ストーリーを経営に活かす⑪
前回の商品のマーケティングを行なう場合の物語設定のフォーマットの例です。
<対象商品>
ゼリー状スポーツ飲料「しこたまゼリーZ」
<世界観設定>
・スポーツコミックまたはスポーツ小説
・地方都市の中小企業が舞台。女性の登用とは掛け声ばかりの男性社会。
<登場人物設定>
●主人公設定
・池田コズエは高校を卒業し、地方の信用金庫に就職したばかりの新入社員。
・やる気まんまんだが、その意欲は空振りしがちである。
・学生時代に陸上(長距離)の選手であったが、その才能はまだ開花していない。
●敵対者設定
犬飼=総務部長兼会社の陸上部長(40代後半のオヤジ)
●協力者設定
鷹野=陸上部コーチ(30代前半でイケメン)
<タイトル案>
「走れ、コズエ!」
<物語の流れ>
●越境
六角信用金庫に就職したコズエは、犬飼総務部長の勧めで意気揚々と陸上部の門を叩く。陸上部員全員から歓迎される。
●危機
しかし蓋を開けてみると、実は女子チームとして実業団に登録されておらず、コズエはマネージャーとして起用されたに過ぎなかったことを知る。くさるコズエ。ジャンクフードのやけ食いに走り体脂肪も急激に増えてしまう。コズエは退部届けをコーチの鷹野に持っていく。
●成長
鷹野は学生時代に前途を嘱望されたが、怪我で引退。弱小実業団チームのコーチに就任していた。「くさらずにチャンスを待て」という鷹野の助言で、コズエは密かにトレーニングを再開する。コズエのトレーニングの傍らにはいつも「しこたまゼリーZ」があった。その姿を鷹野が偶然発見。コズエの才能に改めて驚愕する。間もなく実業団駅伝の日がやってこようとしていた。
●勝利
ランナーの1名が交通事故で骨折というアクシデント。7区間を7人で走らなければならないこの弱小チームにとって1名の欠落は、同時に欠場を意味していた。困惑するチームメンバー。しかし鷹野は女性であるコズエの起用を決断する。コズエは男子ばかりは走る実業団駅伝に唯一の女子ランナーとして出場する(ルール違反だがあくまでフィクション)。ラストシーン。コズエはお気に入りの「しこたまゼリーZ」を飲み、区間を颯爽と走り抜ける。
<ブランドインサイト>
勝負の本番で、その人の持っている潜在能力を全開させる飲料。
<物語の伝達方法>
レディースコミックの人気漫画家に作品を描いてもらい、雑誌でのプロダクトプレースメント・タイアップを図る。
【参考】
「事例でわかる物語マーケティング」山川悟著 日本能率協会マネジメントセンター