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2軸図・構造シフト発想法

■2軸図

 

2軸図とは、縦軸と横軸で平面に区切り、情報を定性的にプロットするとともに、中心からどれだけ離れているかという配置によって定量的な意味合いを表すこともできる可視化ツールです。

 

商品のポジショニングで使われるポジショニングマップが有名です。

 リポジション2


■構造シフト発想法

 

構造シフト発想法とは、常識や定説、固定概念など、発想の妨げになるバイアスを特定したうえで、概念をシフトさせることによって、既存の枠組みを超えた、まったく新しい発想を得ようとする手法です。

 

シフトとは、当然のこととして考えていた目的や条件、変数を「ずらす」ということです。下の図は、「新しい文化祭の出し物」をテーマにした2軸図と構造シフト発想法の活用例です。

構造シフト発想法


シフト①は、既出のアイデアを軸をまたいで移動させることによる発想パターンです。もともとは「楽しみ」の領域に属する「お化け屋敷」を「学び」の領域に移すことで、「先生がお化けの模擬授業屋敷」というアイデアを強制的に発想させています。

 

シフト②は同じ領域の中で配置を大きく変えることによる発想パターンです。「謎解きスタンプラリー」の学びの要素を強めることにより、「期末試験対策ラリー」を発想させました。

 

シフト③は、もともと2軸図にはアイデアが存在しなかった領域に新しいアイデアを生み出す発想パターンです。この例では、「収入あり」と「学び」を同時に実現できることはないか?と考えることにより「地元企業の仕事体験」という新しいアイデアが生まれました。

 

【参考】

『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司編著 日経BP

 

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シナリオグラフ

今回から、いくつかアイデアの発想法についてご紹介したいと思います。アイデアの発想法としては、何も制限をつけない自由発想法(例:ブレインストーミング)がありますが、何も制限がないとどこから考えればよいのかわからず、かえってアイデアは浮かびにくいものです。今回、取り上げるシナリオグラフは、何らかの条件を設けて発想する強制連想法の1つです。

 

シナリオグラフとは、スタンフォード大の故石井浩介教授らが開発したもので、いつ、どこで、誰が、何をするといったシナリオ形式でアイデアを生み出していくものです。自由連想法に不慣れな人でも、与えられた条件に従いながら比較的容易にアイデアを出すことができます。シナリオグラフは、製品やサービス、コンセプトや機能などのアイデア出しに使われます。

 

<手順>

  アイデア出しのテーマを設定する

  たとえば、いつ、どこで、誰が、何をするといった枠組みを決め、アイデアを出していく。

  いろいろな要素を組み合わせて数多くのシナリオを作成し、考えたこともなかったシナリオから刺激を受けながら、インサイト(洞察)を得る

シナリオグラフは、条件を設けることでアイデアを出しやすくする発想法ですが、条件があるからといって型通りにアイデアで済ませず、限られた枠の中でも常識にとらわれずに発想し、斬新なシナリオを作りだすようにします。

 

また、いつ、どこで、誰が、何をするという4つの要素にこだわる必要はなく、検討する事項に応じて、他の要素を加えたり、入れ替えたりすることも有効です。

 

以下は、慶応システムデザイン。マネジメント研究科が開催したワークショップでのビジネスプランの例です。廃校を使い、都会人が農業するといったサービスや、「乙女」と「蓄える」を結びつけて乙女保険といった新商品の開発のヒントが得られたようです。


シナリオグラフ


【参考】

『システム×デザイン思考で世界を変える』前野隆司編著 日経BP

 


コミットメントと一貫性の原則③

コミットメントと一貫性の原則(人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたい(あるいは一貫していると見られたい)いう心理)の企業での応用例を紹介します。

 

■目標管理制度

 

目標管理制度とは、個人(またはグルーブ)ごとに目標を設定し、それに対する達成度合いで評価を決める制度です。本来は、目標管理シートは、部下が自ら設定した目標を達成するために、日頃から上司が支援する(日頃から進捗を管理する、達成するためのアドバイスをするなど)ものです。

 

部下は自らの目標を宣言することで、その実現にコミットするということになりますが、これはコミットメントと一貫性の原則に沿った行動といえるでしょう。

 

 

■自社商品の良い点を挙げてもらう

 

