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メンタル・アカウント

人間は消費活動をする際に、場合に応じて様々な基準を適用します。「給料は大切に遣うが、あぶく銭は散財する」「水道光熱費はケチるがブランド品は衝動買いする」などいろいろです。人間のもつ様々な非合理的な会計勘定をメンタル・アカウント(心理的会計)といいます。

 

この消費者が持つメンタル・アカウントを企業が無視するとトンデモないことになります。アメリカの大手小売業者のJCペニーを例にします。同社ではほぼすべての商品の値札に希望小売価格を提示しつつ、それを端数価格にディスカウントしたり、クーポンを発行して値引き販売をしたりしていました。

 

これでは希望小売価格など何も意味がないと考えたCEOは、端数価格への値下げやクーポンを廃止して、値下げの上でキリの良い実際の販売価格だけを値札に提示することにしたのです。消費者の負担は変わらず、管理効率も良いと考えたわけです。なるほど合理的な判断です。

 

しかしながら、結果は散々で、売上は激減し株価は急落、そのCEOは更迭されました。これは顧客の取引効用を無視したケースです。JCペニーの顧客は、店での掘り出し物やクーポンによる割引を楽しみにしていたのです。

 

 

 

 

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獲得効用

■同じ缶ビールなら値段は同じか?

 

従来の経済学では、「人間は経済的合理性によって行動を決める」という前提に立っていました。たとえば、ある製品から得られる便益がその製品を手に入れるための費用を上回るなら、買い手はその製品を購入するのが合理的です。

 

あなたが240円の缶ビールを買うのは、240円を上回る便益を認めているからだというわけです。「確かにそのとおりだ」といいたいところですが、われわれは実際には必ずしもそのような考えで消費活動を行っているわけではありません。次のケースを考えてみましょう。

 

「あなたは暑い夏の日に海外のリゾート地のビーチで寝そべっている。喉が乾いて缶ビールが飲みたくて仕方がない。そこで友人に近くにある唯一の売店まで缶ビールを買い出しに行ってもらうことにした。その売店が高級リゾートホテルのバーカウンターだったら、あなたは1本当たりいくらまでなら買うように指示するか?またその売店が寂れた小商店ならどうか?なお、どちらの場合も缶ビールの銘柄は同じである。」

 

MBAの学生に向けたセイラーの実験によれば、高級リゾートホテルの場合は買値の上限の平均は7.25ドル、小商店の場合は4.1ドルでした。なるほど「小商店ごときにプレミアムを払いたくない!」というわけです。

 

当然の結果だと思うかもしれませんが、これはまったく非合理なことです。どちらで買おうと同じ缶ビールなのだから、買値は同じでなければおかしいです。

 

 

人は損得感で判断する

 

人間は何らかの追加的な満足感(効用)を得るためにモノを消費します。セイラーは、この効用を2つに分けました。

 

1つは、先に触れた従来の経済学の考えと同じで「追加的な便益-追加的な費用=追加的な効用」です。これを獲得効用といいます。

 

2つめは、取引の損得感です。人はその価格に納得感を得られれば購入しますが、その際に基準とするのが日頃から培われた値頃感です。自分の値頃価格(参照価格)より安ければ得したと感じて購入し、高ければ購入しません。この損得感を取引効用といいます。

 

ケースの例では、高級リゾートと小商店では損得感が違い、小商店の高い価格は消費者の値頃感からして受け入れてもらえません。

「社会的にどうでもいい仕事~働き方改革で削減する対象は何か?」②

そもそも「Bullshit Jobs」は、「テクノロジーの進化により1日の労働時間が半分になると言われていたのにそうはなっていないのはなぜか?」という疑問の中から発生したものです。その理由には、第1次産業や第2次産業の機械化により生産性が格段に上昇する中で、管理やマーケティングなどの非生産部門が拡大するともに、情報化の進展により新たなサービス産業が勃興したことが考えられます。

 

また人には「働かなければ収入を得ることができない」という絶対的な倫理観があります。直接的な生産部門での雇用が減少する中で企業は(たとえ社会的には余計なものであっても)新たな仕事を生み出し、個人は収入を得るためにその仕事をし続けなければならないという面もあるでしょう。

 

思わず「自分の仕事には本当に社会的に意味があるのか?」と考えてしまいそうです。Bullshit Jobs」をもとにしたイギリスの調査では、実に労働者の37%が「社会に対して意味のある貢献をしているとは思っていない」ことが分かりました。「自分の仕事は価値がある」と思っているのは半数程度に過ぎず、残りの13%が「分からない」と回答しています。

 

