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顧客は本当は何を望んでいるのか?(ラダリング調査)

■ニーズと価値観は螺旋状につながっている

 

消費者の「〇〇が欲しい」というニーズは、その人の文化的・社会的・個人的価値観と連鎖上につながっていると考えられます。価値は通常、顧客の心理に内在されているものですから、商品選択の際に価値が反映されるものと考えられます。こうした価値とニーズが連鎖上につながっていることをベネフィットチェーンといいます。

 

<コーヒーメーカーの例>

特定の商品属性への顧客ニーズ

「デジタルタイマー付きで自動でコーヒーができ、きめ細かな泡(クレマ)も楽しめるコーヒーメーカーが欲しい。」

価値を反映した商品属性を持った商品群

「デジタルタイマーと、クレマが作れる機能が付いたコーヒーメーカー。」

結果を生み出す商品特性

「私が朝起きたときには、クレマが入ったコーヒーができていてほしい。」

望ましいベネフィット

「私は毎朝早く勤務先に出勤する」「毎朝気持ちよく起床する」

文化的・社会的・個人的価値観

「私の務めは、懸命に仕事に打ち込むこと」「毎日の生活を楽しみたい」

 

ラダリング調査とは?

 

このように特定の商品ニーズから出発して消費者価値に到達することがわかります。ニーズから出発して価値にさかのぼる調査技法をラダリング(梯子のぼり)調査といいます。

 

ラダリング調査では、「私はデジタルタイマー付きのコーヒーメーカーが欲しい」という消費者に対して、「なぜそのように思うのか」と尋ねます。その答えが「朝早く起きてコーヒーを飲みたいから」であったとしたら、さらに「なぜそう思うのか」と梯子の段を登るように、次々と「なぜ」の質問をしていきます。

 

単に表層的なニーズを探ってよしとするのではなく、その大元となる価値観を探ることで、顧客への訴求の仕方や新たな商品開発に活かします。

 

【参考】

『基本から最新まで マーケティングキーワードベスト50』田中洋著 U-CAN

 

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雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断3月号」が発売されました。今回のテーマは、「ブレグジットでイギリス経済は本当に衰退するのか?――むしろ今後の経済政策次第で成長もありえる」です。


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2016年6月の国民投票以来,イギリスのEU離脱は同国経済に甚大な損失をもたらす愚かな決定だというのが大方の見方です。

たとえばイギリスの国立経済社会研究所(NIESR)は,イギリスがEU離脱した場合,離脱しない場合に比べて年間700億ポンド(約9兆8,000億円)の経済損失が見込まれるとする報告書を発表しています。

私もブレグジットには懐疑的な見方をしていましたが,最近ではイギリスの痛手はそう大したことではないかもしれないと思い始めています。

スコットランド,北アイルランド等のイギリス連邦からの離脱の可能性といった問題もありますが,今回は経済問題だけに限ってブレグジットをめぐる賛否について取り上げます。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。

7・2・1の法則②

■育成に優れた上司の特徴

 

721の法則は個人の成長における経験の重要性を示唆したものです。

 

人材育成における経験の重要性を唱える松尾睦教授(神戸大学)によれば、育成に優れた上司の特徴は次の6つになります。

 

  ビジョン明確化

自分が楽しそうに仕事をし、努力をしている姿を行動で示した上で、部下に将来のビジョンを主体的に持ってもらう。

  目標のストレッチ

レベルの違う目標をバランスよく立てさせ、部下本人の能力よりも少し高い目標を立てさせる。

  相談・進捗確認

進捗を報告させる時間をとり、普段から相談しやすい雰囲気を作ることで、問題を抱え込まないようにする。

 

  自分で考えることを促進

最大限本人に考えさせ、納得させ、自分で解決できるようになってもらう。

 

  ポジティブ・フィードバック

問題点を指摘しても、プロセスの中でよかった点を見つけてほめたり、普段の仕事で成長した点を伝える。

 

  原因分析と改善策の策定

成功・失敗の原因を考えてもらい、どうすれば出来るようになるか、より合理的な方法がなかったかを考えさせる。

 

■自分の成長のために取り組めること

 

一方、部下が自分の成長のために取り組めることは、次のようになります。

 

・将来なりたい自分を描く

・現状に甘んじず適度に挑戦的な目標を掲げる

・良き相談相手や同じ目標を持つ仲間をつくる

・こまめに上司や先輩に自分の仕事のやり方の良い点・悪い点を評価してもらい、アドバイスを得る

・成功や失敗の原因を自分でよく考え、次に活かす

7・2・1の法則①

 721の法則とは?