企業によっては商品の推薦文のコンテストを多額の費用をかけて行っていたりします。「私は○○をとても気に入っている。なぜなら・・・」といった自社商品の推薦文を集め、優れていると判断したものに企業が賞品を出すのです。

 

応募する側としては、当然、その企業の商品を褒めちぎる内容の文章を記載することになります。文章で褒めてしまっている以上は、それに一致するように、今後もその商品を愛用したり、誰かに薦めたりすることになります。

 

顧客の声を集めるということは、その声から自社商品の改善点を見つけること以上に、顧客の自社や自社商品に対するコミットメントを高め、継続利用につなげられることになるのです。これは、「自社商品の良い点」だけでなく「悪い点」を集める場合でも同様です。悪い点を指摘した以上は、顧客は自社とのかかわりを深めてしまっているからです。

 

【参考】

『影響力の武器 第二版』ロバート・B・チャルディーニ著 誠信書房

コミットメントと一貫性の原則②

前回に続き、「コミットメントと一貫性の原則(人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたい(あるいは一貫していると見られたい)いう心理)」の例を挙げてみます。

 

■軽い気持ちで同意をしてしまうと、心理的に束縛される

 

社会心理学者のスティーブン・H・シャーマンは次の実験をしました。

 

インディアナ州ブルーミントンの住人何人かに、調査の一環だと言って電話をかけ、「もし米国ガン協会のために3時間募金活動をしてほしいと頼まれたらどうしますか?」と質問しました。調査員に冷淡だと思われたくなかったのか、多くの人が喜んで協力させてもらうと答えました。その数日後に米国ガン協会の代表が電話をかけ、近隣をまわって寄付をあつめてほしいと頼んだところ、進んで協力してくれた人は通常の7倍にものぼったのです。

 

募金活動をするのは面倒なはずです。一度、軽い気持ちで同意をしてしまうと、たとえそれに法的な拘束力がなくても、心理的に束縛されることになります。

 

■機嫌を聞くだけで、頼みごとが受け入れられる

 

消費者行動の研究者のダニエル・ハワードは、次のような実験を行いました。

 

<実験1>

テキサス州ダラスの住民に電話をかけ、「飢餓救済委員会の代表がお宅にうかがって、クッキーを売らせて頂いてもいいですか。その売上は、飢えに苦しむ人々への食事代として使われます。」と頼み込みます。

 

<実験2>

相手が電話に出たら、「今日のご気分はいかかですか?」とたずね、その答えを聞いてから、上記の頼みを切り出します。

 

実験2では120人のうち108人が「元気ですよ・「上々です」「まずまずです」といった肯定的な返事をしました。次に、気分を聞かれた人の32%が、クッキーの訪問販売を受け入れました。これは実験1のただ頼まれただけの場合のほぼ倍の成功率です。そして。訪問販売を受け入れた人の89%がクッキーを購入したのです。

 

「自分はいい状態だ」と何の気なしに答えたとしても、自分が恵まれた状況にいることを自ら認めたことになります。その結果、ケチ臭く思われるのが何とも気まずくなるので、相手の頼みを断れなくなるのです。

 

相手に何か頼むときは、相手の機嫌をたずね、「よい」と答えたときに限ります。

 

【参考】

『影響力の武器 第二版』ロバート・B・チャルディーニ著 誠信書房

 

 

コミットメントと一貫性の原則①

人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたい(あるいは一貫していると見られたい)という心理が働きます。これを「コミットメントと一貫性の原則」といいます。

 

心理学者のトマス・モリアーティの実験を紹介します。ニューヨーク州のあるビーチで盗難事件を仕組み、それを目撃した人が、危険を顧みずに阻止するかを実験しました。

 

実験の協力者は、無作為に被験者を選び、その人のビーチシートから1.5mほど離れたところにビーチシートを敷きます。その後、協力者はゆったりとくつろいで持参したラジオから流れる音楽に耳を傾けます。そしてしばらくして立ち上がり、シートから離れてビーチの散歩に出かけます。そこにサクラの泥棒が表れ、協力者のラジオを盗んで立ち去ろうとします。

 

