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国債金利のマイナス化(なぜマイナス金利でも国債を買うのか?)

今回はマイナス金利でも、国債の金利のマイナスについて考えてみましょう。
国債を買っても金利がつかないどころか損をするのに、なぜそれでも金融機関は国債を買うのでしょうか?

■日銀のねらいどおり名目金利は下がっている

日本銀行のマイナス金利の適用が始まった先月16日、銀行間の短期資金の貸し借りを行う際の利率であるコールレート(無担保コール翌日物)は急速に低下し、17日以降はマイナスで推移しています。

一方、国債のイールドカーブ(債券の償還までの期間と金利との関係を見たもの)を見ても、償還期間が10年までのものがマイナス金利となっています(注1)。

日銀のねらいどおり、名目金利は下がっていることが確認できます。


■債券価格が上がれば金利は下がる

通常、債券価格が上昇すれば名目金利(利回り)は低下します。

たとえば額面が1000円の債券があり、それに対し10円の金利が付くとします。この場合、利子率は1%になります(10÷1000)。

ここでその債券への需要が高まり、債券の売買価格が1100円になったとします。1債券あたりの金利は固定ですので、10円のままです。この場合、利回りは約0.9%に低下します(10÷1100)。


■国債のマイナス金利とは?

1月末の日銀の当座預金口座へのマイナス金利導入の発表以来、世界同時株安という不確実性もあり、安全資産である日本国債への需要が高まり、国債金利が低下し、その結果、先に触れたように国債金利がマイナス化しました。

国債金利がマイナス化するとは、次のような状態です。額面が1000円で金利が10円、償還時には合わせて1010円を受け取れる国債があったとします。この債券を1020円で買うと、10円の損をします(1010-1020)。この場合の利回りは、マイナス0.98%(マイナス10÷1020)となります。つまり、償還時に受け取る総額よりも売買価格が高いとマイナス金利になります。

しかしながら、金利がマイナスの国債をなぜ金融機関は買おうとするのでしょうか。一般的に言われているのは、次のような理由からです。


■金利がマイナスでもまだマシ!?

1つめの理由は、金利がマイナスでも日銀当座預金口座に新たに預けるよりもマシだからです。日銀当座預金口座に預けるとマイナス0.1%の金利(逆に0.1%支払う)になりますが、それよりも国債の金利のマイナスが低ければまだよいということです。

民間銀行としては急に資金の運用先を見つけるわけにもいかないでしょうから、やむを得ない選択(消極的選択)とも言えます。コールレートのマイナス化も同様です。


■手元に現金を抱えておくわけにもいかない!?

2つめの理由は、民間銀行としては、手元に現金として抱えておくと、管理コストがかかるからです。現金の保管代や警備代は年間で総額の1%程度という説もあります。国債の金利がマイナスでも、管理コストより低ければまだマシということです。


■担保として国債が必要!?

3つめの理由は、国内銀行の担保需要です。銀行間で資金のやり取りをする際には担保が必要で、もともと国債の担保としての需要が高いことが挙げられます。銀行全体で40兆から60兆円程度の需要があるとの見方もあり、国債の暴落は起きない状態なのです。


■将来、日銀が高く買ってくれるはずだ!?

そしておそらく最も大きな理由は、日銀が今後も買いオペを続けるだろうという想定だからです。

もともと日銀の買いオペで国債はマーケットで品薄状態ですから、高い売買価格がつきます。先の数値例で言えば、金融機関が、額面が1000円で金利が10円の債券を1020円で買っても、その後に日銀(あるいは他の金融機関)が1030円で買ってくれれば利益がでます。


■いつになったら国債は暴落するのか?

さて「日本の財政は破綻寸前で国債は暴落する」と煽る識者(と呼ばれる人々)が少なからずいます。ただし、ここ10年間の10年物国債の金利の推移を見ても低下傾向を続けています(国債価格は上昇傾向)。

国債暴落論を唱える方は、これをどう説明するのでしょうか?興味がつきません。


注1:日本国債のイールドカーブはこちら
http://www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html
注2:10年間の長期金利推移グラフはこちら
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html
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非公開コメント

No title

毎回ホットなテーマに真正面から取り組まれ
明快に分析、解析される姿勢 大変啓発させられます。
毎日の新聞やマスメディアをいい加減にみていると
わからない本質的なところをしっかりコメントされているので大変勉強になります。といっても
テストの点数は 不調ですが。(笑)

No title

http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/urgency/index.html
たまたま銀行の 調査のページをみていたら
面白そうな記事がありました。
まだ読んでいませんがご参考にURL
お送りします。

No title

コメントならびに情報提供ありがとうございます。
拝読します。

さて試験対策の方ですが、ちょうどお疲れの時期かと思います。

せっかくのご決意で受講頂いたわけですから、本意達せられますよう切に願っております。

今は直前期の仕込み段階ですからあまり焦らず構えて頂ければと思います。

No title

さすが先生、当方少し気がぬけていたので、アドバイスありがとうございます。実は今のポストに加え4月1日からジャスダック上場の
ある会社の顧問(総会後監査役)で週数日はたらくこととなって安心し
診断士の勉強が少しおろそかになっていました。
ふんどしをしめなおして若い人に負けないように
頑張ってみますね。引き続きのご指導よろしくお願いします。
プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

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