のものを調べて比較する)

  決定

代替案を検討した結果、1つの案に決定する

(やはり今回のXがよさそうだと判断する)

  行動

採用した案を実行に移す

Xを導入する)

 

説得がうまくいかなかった場合は、このうちのどこかがまずかったということになります。

 

【参考】

『ビジネス心理学 100本ノック』榎本博明著 日本経済新聞社

 

相手の抵抗を和らげる(説得の技法⑤)

■説得への4つの心理抵抗

 

ビジネス上の説得においては、相手は疑心暗鬼で、いいように言いくるめられるのではないかと身構えます。こちらの提案や条件を受け入れてもらうためには、まずは身構えた防御姿勢を解除してもらわなければなりません。

 

そこで参考になるのが、心理学者ノールズたちが指摘する、説得への心理抵抗の4つの要因です。説得を成功させるには、これらの心理的抵抗を和らげる必要があります。

 

  リアクタンス

奪われた自由を取り戻そうとすること

  不信

警戒心が強く、相手の提案や説明を疑うこと

  吟味

相手の提案や説明を慎重に検討しようとすること

  惰性

面倒くさがって、なかなか現状を変えようとしないこと

 

 

■心理的抵抗の解除のためにやるべきこと

 

4つの心理抵抗を和らげるためにやるべきことは、次のとおりです。

 

  リアクタンス

私たちは「選択の自由」を奪われることに対して強い心理的抵抗を持つため、押しつけがましい言い方は避けるべきです。無理なお願いはしなしといった姿勢が、「採用してみようか」「受け入れようか」という気持ちを引き出しやすくなります。

  不信

相手方にどのようなメリットがあるのか具体的に示すことが大切です。たとえば「どれくらのコスト削減になるか」「どれくらい売上が見込まれるか」といったことです。  

  吟味

相手方の批判的思考や検討に耐えられるように、用意周到に準備しておくことが求められます。ありうる相手からの質問をシュミレーションし、回答を用意しておきます。

  惰性

現状を変えるには相当なエネルギーがいるため、現状を維持する修正が私たちにはあります。現状を維持することの問題点と、変えた際のメリットを具体的に示します。

 

 

【参考】

『ビジネス心理学 100本ノック』榎本博明著 日本経済新聞社

 

雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断9月号」が発売されました。

9月号


今回のテーマは、「キャリアはデザインするものか?

――自己実現にこだわりすぎない正しいキャリアの歩み方」です。

 

「毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか,30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と,どっちがいいか?」

6月に阪神電鉄の車内に掲示された中吊り広告がネットで炎上しました。「自分は30万円ももらっていない」「収入感覚が世間ずれしている」という批判が殺到したといいます。

 

それはさておき,この広告の主張が「金よりもやりがい(自己実現)が大事」ということは明白でしょう。仕事にやりがいを求めるのは自然なことです。「自分の強みや,やりたいことを明らかにし,自己実現できる仕事を選ぶことが大切だ」ということで,大学でも早ければ1年くらいからキャリアデザインを履修するようです。今回はキャリアデザインについて考えます。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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