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雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断12月号」が発売されました。今回のテーマは、「オークションの経済学――納税者に最大の利益をもたらす方式と日本での可能性」です。

12月_

2020年度のノーベル経済学賞が1012日に公表され,スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授とロバート・ウィルソン名誉教授の2名が選ばれました。今回はオークション理論の基本的な内容と,両氏が設計にかかわった電波オークションの仕組みについて取り上げます。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。

 

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強みがない場合はどうするか?②

前回の答えです。

 

A

前々回触れたように、事業のプランニングは、機会と強みのマッチングで行うことが基本とされます。しかしながら、機会と思われるものがなかったり、強みがない場合にはどうすればよいでしょうか?

前回の問題は、ファミリー層が増加するという機会があるものの、それをとらえるだけの強みがA店にはないケースです。しかし、周囲の居酒屋も同じような状況です。それであれば、いち早く参入し、経験を積めば良いということになります。強みがないからといって、手をこまねいていては機会を捉えることができず、ジリ貧になります。

 

サイバーエージェントは、このアプローチで飛躍を遂げたといえます。今でこそ、インターネット経由のゲームやブログで知られる同社ですが、もともとはインターネット広告の代理店です。インターネットビジネスの成長が加速化した頃の2006年に本格参入を決定し、10年間かけて広告代理店事業と同等の規模まで拡大させました。

 

中小企業や、これから開業する方の支援をする場合、強みがないことは多くあります。その場合は、まず機会に着目してまず参入し、ノウハウは後からついてくるという発想が大事だと思います。今、成功している企業であっても、創業当初は強みなどなかったはずです。

 

【参考】

『事業戦略策定ガイドブック』坂本雅明著 同文舘出版

強みがない場合はどうするか?①

次の問題を考えてみてください。

 

Q:居酒屋のケース

 A店は居酒屋です。工業団地の近隣にあり、いつも勤め帰りの労働者でにぎわっています。工場勤務者以外の客はほとんど来ないため内装には気を使わず、低価格に徹しています。また、体力の消耗を補ってもらおうと、肉類などボリュームのある料理を中心に品揃えをしています。付近の飲食店は居酒屋が数軒あるだけで、どこも同じようなやり方です。

 

かつてはどの居酒屋も潤っていましたが、環境が変わりました。工業団地の企業が海外移転を進めるようになってきたのです。その跡地では宅地化が進み、来年には大規模な集合住宅が完成します。ファミリー層という市場が拡大することが期待されますが、A店を含め、既存の居酒屋にはファミリー層向けのメニューや内装、雰囲気づくりのノウハウが全くありません。

 

A店は今後、どうすればよいでしょうか。

 

【参考】

『事業戦略策定ガイドブック』坂本雅明著 同文舘出版

 

貿易黒字はよいことではない

財務省が11月18日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8729億円の黒字でした。黒字は4カ月連続とのことです。輸出額は前年同月比0.2%減の65661億円、輸入額は13.3%減の56932億円です。

 

「貿易黒字がよくて、貿易赤字が悪い」というイメージがよくありますが、標準的な経済学者がそう考えることはまずありません。それを如実に表しているのが、今回の貿易統計です。

 

コロカ禍の影響で日本経済は深刻な状況であり、7から9月期の経済回復度合いは、アメリカと比べて低くなっています。そうした中で、海外からの需要を示す輸出が回復する中で、国内需要が低迷し、輸入が大幅に減少しています。輸入は国内の海外製品への需要ですから、それが低迷していることは、すなわち国内需要の低迷をあらわすのです。

 

貿易黒字は、「輸出-輸入」ですので、国内需要が低迷して輸入が下がれば黒字になります。よって、貿易黒字であることは国内不景気を意味し、よいことだとはいえないのです。

中小企業の事業プランニングは、『自分の創りたいものへの意思』にこだわる

私のような中小企業診断士は中小企業の事業計画書の作成支援をすることが多いです。その際には,基本的にはSWOT分析を使って外部環境と内部資源のマッチという形で書きます。「うちにはこういう強みがあって、こういったビジネスチャンスがあるからこういうプランでいきます」という書き方です。拝見する中小企業の事業計画書もそのパターンですし、一般的な経営書でも、外部環境と内部資源をしっかり分析することを勧めています。

 

