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不安は実現する①(予言の自己実現)

今回から複数回にわたり「なぜ予想どおりにいかないのか」について考えてみたいと思います。

■ヨーロッパの難民問題

ドイツでは大晦日から元旦にかけてケルン駅周辺でアラブ・北アフリカ系の難民・移民による集団暴行・窃盗が発生し、被害は500件以上にものぼります。これを受けて難民・移民の排斥運動が高まり、ヨーロッパ各国で国論を二分する事態が生じています。


■行為の意図せざる結果

「行為の意図せざる結果」とは、「ある行為の結果は予測できない」ということではなく、「行為自体がその行為の意図の達成を拒む」というものです。これには自己成就的予言と自己破壊的予言があります。

自己成就的予言とは、「最初の誤った状況の規定が新しい行動を呼び起こし、その行動が当初の誤った考えを真実なものとする」現象のことです。一方、自己破壊的予言とは、「予言がなされることで、予言がなされなかったら辿ったであろうコースから人間行動を外れさせ、その結果、予言の真実さが証明されなくなる」現象のことです。今回は、自己成就的予言について考えてみましょう。


■経営不安が広まると経営破綻する

たとえばA銀行はそのうち破綻するという風説がまかれたとします。たとえそれが根も葉もない噂であっても、人々は預金引き出しに殺到することになり、A銀行は支払い停止に追い込まれ本当に破綻することになります。

これが現実に起こったのが、1927年の昭和金融恐慌です。これは資金調達の目処がついていた東京渡辺銀行について、当時の片岡蔵相が国会で「東京渡辺銀行は破綻した」と発言してしまったために、その後取り付け騒ぎが起き、実際に破綻してしまったというものです。


■偏見がマイノリティを暴発させる

たとえばヨーロッパの人々がイスラム難民に対し「何をしでかすか分からない」といった偏見を持ったとします。そうなるとイスラム難民は社会から排除され、不満から本当に暴発するかもしれません。今回のケルンの件はともかくとして、結局はこのことがヨーロッパの移民問題を複雑化させることの要因だと思われます。


■人々の合理的な行動が思わぬ結果をもたらす

予言が自己実現するのは、「人々がある事態を回避しよう(意図)として、逆にその回避行動(行為)によって回避すべき事態を起こしてしまうから」と捉えることができます。銀行の例で言えば、人々が預金を確保するために取り付け騒ぎを起こし、結局は銀行が破綻して預金を確保できなくなるということです。震災後の飲料や電池などの買い占めも同じです。

単なるパニックということで片付けるのは単純で、人々のある意味合理的な行動(預金を守りたい、治安を確保したい)がもたらす結果であるという点に注目すべきです。

【参考】
「悪循環の現象学」長谷正人著 ハーベスト社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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