 

721の法則とは、「経験7割、陶酔2割、研修・読書1割」という人材育成の法則のことです。

 

米国の人事コンサルタント会社ロミンガー社の創業者マイケル・M・ロンバルドとロバート・W・アイチンガーが、経営幹部としてリーダーシップをうまく発揮できるようになった人たちに「どのような出来事や機会が役立ったか」を調査しました。

 

その結果、「各自が自分の仕事経験を通じて職業能力を開発する機会」がもっとも多く、続いて、「上位者や先輩などから仕事上の体験を話してもらったり、観察したり真似したりして学習する機会」が2割あり、「読書や研修などの教育機会を通じた学習」が1割を占めました。

管理職にかかわらず、ビジネスパーソンには何らかの形でリーダーシップを発揮することが求められます。よきリーダーになるためのキャリア形成の指針となるのが721の法則です。また、721の法則は経験の重要さを示すものですが、これはリーダーを目指す場合に限らず、キャリア形成全体に言えることです。

 

 

■読書の重要性

 

さて、キャリア形成の要因で「研修・読書」が1割しかないというと、研修や読書は必要ないと考えてしまうかもしれません。しかしこれは誤解です。

 

経験から得た知識を体系的に定着させる、あるいは自分の経験からだけでは得られない別の視点や知識を獲得するためには、研修や読書は大変重要です。また事前に研修や読書によって知識があったほうが、経験で得たことをより適切に解釈することができます。

ブランドステートメント②

前回、ブランドステートメントについてご紹介しました。ブランドステートメントとは、ブランドの憲法と呼べるもので「顧客にどのようにブランドを捉えてほしいか」「顧客にどのような価値を提供するのか」を表明し、約束するものです。

 

各社のブランドステートメントを見ても書いてある内容はマチマチで特に決まった様式があるわけではありませんが、東急ハンズのブランドステートメントはなかなか秀逸だと思います。

 

<東急ハンズのブランドステートメント>

 

コンビニは「便利」を売る。ブランドショップは「豪華」を売る。魚市場は「イキのよさ」を売る。では、東急ハンズは何を売るところですか?とたずねられたら、「それはヒントです!」と言いきりたい。(ブランドエッセンス)

 

そう、ここには「できあいの答え」は、ひとつも置いてありません。

 

全フロアが、何かをつくりたい人、はじめたい人にとっての「きっかけ売り場」であり、「発想の一歩目」である。(ブランドターゲット)

 

心動かすことぜんぶ!が、ひとつのビルに、ぎゅっと詰めこまれている。

 

「アレがあるから行く」にとどまらず、「何だかわからないものに出会えるかもしれないから行く」・・・発見買いのヨロコビがあふれている。(ブランドパーソナリティ)

 

素材がうりのお店だから、流行のスタイルをまるごとそのまま提供はしないけれど、ここにあるパーツやヒントを組あわせていけば、実現できない夢は、きっとなさそうだ。(コア事業の具体的特徴・心理的価値)

 

だから、新しい東急ハンズは、いまのあなたにとっての「ヒント・マーケット」。お客さまがハンズでヒントを見つけ、くらしを創りだし、そして私たちもお客さまから明日のハンズのヒントをもらっていく。そんな幸せな関係を、もっともっとふくらませていきたい。(ブランドパーソナリティ・心理的価値)

 

モノ・コト・ヒトのすべてが出会い、すべての新しい価値がそこからうみだされる、うれしい場所へ。ヒトにヒントを、いままで以上に送り出していけるお店へ。東急ハンズの、ハンズらしい進化は、続いていきます。(ブランドエッセンス・心理的価値)

 

 

ブランドステートメント①

■ブランドステートメントとは

 

ブランドステートメントとは、ブランドの憲法と呼べるもので「顧客にどのようにブランドを捉えてほしいかを文章化し、それをステークホルダーで共有する」ツールです。またブランドが消費者を主軸に、さらにステークホルダーにどのような価値を提供するのかを表明し、約束するものです。

 

ブランドステートメントが確立されていない場合、各企業活動の方向性がバラバラになりかねません。一貫したブランドコミュニケーションを作る核となるのが、ブランドステートメントです。