<実験1>

協力者は、近くにいる被験者に何も声をかけずに、ビーチの散歩に出かけます。

<実験2>

協力者は、近くにいる被験者に、「荷物を見ていてもらえますか」と声をかけて(被験者の全員が請負いました)、ビーチの散歩に出かけます。

 

実験1では、泥棒を止めようとしたのは、20人中わずか4人でしたが、実験2では20人中19人が泥棒に「何をしているんだ」と声をかけて止めようと詰め寄りました。

 

見ず知らずの泥棒に声をかけることは勇気がいる行為です。にもかかわらず、荷物を見張ることに同意したために、その同意を果たそうという意思が生じたものと考えられます。要は、最初の発言のつじつまを合わせたのです。

 

 

【参考】

『影響力の武器 第二版』ロバート・B・チャルディーニ著 誠信書房

 

 

政府は国債発行を増やすべき

間をおかず二度の大型台風で河川の氾濫等により甚大な被害が報道されています。都内に比べて地方の防災インフラの脆弱性が指摘されています。

 

報道では被害の内容や、早く避難しろといった個人の対応、被害発生時の地方行政の対応についてのものがほとんどのように感じます。これでは「大変ですねえ」「気をつけなければいけませんねえ」で話が終わってしまいます。

 

激甚災害指定される災害は必ず年に数回あるということを考えると、国としての対応が求められます。しかしながら、消費増税時にみられたように、「国の財政再建が必要」というのがメディアのスタンスなので、財政出動によるインフラ整備の議論はほとんどされません。

 

「箱モノ行政」と揶揄されるような予算のバラマキはするべきではありませんが、費用(投資)対効果が見込めるもの、すなわち財政投資以上に経済的利益がある案件については、いくら財政出動しても妥当性があります。

 

公共投資を決める際の基準にBCBenefit Per Cost 費用対効果分析)というものがあります。Cを上回るBが見込めるものは、すべて実施されることが合理的です。

 

防災インフラはその典型です。インフラ投資により、経済的ロスを大幅に抑えることができ、その効果は将来世代へと続きます。

 

さらにインフラ投資のための資金調達環境も最適なタイミングです。日本国債の利回りは、10年ものまですべてマイナスの金利です。これは政府が国債を発行したら、金利収入が入ってくる(国債を発行するほど国は得をする)という状態です。マイナス金利の状態では、国債は負債ではなく資産となるのですから、政府はもっと積極的に国債を発行すべきです。

 

さらにいえば、現在、日銀は買い入れ対象となる国債が不足しているので、買いオペの量を大幅に縮小しています。政府が積極的に国債を発行すれば、日銀は買いオペ額を増やすことができ、脱デフレにもつながります。

 

このような主張は嘉悦大学の高橋洋一教授がさかんに主張されていますが、財政再建という美旗を掲げ、増税すら是認する現在の環境のもとではかなり厳しいでしょう。

オープン・イノベーション⑤(どのような技術を求めるか)

どのような技術を外部からオープン・イノベーションで募集するとよいのでしょうか。東レでは、「コア技術とそれを支える周辺技術に関して東レが強みを持ち、不足している一部の周辺技術を求める場合に、最もオープン・イノベーションが効果を発揮する」と結論づけています。

 

同社では、下記の3つのテーマからトライアルで技術募集を行いました。

オープンイノベーション3


外部に技術を募集する際には、次のような求める技術要件を明らかにする必要があります。

 

<革新的な耐指紋コーティング技術募集>

求める要件

・透明性:平行線透過率88%以上

・光沢性:60°光沢度130‘%以上

・耐指紋性:

オレイン酸の後退接触角75°以上

 皮脂の多い指紋を付着した場合に容易に拭き取れること

・製造プロセス:プラスチックフィルム上にコーティングできること

・安全性:人体に明らかに有害な材料を使用しないこと

 

自社にコア技術とそれを支える周辺技術に関して強みがあり、不足している一部の周辺技術を外部に求めるのであれば、相手にとって求める技術が非常に具体的であり、意図が読み取りやすいでしょう。相手にとっても、しっかり提案を評価してもらえると感じるし、うまくいった場合のインパクトも理解できるので、提案するモチベーションがあがります。

 

オープン・イノベーションだからといって、自社が知らない技術をなんでもかんでも募集すればよいというわけではありません。しっかりとした技術基盤がない企業とは誰も組もうとはしないでしょう。