「不要不急は控えるように」という状況の中で、「自分の仕事の価値について」あるいは「自分の仕事の中で価値を生み出しているものは何か」について考えられている方もおられるのではないでしょうか。「Bullshit Jobs」はなかなか過激な内容ですが、企業内で業務の見直しが迫られる中で大きな示唆を与えているように思えます。

「社会的にどうでもいい仕事~働き方改革で削減する対象は何か?」①

新型コロナウイルスに伴ない多くの企業でテレワークが導入されています。感染が収束してももはや「感染拡大前と同じように仕事をしてください」とはならないでしょう。期せずして業務のあり方の見直しが進み、働き方改革が進むことになりました。

 

働き方改革、すなわち業務の効率化で最も効果が高いのは、「無駄なことをやめる」ことです。「無駄なこと」とは、「顧客にも社会にもまったく必要がないこと」でしょう。

 

社会人類学教授のデヴィッド・グレーバーは、5つの「Bullshit Jobs」を挙げ、海外で話題になっています。ちなみにグレーバー教授は思想的にはアナキストで、2011年の「ウォール街を占拠せよ」運動の理論的支柱とも言われる人物ですから、かなり過激です。「Bullshit Jobs」を直訳するのがためらわれるので、ここでは「社会的にどうでもいい仕事」とします。著書「Bullshit Jobs: A Theory」は海外でベストセラーになっています。

 

Flunkies(太鼓持ち)

受付係、指示を受けるだけの秘書、ドアマン、管理職を作るための補佐的ポジションなど別の人が自らの重要性を感じるためにある仕事。

 

Goons(用心棒)

インチキな説明をして顧客に売りつける広告やPR、営業、マーケティングなどの仕事。あるいはロビイスト、企業弁護士、広報など、雇い主のために相手を攻撃したり影響を与えようとしたりする仕事。

 

Duct Tapers(落穂拾い)

組織的な欠陥が理由で存在する仕事。無能な上司の間違いによるダメージを回避したり、機械化できるのに組織の都合で手作業でやっているような仕事など。そもそもあってはならない問題の手直しに従事している。

 

Box Tickers(社内官僚)

ただ業務のチェックだけを行なう管理者、提出することだけが目的で使われることがない報告書や社内広報誌の作成者やそのためのコンサルタント、意味がないのに惰性で行われている調査の回収係など。

 

Task Makers(仕事製造人)

訳もなく誰かに仕事を振るだけの人や、ほかの人にどうでもいい仕事を振る役割の人。部下に指示の必要がなく、仕事を割り振るだけの中間管理職など。無駄な業務を生み出す仕事。

 

心理的安全③

前回に続き、心理的安全に支障をきたす要因について取り上げます。

 

■邪魔だと思われる不安

 

チームの議論を遮ってしまうことへの恐れにより発言への積極性が損なわれてしまうことを防ぐためには、「発言促進機会」の設定が有効です。

 

時に議論を止めてしまったとしても、意見が生まれたこと自体を良しとする風土を醸成することがもとめられます。議論を止めてしまうことへの過度の恐れがあると、せっかく浮かんだアイデアの提案が控えられてしまいます。

 

「今の言う意味があった?」などの反応はNGです。

 

 

■批判的だと思われる不安

 

チームの方針に反対すると、他のメンバーから自分がなんでも批判的な人物だと思われてしまうのではないか、という恐れがメンバーに蔓延し、みんなが無思考なイエスマンになるリスクがあります。

 

このようなリスクを避けるためには、「反対意見機会」を設け、人と違っても良いのだと思える環境をつくることです。「それは違うでしょ」という発言は控えるべきでしょう。

 

 

■心理的安全だけでは緩くなる

 

ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授は、心理的安全は大切なことだが、目標設定や責任範囲が不明確では、ただの緩いチームになってしまい、チームの目的や目標を実現することはできないと述べています。

 

実現したい目標の達成に向けて活動している前提の中で、チームの中でメンバーが自分の思ったことをきちんと言える環境をつくることが望ましいでしょう。

 

 

【参考】

『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン著 英治出版

THE TEAM 5つの法則』麻野耕司著 幻冬舎

心理的安全②

心理的安全に支障をきたす要因には4つあります。

 

■無知だと思われる不安

 

こうした恐れが蔓延した環境だと、発言や行動が起こりにくくなります。これを防ぐためには「率直質問機会」を提供するのが有効です。

 

そもそも、こうした不安を感じてしまうのは、「イマイチな質問をすると他のチームメンバーの機嫌を損ねるかも知れない」と考えてしまう場合です。よって、どんな内容の質問をしても大丈夫だと積極的に伝え、質問することそれ自体が素晴らしいということを共有する場をつくる必要があります。