 

■ブランドステートメントをどう表現するか

 

ブランドステートメントは、ブランドエッセンス(約束)、ブランドパーソナリティ(雰囲気)、機能的価値、心理的価値(製品特徴)などの要素を次のように編集し、文書化します。

 

(ブランドエッセンス)

ブランドXは、顧客に○○を約束し、

 

(ブランドパーソナリティ)

同時に〇〇のような性格や雰囲気を持ちます

 

(ブランドターゲット)

ブランドXは○○のような人たちに、

 

(事業、商品、コア技術などの具体的な特徴)

〇〇を通じて

 

(機能的価値と心理的価値)

〇〇のような便益と〇〇という気分をもたらします。

 

【参考】

『ビジュアル マーケティング・フレームワーク』原尻淳一著 日本経済新聞出版社

 

4A

■顧客視点でマーケティングを考える

 

顧客視点でマーケティングを考える視点に4Aがあります。顧客には探索者(商品を探す)、購買者(商品を買う)、支払者(実際に商品対価を支払う)、使用者(商品を使う)という4つの役割があります。4Aはこの4つの役割からマーケティングを考えます。

 

知名可能性(Awareness):顧客はその商品情報をどの程度知ることができるか

接近可能性(Accessibility):顧客は、その表品をすぐ入手して使うことができるか

購買可能性(Affordability):顧客は、経済的にまたは心理的に、その商品の価値を支払おうと思うか

受容可能性(Acceptability:顧客はユーザーとして、その商品をどの程度評価して使うことができるか

 

Pのように企業から顧客に働きかける発想ではなく、場面場面で変化する顧客の役割を多角的に捉え、「顧客が感じる価値」からマーケティングを発想します。

 

製品の情報を探索する探索者には知名可能性(ブランド認知とブランドの知識)、製品を買う購買者には接近可能性(製品入手の簡便さ、時間、在庫等)、製品の支払者には購買可能性(支払能力と意思)、製品の使用者には受容可能性(製品機能、ブランドイメージ)をつなげてチェックしていきます。

 

これらの4つの視点で商品のマーケティングを客観的に評価し、不備があれば対策を講じます。

 

 

■ルンバの例

 

ロボット掃除機のルンバの4Aの例を紹介します。

 

知名可能性:「本当にロボットに掃除ができるの」という疑問に答えるべく自社のウェブサイトでの動画紹介や、店頭でのデモンストレーションを展開。無料のパブリシティで多くの媒体で紹介される。

購買可能性:ルンバはあたかも家族の一員のように受け入れられ、ルンバが掃除を始めたから朝の活動を始めたという人も少なくない。顧客にとっては楽しいことと受け止められる。

受容可能性:日本で安い店では3万円代前半で買うことができる。掃除機にしては少し高いが革新的な掃除機が買えるという点では高くない。

接近可能性:ルンバは多くの家電量販店で買うことができ、ネットでも購入可能。ルンバを使うために難しい練習の必要もなく、スイッチを入れるだけでほぼ使える点も普及のメリットだった。

 

【参考】

『ビジュアル マーケティング・フレームワーク』原尻淳一著 日本経済新聞出版社

日銀審議委員に安達誠司氏が内定②

今回、原田泰氏に代わり日銀審議委員に就任予定の安達誠司氏(丸三証券経済調査部長)は一般の方には馴染みがないかと思いますので少しご紹介します。

 

実は安達氏は知る人ぞ知る経済予測的中率No1エコノミストです。たとえば消費増税後の日本経済、トランプ政権の経済予測、日銀金融緩和の効果、マイナス金利導入後の円高・物価上昇率下落など節目の予測はすべて当てているといってよいでしょう。さらに昨年1月末から2月に欠けて2回株価がクラッシュしましたがこれも予測していました。

 

経済は様々な要因がからむので予測は困難ですが、その中で安達氏の的中率は驚異的といってよいです。参議院議員の渡辺喜美氏も国会質疑の中で安達氏の著書を手に取りながら「この人の予測は本当によく当たる」と言っていました。

 

安達誠司氏の主なこれまでの予測や主張をまとめてみます。

 