 

【参考】

『オープン・イノベーションの教科書』星野達也著 ダイヤモンド社

 

 

 

オープン・イノベーション④(外部に求める技術の探索)

外部に求める技術を探索するためには、まず、新技術達成のためのアプローチの洗い出しを行い、その上で期待できる技術を考え、具体的なパートナー候補を想定します。「太らないパスタ」を例にします。

オープンイノベーション2

このように課題をブレークダウンしたうえで、どのような技術が必要になるかをしっかり見分けることによって、より確度の高い技術探索が可能になります。「太らないパスタをつくりたい」というニーズが、最終的に「小麦の遺伝子改良技術募集」や「満腹感を高める食材募集」となるかもしれません。

 

【参考】

『オープン・イノベーションの教科書』星野達也著 ダイヤモンド社

オープン・イノベーション③(オープン・イノベーションのタイプ)

■誰かが解決策を持っている

 

オープン・イノベーションの必要性を端的に示すものとして、P&Gの認識を例に挙げます。

 

「自社には8600人の研究者がいるが、世界には最先端技術の研究者が150万人いる。自社のみでは解決できない課題に関しても、世界中を探せば、誰かが解決策を持っているはずだ。それを使えば研究開発は加速する。」

 

 

■オープン・イノベーションのタイプ

 

ひとことでオープン・イノベーションといっても、次の類型があります。

 

●自由参加のコンソーシアム型

 

コンソーシアムとは、「互いに力を合わせて目的に達しようとする組織や人の集団。共同事業体。」のことです。

 

自由参加のコンソーシアム型とは、複数の組織が異なる知見を持ち寄って新しい技術を創造し、そこで得られた成果は皆で享受するという考え方です。

 

たとえば、OSLinux80年代にアメリカで組織された半導体技術強化の為のSEMATECH、慶應大学の清水浩教授が率いるSIMドライブが企業や自治体と連携して進める電気自動車開発などがあります。

 

参加者のメリットは大きいですが、知的財産権の帰属や、利益配分といった困難があります。

 

●戦略的提携型

 

明確な主体者が明確な目的を持ち、その目的の達成のために必要な資産や技術を持つ組織を見つけて協業します。大きく技術探索型(インバウンド型)と技術提供型(アウトバウンド型)があります。

 

  技術探索型(インバウンド型)

外部の技術を探し出して自社の製品に応用するというものです。オープン・イノベーションといえば、普通は技術探索型(インバウンド型)を指します。

 

  技術提供型(アウトバウンド型)

自社が保有する技術を他社に売り込んだり、他社の技術応募に対し提案したりすることです。ただし、自社が保有する技術を必要とする他社を見つけるのはかなり困難です。

 

【参考】

『オープン・イノベーションの教科書』星野達也著 ダイヤモンド社

 

オープン・イノベーション②(全社的なコミット)

オープン・イノベーションでは、既存のネットワークを超えて、これまで付き合ったことのない組織・企業との協業という面が強調されます。しかしながら、これは並大抵のことではありません。開発者は自らの開発成果によって報酬を得るという立場ですから、やはり自前で開発したいという意図が強くでます。また、これまで付き合いのない相手に対する不安や警戒もあるでしょう。

 

したがって、オープン・イノベーションを推進していくためには、経営者あるいは会社全体として強くコミットすることが必要となります。

 

フィリプスでは、2010年に発表した全社戦略「VISION 2015」の中で、「ワールドクラスのオープン・イノベーション企業を目指す」ことを明文化し、その詳細として以下の項目を挙げています。

 

  よりよい技術をいちはやく獲得することで、研究開発を促進する。そのために積極的に社外から情報を入手する。

  オープン・イノベーション活動を推進するリーダーを任命する。

  2015年までには、商品化のためにキーとなる技術の50%は、外部から導入するようにする。

 

そのうえでオープン・イノベーションに特化した3年計画として、2010年から2012年までの中期プランを作成しました。2010年は「展開」、2011年は「定着」、2012年は「継続」の年として、各年の目標を掲げました。特に初年度の2010年は、以下のような具体的な活動目標のもとに、一気に活動を展開しています。

 

