好意の原則①
好意の原則とは、「人は、魅力的な人物や、自分と共通点がある人の言うことを聞いてしまう」というものです。
■人は自分と似た部分がある人に好意を抱く
たとえば服装を例にした実験を見てみましょう。
ヒッピーカルチャー華やかなりし頃、実験者はヒッピー風の格好をして学生に「電話をかけるのに小銭を貸してくれないか」と声をかけました。
実験者が学生と同じような格好をしている場合は、3分の2以上の学生が小銭を貸してくれましたが、格好が違うと貸してくれた学生の割合は半分以下になりました。
ある研究によると、顧客は年齢や宗教、政治的意見、喫煙の傾向などが外交員と似ているほど、保険に加入しやすいそうです。
私たちは初対面の相手に何か自分との共通点を見出そうとしますが、それは好意を得るためには極めて合理的なことなのです。
■人は馴染みのあるものに好意を抱く
私たちは、馴染みのあるものに好意を抱くという傾向があります。テレビでよく目にするタレントは好感度が上がります。また、よく目にする名前の候補は選挙で得票を得やすいという話もあります。
小売店や飲食業で用いられる出店戦略に、ドミナント戦略というものがあります。これは一定地域に大量出店するというものです。その大きなねらいとして、地域の人たちに馴染みを持ってもらうことで好意を抱いてもらうことにあります。
■人は目的を共有する人に好意を抱く
目的を達成して利益を得るためには相手と協力しあわなければならない場合、人はその相手に対し好意を抱きます。
たとえば歴史的に見られるように、国民共通の敵を外部に作ることで国内の団結を図り支持率を上げようとする政治的手法はこれに沿ったものです。
経営者が社内の一致団結を図りたいなら、1つの課題を社内に浸透させることが有効です。
【参考】
「影響力の武器[第二版]」ロバート・B・チャルディーニ著 誠信書房