・日本の長期デフレの要因は日銀の消極的姿勢であり、ほとんどデフレに誘導しているかのようであった。

・財政規律を優先するのは誤りで消費税引き上げによる国内消費の低迷は長期にわたる。

・その結果、2020年の日本経済は緩やかに停滞する。よかった雇用環境もすでに悪化の気配がある。

・働き方改革は残業代抑制を通じて国内消費にマイナスに作用する。ほとんどGDPには効果がない。

・現状を打破するためには政府が国債を発行して支出を増やし、日銀の買いオペ対象を増やすべきだ。アベノミクスは政府が足を引っ張っている。

・トランプ政権の経済感覚は利上げを志向するFRBよりも正しい。

・米中貿易戦争は覇権争いなので今後も続くが、中国がもはや詰んだのは明らかである。中国が成長できないのは明らかで一体一路構想はすでに破綻している。

・イギリスのEU離脱は経済的には合理性が高く、悪影響は少ない。

・一方、EU側は過度な緊縮政策と環境政策で今後も低迷する。

 

安達氏はネット上のコラムやネット番組で情報発信していて私も大いに当てにしていました。

 

ネットコラム:現代ビジネス 安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」

ネット動画:チャンネルくらら 安達誠司のマーケットニュース 

近著:「消費税10%後の日本経済」すばる舎

 

審議委員の国会提示により一切の言論活動が行われなくなってしまい、個人的にはかなり大打撃です。

 

一方、安達氏の主張とはまったく逆の主張をしことごとく外していた東大・一橋大・慶大の教授およびその傍流の学者、大手シンクタンク系エコノミストいまだに専門家として新聞やテレビで偉そうにコメントしているのを見ると呆れるほかありません。こういってはなんですが、アベノミクス以降だけを見ても新聞やテレビの経済予測はいつも外れます。

 

みなさんはいつも外れる専門家のいうことを信頼できますか?

 

日銀審議委員に安達誠司氏が内定①

政府は1月28日、衆参両院の議員運営委員会理事会に、日銀審議委員として安達誠司氏(丸三証券経済調査部長)を提示しました。国会決議を経ますがほぼ内定といってよいでしょう。

 

金融政策を決める日銀の政策委員会は総裁、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成されます。安達氏は原田泰審議委員の任期満了に伴う後任人事です。

 

現執行部のうち、若田部昌澄副総裁、片岡剛士審議委員、原田氏の3人がいわゆるリフレ派(金融緩和で緩やかなインフレを目指す)で、この体制が維持されます。

 

現在の日銀の執行部は金融緩和で一枚岩かというとそうでもありません。黒田東彦総裁は発言を聞いていると、就任当初のデフレ脱却への決意がかなりトーンダウンしており、金融政策も消極的な姿勢が感じられます。

 

日銀出身の雨宮正佳氏(副総裁)、金融機関出身の鈴木人司氏(審議委員)、政井貴子氏(審議委員)は出身母体から考えると反リフレと考えるのが妥当でしょう。

 

リフレ派の中でもっともアグレッシブな政策を主張し1人で政策決定会合で反対票を

投じるのが片岡委員(たまに原田氏が同調)です。副総裁の若田部氏も金融緩和積極派ですが、日銀法では「副総裁は総裁の補佐をする」ことが定められており、総裁の意見を支持せざるをえない立場です。

 

よって、安達氏が新たに加わってもなかなか現状を打破できないというのがおおかたの見方です。

最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク(その③)

拙著「「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人間になる」ご購読いただきました皆様!本当にありがとうございます!感謝に耐えません!

 

しつこくて申し訳ございません。引き続きまして拙著のご案内をさせてください。今回は中身の一部のご紹介です。


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こんな感じです。

 

「3つの交渉パターン」

使う目的:交渉で互いの満足度を高める

必須度:B

 

<シーン>

オフィス用家具の営業マンのマサキは、主要取引先であるX社から、急な増員にともなう100名分のデスク、イス、キャビネットの引き合いをもらった。客先からは、以下の条件が提示されている。

 

・総額3,500万円以内に費用をおさえること

・週末を使い、月1回ずつ3回に分けての納品を希望する

・特に30名分は至急納品してほしい

・支払い条件は、これまでどおり、半年後に現金振り込みにて支払う

・条件をのんでくれなければ他社に発注することも検討する

 

X社は重要顧客であるため、他社に注文を取られるわけにはいきかない。かといって、相手の条件をすべてのんでいては赤字になる可能性がある。マサキは、どのように対処すべきだろうか?