  オープン・イノベーションを進める風土を醸成し、成功体験を蓄積する。そのために数多くの開発テーマでオープン・イノベーションを実践する。

  少なくとも、全体の25%にあたる800人の開発者が、この間にオープン・イノベーションを実践する。

 

同時にオープン・イノベーションチームを立ち上げ、担当ディレクターに権限を付与し、活動推進を任務とする専任メンバー3人を選定しました。

 

 このような取り組みにもかかわらず、実際にオープン。イノベーションにためらいを感じる研究開発者が多く、なかなか推進には至らなかったようです。そこで、社員に対し、以下のトップメッセージを発しました。

 

・他社よりも先にゴールに到達するために社外技術を活用することは、恥ずかしいことではない。「社外技術活用に誇りを持つ」という考え方を意識すること。

・早期の失敗も成功のうち。失敗を恐れずにチャレンジすること。「やりながら学ぶ」を意識すること。

 

 

【参考】

『オープン・イノベーションの教科書』星野達也著 ダイヤモンド社

 

オープン・イノベーション①

■オープン・イノベーションとは?

オープン・イノベーションという言葉は、2003年に、当時、ハーバード大学で教鞭をとっていたヘンリー・チェスブロウ教授が出版した書籍で使用されたことから、広く世の中に知れ渡るようになりました。

チェスブロウ教授によれば、オープン・イノベーションとは、「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること」と定義されます。


■従来のアライアンスと何が違うのか?

技術革新のスピードが早く、また成果をすぐに出さないといけない今日、以前から戦略的提携(アライアンス)など外部との協働の必要性が主張され、実際に多くの連携が行われています。それなのに、なぜ新たにオープン・イノベーションという考え方が出てきたのでしょうか(言い換えれば、従来のアライアンスとオープン・イノベーションとは何が違うのでしょうか)。

従来型の企業間の連携は、あくまで身内同士(これまでも付き合いのある企業同士)の協働という傾向がありましたが、オープン・イノベーションでは、既存のネットワークを超えて、これまで付き合ったことのない組織・企業との協業という面が強調されます。その結果、これまでにない発想や技術の獲得が期待できます。

オープン・イノベーションを積極的に行っているフィリップスでは、オープン・イノベーションを「これまで付き合ったことのない組織の技術を取り込む」と表現しています。

オープン・イノベーションは、「自社で足りない部分を、他社にやってもらう」ということではなく、社外の優れた技術を自社に取り込むために行われます。


【参考】
『OPEN INNOVATION』ヘンリー チェスブロウ著 産能大出版部
『オープン・イノベーションの教科書』星野達也著 ダイヤモンド社

ウェブ・モチベーションリサーチ③

前回、前々回でとりあげたビーフシチューのウェブ・モチベーションリサーチから、マーケタは次のような仮説を得ることができます。

 

・日常の小さな特別感をアピールする「『今日はちょっとがんばった!』そんなご褒美にビーフシチュー」といったプロモーションはどうか?

ビーフシチューのイメージをカジュアルダウンし、「ビーフシチュー+αで毎日楽しむ」といったアレンジの提案によるプロモーションはどうか?

 

<調査結果から得られた着眼点>

1.特別な日の料理のイメージが強い。高級化の可能性もあるが頻度という点で弱い。頻度アップの工夫が必要。

2.子供も楽しめるのだが、大人のイメージが強く定着。高級感・上品さという憧れのイメージが強く存在(近寄りにくい、紳士、繊細・・・)

3.高級イメージなのに手がかからないという矛盾を感じている。手間をかけたイメージがあるからこそ、特別な日の愛情をかけた料理(主婦の手間=家族への思いというイ メージの存在)と感じている。

 

上記の仮説をもとに、プロモーションの工夫案を考えます。

 

<プロモーション工夫案>

1.高級感を維持しながら、利用シーンを増やす

「何かあったらビーフシチューだ!」、子供の誕生日やクリスマスなど従来の特別な日に加え、日常のご褒美などカジュアルな特別の日を作り、頻度の向上につながるセールスプロモーションの実施。

 

2.さらなる高級化の機会を利用し、しかも子供にも本物の味を食べさせるイメージづくりをする。

 