特に公的機関や金融機関に提出する事業計画書はフォーマットが決まっていたりするので仕方がないのですが、個人的には,中小企業の事業というのは経営者の想いでなさるものと思っていますので,杓子定規にSWOT分析やPEST分析で外部環境分析の内容を盛り込んでいくのがナンセンスな気がしています。特に外部環境分析は、商圏分析が必要な場合を除いて、本当にしっかり分析するものなのか疑問を感じます。

 

先日、月刊誌の「企業診断」の仕事で、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授にインタビューさせていただく機会がありました。入山教授にそのことをぶつけてみました。ちなみに入山教授は、最新刊の「世界上旬の経営理論」(ダイヤモンド社)がベストセラーになったおり、テレビ東京系列のワールドビジネスサテライトのコメンテーターを務めていらっしゃるのでご存知の方も多いかと思います。

 

要約すると次のようにおっしゃっていました。

・外部環境は関係ない。

・大事なのは意思なので,「自分がやりたいことをやる」ということが一番重要。

・事業を行うのは大変だが、やり抜かないといけない。やり抜かないといけないときに,外部環境と内部の強みを評価してマッチしたものをやるといったって,やりたくないものはやりたくない。自分の創りたいものへの意思がすごく重要。

・一般的に足りないのは「自分の意思への腹落ち」と「その言語化」と「(金融機関や投資家など利害関係者への)説明と説得」。

・それが弱いと、つまらない5フォースとか,PEST分析に頼ってしまう。

 

「事業プランは『自分の創りたいものへの意思』にこだわる」ということは、「強みと機会のマッチング」というお決まりのパターンに違和感を感じていた自分にとって思わず膝を打つ言葉でした。

 

ちなみに入山章栄教授へのインタビューは、月刊誌「企業診断」の1月号からおそらく3月号にかけて掲載されます。その他にも貴重な内容をお話いただいていますので、ぜひご購読をお願いいたします。

 

採用で見るべきポイント⑤

企業の採用活動には、様々な方法を組み合わせて行われています。その目的は、「この人物はどれくらい当社で業績を上げるのか」を測るためです。それぞれの方法が、どれくらい将来の仕事業績を予測するかについての研究があります。妥当性係数の値が1.0に近くなるほど将来の業績の予測力が高いことになります。

選抜手法と業績予測力

より仕事に近い状況でテストするワークサンプルの妥当性が高いことは予想されますが、それ以外では認知的能力テストや構造化面接の妥当性が高いことがわかります。一般的に妥当性が高いと思わfれている非構造化面接やシチュエーショナル・ジャッジメントの妥当性が低いのが興味深いです。

 

【参考】

『採用学』服部泰宏著 新潮社

採用で見るべきポイント④

■その能力は自社内で育成の機会があるか

 

ブラッドフォードは、「簡単に変化する能力」は採用後に育成できるのだから採用段階においてしゃかりにきなってみる必要はなく、「非常に変わりにくい能力」については、採用段階でしっかり見ておかないと、後々どうしようもないと主張しています。

 

しかしながら、採用後にも、自社で育成できないという場合もあるでしょう。たとえば、コミュニケーション能力は育成可能ではあるが、育成する機会や育成するスタッフがないということもあるかもしれません。

 

よって、採用段階では、「その能力は育成可能かどうか」ということの他に、「その能力を自社内で育成の機会があるかないか」という点も必要になります。

 

 

■「変わりにくい」「育成機会のない」能力を重視する

 

以上から採用にあたっての手順は次のようになります。

 

  「採用応募者のどの能力を評価するか」

自社にとって意味のある能力は何かを洗い出しておくということです。意味のない能力なら、当然ながら採用段階では考慮しません。

  「その能力は変わりにくいか」

「変わりにくい能力」なら採用段階で重点的に見て、「変わりうる能力」なら基本的には採用後の育成に委ねます。

  「その能力を育成する機会があるか」

その能力を育成する機会があるのであれば、採用段階で見るべきものではない可能性が高いですが、育成が難しい場合は、採用段階で見るべきです。

 

このように、「変わりにくい」、あるいは「変わりやすいが自社内で育成機会のない」能力こそが、採用において企業が注目するべき能力なのです。

 採用でみるべき能力

【参考】

『採用学』服部泰宏著 新潮社

 