 

<フレームワークの説明>

交渉には、3つのパターンがあります。

()分配型交渉

限られたパイをめぐって、相互が自分の取り分(利益)の最大化を図るために行う交渉のことです。自分が得をすれば相手は必ず損をするし、相手が得をすれば自分は必ず損をするというパターンです。価格交渉が典型的です。

 

()利益交換型交渉

パイは限られていますが、自分が重要でない部分は譲り、その代わり自分にとっては重要だが相手にとっては重要でないものを引き出すというものです。

ある法人取引で、売り手は代金をその場で現金で欲しいというニーズがあり、買い手はできるだけ安く買いたいというニーズがあったとします。この場合、売り手側が多少価格を安くする代わりに、買い手側からその場での現金支払いを求めるという交渉が成り立ちます。

 

()創造的問題解決型交渉

交渉当事者が協力し合ってパイを拡大するというものです。パイを拡大すれば、互いの取り分は大きくなります。

例としては、隣同士で客の取り合いをしていた店同士が、遠方からもたくさんのお客を呼ぶことで互いに利益を高めるために、話し合いで協力し合って共同で販促活動を行うことにしたといったことがあります。

 

分配型交渉は「WIN-LOSE型」、利益交換型交渉と創造的問題解決型交渉は「WIN-WIN型」と言えます。

 

(実際には図がありますが割愛します)

 

<なぜ必要か?>

交渉を「自分の利益を最大化するためのかけひき」「限られた利益の奪い合い」と考えてしまうと、当事者同士が互いに譲らず、交渉がまとまらなかったり、力関係で上にある相手に押されて、十分な利益を得ることができなかったりといったことになってしまうでしょう。

 

できるだけ分配型ではなく、利益交換型(場合によっては創造的問題解決型)の余地がないか検討する必要があります。

 

通常、交渉から得られる利益は1つだけではなく、複数あります。交渉によって得られる自分と相手の利益をピックアップして、「自分には価値がないが相手には価値があるものがないか」「自分には価値があるが相手には価値がないものがないか」検討すると、利益交換型の余地が生まれます。

 

<シーンの場合はどうするか?>

シーンの場合、X社は4つの条件を示していますが、すべてが絶対条件とは限らず、何らかの優先順位があるはずです。マサキは客先に次のような問いをしてみるべきです。

 

「4つの条件のうち、絶対的なものはどれか(あるいは譲れるものはないか)」

「もし価格が絶対条件であるならば、効率化のために1回でまとめて納品してよいか(あるいは支払い条件を見直してもらえるか)」

「納入条件をのめば、価格や支払い条件は考慮してくれるか」

 

客先だからといって、相手の要求を絶対視するのではなく、譲ってもらえる部分がないか尋ねる必要があります。「自分には価値がないが相手には価値があるもの(」「自分には価値があるが相手には価値がないもの」があれば、条件を交換することによって互いに満足度が高まるでしょう。

たとえば、「価格は飲むが、納入条件や支払い条件は譲歩してもらう」といったことです。

 

<まとめ>

交渉は利益の取り合いではない。

ただ相手の要求を鵜みにするのではなく、自分と相手がともに得する余地がないか検討してみる

 

以上です。

図表があったりとデザインは実際の本とはもちろん異なりますが、おおよそこんな感じで35+αのフレームワークをと取り上げています。

 

 

本書のフレームワークを使うだけで、あなたは必ず「できる人」になります!

ご購読頂きますようどうぞよろしくお願い申し上げます!!

 

 

最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク(その②)

拙著「「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人間になる」が発売になりました。ご購入頂きました皆様には厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました!おかげ様で幸先よくスタートできました(ここからが大変なのですが・・・)。


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先日のご案内に続き、今回は内容面についてご紹介させて頂ければと思います。

 

<内容紹介文>

 

最初に手に取るべきビジネス書はこれ!

手っ取り早く「デキる人間になる」ノウハウをお教えします!