 

「こんなことも知らないのか」といった発言はNGです。

 

■無能だと思われる不安

 

「こいつは大したことがないな」と思われる恐怖から消極的になってしまったり、自分の失敗をチームに隠してしまう状態です。

 

これに対処するためには、「失敗共有機会」を設け、「失敗を恐れず、挑戦してもいいんだ」と思える環境を整備することが効果的です。あえて、メンバーたちに自分の失敗を共有してもらい、そこから共に学び、成長していく場を作ることで、失敗が悪なのではなく、失敗を隠すことや失敗から学ばないことが良くないのだということを感じてもらうのです。

 

反対に、失敗したメンバーに対して「こんなこともできないのか」といった反応をしてしまうと、メンバーは途端に消極的な考え方に支配されてしまいます。

 

(つづく)

 

【参考】

『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン著 英治出版

THE TEAM 5つの法則』麻野耕司著 幻冬舎

心理的安全①

心理的安全とは、「組織・チームの中で、対人リスクを恐れずに思っていることを気兼ねなく発言できる、話し合える状態」をいいます。

 

ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授は次のように言っています。

「チームの心理的安全とは、このチームでは率直に自分の意見を伝えても対人関係を悪くさせるような心配はしなくてもよいという信念が共有されている状態を意味する。こうした信念は、暗黙のうちに当然のことと思われており、メンバー個人としても、チーム全体としてもいちいち注意を払ったりはしないうちに共有されていることがほとんどである。」

 

言うまでもなく心理的安全の確保は、チームマネジメントでも重要です。同教授によれば、心理的安全と責任は、メンバーに次のような影響を与えます。

 

心理的安全

心理的安全も責任も低い作業グループ

メンバーは自分たちの仕事に無関心になりがち。楽をしがち。

 

心理的安全は高く責任は低い作業グループ

メンバーは互いに楽しく仕事し陽気であるが、挑戦意欲低く、学習やイノベーションは行われない。コンフォートゾーン、ぬるま湯的である。

 

心理的安全が低く責任は高い作業グループ

マネージャーが高いパフォーマンス基準をメンバーに求めすぎ不安を培養している。メンバーによる新しい提案や試行錯誤、支援要請を行いにくくしている。

 

心理的安全が高く責任も高い作業グループ

メンバー間の協働や相互学習を促す。

 

【参考】

『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン著 英治出版

THE TEAM 5つの法則』麻野耕司著 幻冬舎

貿易赤字は悪ではない③

■アメリカは常に貿易赤字

 

貿易赤字が悪ではないという証左として,各国の貿易収支を確認してみましょう。数字は貿易黒字額です。

 貿易黒字ランキング


世界で常にダントツの貿易赤字国があります。アメリカです。

 

コロナショック前までアメリカ経済は一人勝ちと言ってよかったですが,経済学者の間で貿易赤字が問題視されることはありません。ちなみに他の先進国ではイギリスやフランス,カナダも継続的に赤字で,オーストラリアは黒字になったり赤字になったりしています。

 

貿易黒字の1位の中国は,もはや高度経済成長期を脱したのは明らかで国内経済は低迷しています。2位のドイツも経済成長率が鈍化しています。残りの先進国はそもそも国内市場の絶対的規模が小さいです。あとの国は資源輸出国です。

 

 

■外需に頼らない経済構造に向けて

 

日本は実質輸出の伸び率と実質GDP成長率との相関がかなり高いです。2014年の消費増税以降,外需に頼ってきた部分が大きいです。その点では輸出の不振は確かに痛いものがあります。

 

2020年は昨年10月の消費増税の影響に加え,新型コロナウイルスなどの問題が深刻化しています。とても輸出増はとても望めません。

 

もともとGDPの8割以上は国内需要です。輸出に頼らずGDP55%を占める国内消費の浮揚と積極的な財政政策が求められることは言うまでもないでしょう。

 


貿易赤字は悪ではない②

貿易黒字は国内経済の低迷の証であると見ることもできます。この点について今度はISバランス式で考えてみます。

 

貿易黒字(輸出-輸入)=民間部門の貯蓄超過(貯蓄-投資)+政府の財政黒字(税収-政府支出

 

貿易黒字であるということは,基本的には「民間部門が貯蓄超過である」か「政府の財政黒字である」か(あるいはその両方)ということになります。

 

「貯蓄=所得-消費」であるので,貯蓄超過ということは消費の低迷を意味します。また,国内投資の低迷も示しています。一方,政府の財政黒字は緊縮予算の結果である。つまり両方とも国内需要の低迷を意味します。