採用で見るべきポイント③

能力を決めるものは遺伝なのか環境なのかという議論があります。遺伝の影響割合が高いが高いものは「変わりにくい能力」に、低いものは「変わりやすい能力」に相当します。

遺伝と環境

【参考】

『採用学』服部泰宏著 新潮社

 

採用で見るべきポイント②

前回、「簡単に変化する能力」は採用後に育成できるのだから採用段階においてしゃかり気になってみる必要はなく、「非常に変わりにくい能力」については、採用段階でしっかり見ておかないと、後々どうしようもないというブラッドフォードの主張を紹介しました。

 

ブラッドフォードは、「変わりやすい能力」「可変的だが変わりにくい能力」「非常に変わりにくい能力」として、次のことを挙げています。

変わりやすい能力

IQに代表される知能、創造性、ものごとを概念的にとらえる概念的能力、またその人が持っているエネルギーの高さや、部下を鼓舞し、部下に対して仕事へのエネルギーを充填する能力などは、非常に変わりにくいとされます。

 

たとえば、論理的推論や空間把握といった、いわゆるIQと呼ばれる知能は、残念ながらかなりの程度、遺伝によって決定されることがわかっています。創造性や概念的能力、エネルギーや部下の鼓舞などについては、遺伝によって大部分が決定されるようではないようですが、コミュニケーション能力などに比べれば、はるかに変わりにくい能力なのです。

 

【参考】

『採用学』服部泰宏著 新潮社

採用で見るべきポイント①

■「簡単に変化する能力」は採用段階で見る必要はない

 

企業内で必要な人材を確保するには、採用と育成の2つの方法があります。なにも最初から必要な能力を兼ね備えた人材を採用する必要はなく、採用後に社内での育成により、必要な能力を身に付けさせることもできます。このことは、企業が人材を採用するにあたって大いに考慮すべきことです。

 

能力は、「比較的簡単に変化する能力」「可変的だが変わりにくい能力」「非常に変わりにくい能力」の3つがあります。産業・組織心理学分野の研究者であり、コンサルタントでもあるブラッドフォードは、「簡単に変化する能力」は採用後に育成できるのだから採用段階においてしゃかりにきなってみる必要はなく、「非常に変わりにくい能力」については、採用段階でしっかり見ておかないと、後々どうしようもないと主張しています。

 

 

■口頭でのコミュニケーション能力を重視するのは誤り?

 

たとえば、口頭でのコミュニケーション能力は日本企業の採用段階でかなり重点が置かれています。集団討議や個人面接の場でも口頭でのコミュニケーション能力の巧拙で面接官の印象が決まります。日本企業の実に80%以上が、口頭でのコミュニケーション能力を、自社の選考の際に重視してる基準として挙げています。

 

しかしながら、口頭でのコミュニケーション能力は、ある程度経験を積めば大いに改善することができます。よって、採用段階ではあまり注視する必要はないことになります。新入社員の頃は、おどおどしていて自信なさげであったのに、経験を積む過程でだんだんと自信を持って主張できるようになるというのは自然なことでしょう。

 

その一方で、IQに代表される知能、創造性、ものごとを概念的にとらえる概念的能力、またその人が持っているエネルギーの高さや、部下を鼓舞し、部下に対して仕事へのエネルギーを充填する能力などは、非常に変わりにくいとされます。よって、採用段階できちんと見ておく必要があります。

 

【参考】

『採用学』服部泰宏著 新潮社

 

経験価値マーケティング

■経験価値マーケティングとは

 

経験価値マーケティングは、コロンビア・ビジネス・スクール教授のシュミット教授が提唱したマーケティングの考え方です。経験価値とは、製品やサービスを利用することで得られる感動や喜び、満足感といった心理的・感覚的価値を指します。

 

かつて消費者は、自分のニーズを充足させるために消費活動を行っているとされてきました。しかし、経験価値マーケティングでは、自分たちの感覚をときめかせて、感情を揺り動かし、心を刺激するような経験価値が、消費活動を左右すると考えました。

 

 

■経験価値の5つの視点

 

経験価値は次の5つに分かれ、それぞれに合ったマーケティング戦略を考えることが大切です。

 

  SENSE(感覚的経験価値)

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感に訴えかける

 

  FEEL(情緒的経験価値)

企業やブランドに愛着を抱いたり、感情移入したりできるような訴えかけをする

 

  THINK(創造的。認知的経験価値)

顧客の知性や好奇心に訴えかける

 