●今回の調査により、ビーフシチューは子育てには重要だが不可欠なものではないと捉えられていることがわかった。今後、「主婦の手間=愛情のこもった料理(=家族への思い)」というイメージを利用し、「手間をかけた感」から、「子供の精神的な育成」「家族の絆」という連想強化を図る。ただし、実際の手間は通常それほどかけさせず、オプションで手間をかけられるイメージをつくる。またルウはじっくり手間をかけてあることをアピール。

●ビーフシチューは「中身のある魅力的な男性だ」というイメージが強いので、「男らしさ」の側面からアプローチし、男性の利用を増やす可能性もある。

●「子供も好む味である」というイメージの強化

 

3.ルウの特徴・味をわかりやすくして、ルウの使い分けを提案

 

●味が複雑で、ルウをいくつ試してもお気に入りに出会えないというネガティブなイメージがある。商品マップのようなルウマップをどこかで提示する必要がある。ルウの味をひと目でわかりやすくし、オケージョンでの使い分けを促す。

●また複数のルウのミックスという上級コースを用意することで手間をかけたという感覚を演出することも可能。ルウを使い切れずに余り、賞味期限切れするというリスクも防げる。

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

ウェブ・モチベーションリサーチ②

前回に続き。ウェブ・モチベーションリサーチ(ビーフシチュー)の例です。

 

Q:ビーフシチューが仮に意思を持っているとすれば、あなたのことをどのように思っていると思いますか?理由を含めて50字以内でご自由にお答えください。

 

⇒「『忙しいときにしか使ってくれない』と思っている」と答えた人は、シチューを簡単なレシピだと捉えていて手抜きをしていることに後ろめたさを感じているのかもしれない。

⇒「『特別な日には僕の出番だよ』と思っている」と答えた人は、誕生日や記念日のようなときに、よい材料を使って手間暇かけて作るメニューだと感じていることが分かる。

 

Q:ビーフシチューを人間にたとえると、どのような人になるでしょうか?理由を含めて50字以上で自由にお書きください。

 

Q:仮にあなたがビーフシチューになったとします。そんなあなたは大好きな恋人にフラれてしまいました。そのフラれ文句は、

 

「ビーフシチューさん、あなたの(  ①  )は好きだったんだけど、(  ②  )が好きになれなかったんだ」

 

①②当てはまる言葉をそれぞれ20字以上でお答えください。

 

⇒たとえば①に「ワインが合うようなオシャレな雰囲気」、②に「毎日家で食べる気にはなれないところ」という答えが帰ってきたとする。その人は、ビーフシチューには特別感があるけれど、日々のおかずにはならないという不満を感じていることがわかる。

 

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

ウェブ・モチベーションリサーチ①

デプスインタビューが終わったら、第2フェースとして、「ウェブ・モチベーションリサーチ」を行います。デプスインタビューは手間がかかるので、せいぜい1015くらいのサンプルしかありません。よって、調査結果に偏りがある可能性があり、もっと多くのサンプルを集めてデプスインタビューで得られた仮説が正しいか検証する必要があります。

 

そのためには、検証のための調査票を作り、アンケートはインターネットで実施します。この調査結果は自由記述が多いため、分析にはテキストマイニングを活用し、記述解析、キーワードの構造解析により、仮説検証などを行ないます。サンプルは10001200名が望ましいですが予算次第です。

 

<ウェブ・モチベーションリサーチ(記述式)の例①ビーフシチュー>

 

Q:あなたはビーフシチューをどんなときに、どのように召し上がりますか?

当てはまる言葉をそれぞれ20字以内でお答えください。

 

「私はビーフシチューを(   ①   )ときに、(   ②   )食べます」

 

Q:ビーフシチューというとどのような事を思い浮かべますか?思いついたことを、理由を含めて50字以内で自由にお書きください

 

Q:ある冬の夜に家族でビーフシチューを食べています。

このとき、子供の左側にいるお母さんはどのような気持ちでいるでしょうか?母親の心情を50字以内で書いてください。

図1


「あなたはどうですか」と自分のことを尋ねられると、警戒したり、見栄をはったりしてしまって、本音で答えにくくなります。第三者的な立場で答えさせると本音を引き出しやすいです。

 

【参考】

『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』学習院マネジメント・スクール監修 ダイヤモンド社

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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