 

国内需要が低迷しているのだから,企業は生産したものを輸出に廻すしかなく,貿易黒字となるのです。逆に国内で需要が大きければ企業の生産物は国内で消化されるため,輸出は抑えられる方向に働きます。

 

1990年代以降の日本の部門別ISバランスを見ると,民間部門の貯蓄超過であり,特に企業部門の超過が目立ちます。つまり長引く景気低迷で投資支出を抑えているのです。

貿易赤字は悪ではない①

輸出から輸入を差し引いた2019年の日本の貿易収支は,米中の貿易摩擦などを背景に輸出額が5%余り減少したことから,1兆6438億円の赤字となっています。貿易赤字は2年連続です。

 

さて貿易収支が発表されると,いまだに「赤字に転落」といった報道がされます。つまり「赤字なのだから悪いことだ」というわけです。

 

しかしながら,「貿易赤字は悪いことだ」という認識を持った経済学者はおそらくいないでしょう。 

 

 

GDPが増えれば輸入は増える

 

下記はケインズ経済学の需要面から見たGDPの基本式です。

 

総需要=国内消費+国内投資+政府支出+輸出-輸入

 

つまり総需要は内需と純輸出(輸出-輸入)から成り立ちます。よって,輸入が輸出を上回ると総需要が減少しGDPが減少するのでよくないという考え方が成り立ちます。マスメディアの論調を見てもそのように感じます。

 

しかしこのような輸出は善で輸入は悪という重商主義的な主張は誤りです。総需要の基本式でいえば「輸入=限界輸入性向×国民所得」で示されます。限界輸入性向とは,GDPが変化したときに輸入がどれだけ増加するかを示す値です。

 

つまりGDPが増加すれば輸入は自動的に増加するのです。国民全体の所得は,国内で生産されたものへの消費に廻るか,海外で生産されたもののへの消費(輸入)に廻るからです。また国内市場が好調であれば企業は生産を増やしますが,それに応じて原材料等の輸入が増加するからです。

 

これに基づいて先の総需要式を考えれば,純輸出の値がプラスになるかマイナスになるかはただの結果に過ぎないことがわかります。輸出が増えても国内経済が好調なら輸入がそれ以上に増えて赤字になることもありえるのです。

獲得効用と取引効用

■高級リゾートホテルとただの商店では値ごろ感が違う

 

従来の経済学では、「人間は経済的合理性によって行動を決める」という前提に立っています。たとえば、ある製品から得られる便益がその製品を手に入れるための費用を上回るなら、買い手はその製品を購入するのが合理的です。あなたが240円の缶ビールを買うのは、240円を上回る便益を認めているからだというわけです。       

 

「確かにそのとおりだ」といいたいところですが、われわれは実際には必ずしもそのような考えで消費活動を行っているわけではありません。次のケースを考えてみましょう。

 

「あなたは暑い夏の日に海外のリゾート地のビーチで寝そべっている。喉が乾いて缶ビールが飲みたくて仕方がない。そこで友人に近くにある唯一の売店まで缶ビールを買い出しに行ってもらうことにした。その売店が高級リーゾートホテルのバーカウンターだったら、あなたは1本当たりいくらまでなら買うように指示するか?またその売店が寂れた小商店ならどうか?なお、どちらの場合も缶ビールの銘柄は同じである。」

 

MBAの学生に向けたセイラーの実験によれば、高級リゾートホテルの場合は買値の上限の平均は7.25ドル、小商店の場合は4.1ドルでした。なるほど「小商店ごときにプレミアムを払いたくない!」というわけです。

 

当然の結果だと思うかもしれませんが、これはまったく非合理なことです。どちらで買おうと同じ缶ビールなのだから、買値は同じでなければならないからです。

 

 

■人は損得感で判断する

 

人間は何らかの追加的な満足感(効用)を得るためにモノを消費します。行動経済学者のリチャード・セイラー(2017年のノーベル経済学賞受賞)は、この効用を2つに分けました。

 

1つは、先に触れた従来の経済学の考えと同じで「追加的な便益-追加的な費用=追加的な効用」である。これを獲得効用といいます。

 

2つめは、取引の損得感です。人はその価格に納得感を得られれば購入しますが、その際に基準とするのが日頃から培われた値頃感です。自分の値頃価格(参照価格)より安ければ得したと感じて購入し、高ければ購入しません。この損得感を取引効用といいます。

 

ケースの例では、高級リゾートと小商店では損得感が違い、小商店の高い価格は消費者の値頃感からして受け入れてもらえないのです。

 