  ACT(肉体的経験価値)

食生活や時間活用など新たなライフスタイルを提案し、行動を誘発する

 

  RELATE(準拠集団や文化との関連付け)

顧客が属したいと考えるグループ・文化とサービスを結びつけて、製品やサービスを訴求する。有名人をブランドの広告塔に起用するのはその一例。

 

【参考】

『経験価値マーケティング』バーンド・H. シュミット著 ダイヤモンド社

『カール教授のビジネス集中講義 マーケティング』平野敦士カール著 朝日新聞出版

ライフスタイル・マーケティング

ライフスタイル・マーケティングとは、個人のライフスタイルに着目したマーケティング手法のことです。たとえば、DINKSなどの家庭生活の形、ベジタリアンや草食系男子といった趣味・嗜好など、様々なくくりがあります。年齢や所得などとは別の基準で、消費者をくくることで、的確なプロモーションができるわけです。

 

ライフスタイル・マーケティングは、今では当たりまえのように行われていますが、個人の価値観、ライフスタイルという概念をはじめてマーケティングに持ち込んだのが、スタンフォード国際研究所が1978年に開発したVALSValues And Life-Styles)です。

 

経済環境や人間の心理などが消費者のライフスタイルに影響を与える決め手になる、という考えをもとに、ライフスタイル・タイプを「自己実現者」「成功者」「成功願望者」「社会良識派」「知性派」「若手知性派」「集団帰属者」「生活維持者」「生活困窮者」の9つに分類しています。

 

VALSは、消費者の価値観やライフスタイルの大きな流れを把握して、どんな顧客層に自社製品・サービスを売っていくかを考えるときに役立ちます。

 

ライフスタイルを考えるときは、AIOAction Interest Opinion)というライフスタイルの分類基準があります。次のテーマに関する質問を通じて、ライフスタイルを導き出します。

 

●活動(働き方、趣味、スポーツなど)

●関心(家族、レクリエーション、トレンドなど)

●意見(経済や社会、製品、将来など)

 

【参考】

『カール教授のビジネス集中講義 マーケティング』平野敦士カール著 朝日新聞出版

 

 

あなたはその商品を友人や同僚に薦めたいと思いますか?

企業にとってもっとも有難いのはクチコミで自社商品を紹介してくれることです。しかしながら、これは簡単なことではありません。

 

5段階の満足度調査で、そこそこの満足度(満足度3や4)では、リピートやクチコミにはまったく繋がらないことが指摘されています(ホッケースティック・ロイヤルティ)。

 

コンサルティング・ファームのベイン・アンド・カンパニーは、顧客満足度を測るために「NPS(ネット・プロモーター・スコア:推奨者の正味比率)という指標を開発しました。NPSとは、製品やサービス、ブランド、企業に対するロイヤルティの指標を測るためのものです。

 

究極の質問である「あなたはそれを友人や同僚に薦めたいと思いますか?」という問いに対する答えを、0から1011段階で調査します、10から9をプロモーター(推奨者)、8から7をニュートラル(中立者)、6以下をデトラクター(非難者)に分類します。推奨者であるプロモーターが占める比率から非難者であるデトラクターが占める比率を差し引いた数値がNPSとなります。

 

したがってNPSの数値はm推奨者が非難者より多ければプラスになり、非難者の方が多ければマイナスになります。たとえばプロモーターが30%、デトラクターが15%の場合、NPSは15%となります。

 

この指標の算出方法は簡単なため、採用が進んでいます。NPSは、企業の成長率や収益性と相関関係があることがわかっています。

 

 

【参考】

『カール教授のビジネス集中講義 マーケティング』平野敦士カール著 朝日新聞出版

雑誌連載記事のご案内

「世相を読み解く 診断士の眼」というコラムの連載をさせていただいています月刊誌「企業診断11月号」が発売されました。今回のテーマは、「アベノミクスの7年8ヵ月――最大のレガシーは金融緩和による雇用創出」です。


11月号_


8月28日に安倍首相が突然の辞意を表明し,7年8ヵ月にわたる長期政権が終わりを迎えました。第二次安倍政権の評価は,人それぞれでしょう。メディアでは,「長期政権の割りにレガシーがない」といった論評も目立ちました。今回は,アベノミクスの7年8ヵ月の成果について振り返りました。

 

機会がありましたら是非お読みいただければ幸いです。

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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