「誰でも」「すぐに」使える20代のためのビジネススキルのツール集

 

この本では一般の若手社員の方のためのビジネス・フレームワーク(ツール)を35紹介します。ビジネス・フレームワークとは、ビジネスにあたっての「考え方の枠組み」のことです。フレームワークは、実用性とシンプルさが命なので、大変重宝します。この本では、状況に応じて、どのフレームワークを使うべきか説明していきます。

 

<この本で取り上げるフレームワーク>

1.思考と意思決定のためのフレームワーク

2.計画のためのフレームワーク

3.問題解決・改善のためのフレームワーク

4.コミュニケーションのためのフレームワーク

5.アイデア発想のためのフレームワーク

6.キャリア形成のためのフレームワーク

 

<この本の特徴>

・普通のビジネス・フレームワーク(経営幹部や経営コンサルタント向け)とは異なり、一般の若手ビジネスパーソンを対象にしています。

・「本当に使えるもの」「すぐに使えるもの」だけを厳選しました!

・みなさんが実際の仕事で「どのフレームワークを使えばよいのか」がわかるように、「具体的なシーン」や「使う目的」をのせています。

 

<この本の対象者>

・一般の若手社員の方で、スタートダッシュで同世代に差をつけたい方

・手っ取り早く普段の仕事で使うスキルを身につけたい方

・部下の指導にあたり、日頃から使える体系的なノウハウ集をお探しの管理職の方

 

本書のフレームワークを使うだけで、あなたは必ず「できる人」になります!

 

ご購読頂きますようどうぞよろしくお願い申し上げます!!

 

アビリーンのパラドックス

 「自分はそのアイデアに反対だがみんな黙っているところを見ると賛成なのだろうと反対意見を控えていたらそのアイデアが通ってしまった。後から聞いたら実はみんな反対だった」なんていう経験はありませんか。これをアビリーンのパラドックスといいます。

 

経営学者ジェリー・B・ハーヴェイの論文の中に出てくる小話が名前の由来です。

 

「ある八月の暑い日、アメリカ合衆国テキサス州のある町で、ある家族が団欒していた。そのうち一人が53マイル離れたアビリーンへの旅行を提案した。誰もがその旅行を望んでいなかったにもかかわらず、皆他の家族は旅行をしたがっていると思い込み、誰もその提案に反対しなかった。道中は暑く、埃っぽく、とても快適なものではなかった。提案者を含めて誰もアビリーンへ行きたくなかったという事を皆が知ったのは、旅行が終わった後だった。」

 

 誰も反対意見を言わないと反対意見はかなり出にくいものですが、1人でも反対意見が出ると反対意見は格段に出やすくなります。意思決定の過程で必ず反対の立場から言う役割を担う人を必ず用意する(悪魔の代理人)、必ず反対意見を検証してから決めるようにするといった工夫が求められます。

マッキンゼーの7S

マッキンゼーの7Sとは、経営戦略の実現可能性を判断したり、組織全体の整合性を図ったりする際のチェックリストです。コンサルティング・ファームのマッキンゼーによって提唱されました。7Sはソフトの4Sとハードの3Sに分かれます。

 

◇ソフトの4S⇒従業員の内面に関するもの

Shared value(共通の価値観・理念)

Style(経営スタイル・社風)

Staff(人材)

Skill(スキル・能力)

 

◇ハードの3S⇒企業の構造に関するもの

Strategy(戦略)

Structure(組織構造)

System(システム・制度)

 

企業の実力を見る際のポイント週として役に立ちます。

 

5S

5Sとは、「職場の管理の前提となる整理、整頓、清掃、清潔、しつけ(躾)について、日本語ローマ字表記で頭文字をとったもの」です。

 

整理(捨てる):必要なものと不必要なものを区別し、不必要なものを片付け

ること。

整頓(一目でわかるようにする):必要なものを必要なときにすぐ使用できるように、決められた場所に準備しておくこと。

清掃(きれいにする):必要なものに付いた異物を除去すること。

清潔(整理・整頓・清掃を維持する):整理・整頓・清掃が繰り返され、汚れのない状態を維持していること。

しつけ(躾:守る):決めたことを必ず守ること。

 

必要がないものが多いと、スペースが無駄になるばかりが、必要なものが探しにくくなります。

 

また「必要なものの置き場所がわからず探すのに時間がかかる」「設備や道具に汚れがついていて必要なときにすぐに使えない」のは問題です。

 

確かに「置きっぱなし」「やりっぱなし」は楽かもしれませんが、後で問題が生じると、かえって多くの時間や労力をとられることになります。面倒であっても日頃から5S活動を徹底することで、生産性は大きく向上します。これは職場全体に限らず、個人の生産性でもいえます。

 

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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