【参考】

「行動経済学の逆襲」リチャード・セイラー著 早川書房

商品は、他者との関係づくりや自己表現のツール

私たちは人と人との相互作用(関係)の中で生きており、商品もその相互作用の中で初めて意味が生じるものが多くなっています。今日では商品は、他者との関係づくりや自己表現のツールとしての意味合いを強めています。こうした消費パターンは12種類あるとされインターパーソナル消費と呼ばれます。

 

<共同利用型>

●集団利用型消費

複数の人間が共有したり、共同使用したりする。

例)カーシェアリング

 

●集団行為型消費

特定の集団的行為に参加するために購入・使用する。

例)スポーツチームの応援グッズ

 

●関係象徴型消費

同じ集団。仲間・階層に所属していることを表現する。

例)ユニクロのチームウェア、プロスポーツチームのユニフォーム

 

●関係強化型消費

既存の関係をさらに強める。

例)家族と一緒の旅行プラン

 

●関係刺激型消費

既存の関係を刺激し変化を与える。

例)隠れ家レストラン

 

●関係創出型消費

未知の他人と関係を発生させたり、断絶していた関係を回復させたりする。

例)SNS

 

<消極的関係調整型>

●関係維持型消費

既存の関係を円滑に維持・保全する。

例)ハウスウェディング

 

●関係緩衝型消費

濃密すぎる関係を仲介したり、意図的に緩和させたりする。

例)eメール、SNS

 

●関係遮断型消費

他者との関係が成立していないことにし、葛藤を未然に防止する。

例)お1人様プラン

 

<自己表現型>

●利他的消費

自分以外の他者のために購入・使用する。

例)家族向け・子供向け商品

 

●智縁要請型消費

習熟者からの知識伝達を前提に、購入・使用する。

例)化粧品と「@コスメ」サイト

 

●認知獲得型消費

自己の存在を他者や社会に認知させる。

例)自費出版

 

自社の扱う商品が上記の他者との関係づくりや自己表現のツールとしての意味合いを持たないか考えて訴求するヒントになります。

 

【参考】

『コンテンツマーケティング』新井範子、福田敏彦、山川悟著 同文舘出版

経営理念で優先順位を明らかにする

「良い経営理念・ビジョンの条件④」で触れたように、良い経営理念の条件は、「その企業のステークホルダー(利害関係者)の行動の変化を促せること」です。ステークホルダーには、従業員、株主、顧客、仕入先、広く社会全般などがありますが、すべてに良い顔をすることはできません。よって、「誰を優先するのか」明確にする必要があります。

 

4月7日の新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言が発令され、多くの企業が臨時休業に追い込まれました。しかしながら休業実施の判断が早かった企業とそうではない企業が見られます。私はこのような差が出るのは企業としての優先順位のつけ方の差だと考えています。

 

休業したほうが望ましいと思いつつも、「現場が混乱する」「収益がゼロになる」といったことが判断を鈍らせた企業も多いでしょう。しかしながら経営理念で企業としての優先順位がはっきりしていれば右往左往することはなかったはずです。

 

休業により売上がなくなり、さりとて固定的な費用は発生するという苦境の中で、社会的責任(あるいは世間体)を優先するか、それとも収益獲得を優先するかは極めて判断が難しいところです。

 

なかなか営業を自粛しない一部のパチンコ店に対する批判が多いですが、少なくともこれらの店は収益獲得を優先するという基準があったということでしょう。

 

不測事態は新型コロナウイルスのような社会全体にかかわるものに限らず、常に起こりうるものです。あらかじめ「誰を優先するのか」明確にしておくことで、経営判断を早め、現場での混乱を防ぐことができます。不測事態になってからトップに迅速な決断を求めるというのは無理があるように思えます。そもそもその企業には判断基準が存在していないのですから。

雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断5月号」が発売されました。今回のテーマは、「消費増税・新型コロナの危機に必要なマクロ政策――大胆な財金の一体発動でリーマンショックの二の舞を避けるべき」です。


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昨年10-12月期のGDPの二次速報値が3月9日に発表され,実質でマイナス1.8%(年率換算で7.1%)で2月の一次速報値から下方修正されました。増税前から予想されたこととはいえかなり衝撃的な数字である。言うまでもなくこれは新型コロナウイルスの影響を含みません。今回は消費増税・コロナショックにおける経済政策について述べました。

 

なお月刊誌の原稿締切上、本稿執筆は3月末でありその後状況は大きく変わってはいますが、内容の根幹部分は普遍的なものです。対応が後手かつ小出しに終始し,大打撃となったリーマンショックの二の舞にならなければよいのですが…。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。


プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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