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マイナス金利なのになぜ異常な円高が進むのか?②

■なぜ円高が進むのか?

本ブログでも「日銀の量的・質的金融緩和政策①(なぜ日本は出遅れたのか)」で触れたように、そもそも為替レートの決定は相対的な貨幣量によって決まります(相関係数は0.64との指摘があります)。そして今回の急速な円高の進展は、日本銀行のマイナス金利導入の発表以降です。

この2つを考えると、マーケット関係者に「マイナス金利の導入は日本銀行の量的緩和が手詰まりになったからではないか」と捉えられた感があります。今後、大規模な量的緩和がないのであれば、円高に触れる予想が成り立ち、それを見越して円が買われることになります。3月の日銀の金融政策決定会合で追加緩和が見送られたことも影響があるかもしれません。

昨年末にFRBのイエレン議長がアメリカの利上げを発表し、本年度中に4回の追加利上げが予想されていましたが、その後の世界経済の不透明感を受けて、先月末には利上げは慎重に行うとの見方を示しました。アメリカの利上げ政策の修正を予想する動きが高まったこともドル安(円高)に影響を与えているとの見方もあります。


■日本は為替介入を行うべきか?

4月5日、安倍首相はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「外国為替市場での恣意的な介入は控えるべきだ」「(通貨安競争について)いかなる環境にあろうと避けないといけない」と述べました。

これを受けて日本当局の為替介入はないとの見方が広がり、為替レートは100円台にまで上昇しました。日本が議長国を勤める5月末の伊勢志摩サミットが控える中で、各国の批判を受けやすい為替介入を行いにくいという事情があるのかもしれません。

これまでが円安すぎたので現在の水準は為替の理論値への回帰でしかないとの意見がある一方で、異常なペースの円高に際しては為替介入(財務省の円売りドル買い介入)を行うべきだとの主張があります。


確かに為替介入は昔のように為替レートのトレンドを変えるだけの力はありませんが、マーケットを冷やす効果は期待できます。また「為替レートの安定化」のための為替介入は通貨安競争ではありません。このような異常な為替レートの変動を抑えるために政府は120兆円超の外為特会(外国為替資金特別会計)を計上しているわけです。


■再び円安トレンドに戻るためには

以上のように量的金融緩和の手詰まり感から円が買われているのであれば、再び円安方向に戻すためには、追加の量的金融緩和を行うことが求められます。

本ブログでも「日銀の量的・質的金融緩和政策⑤(マイナス金利のねらい:後編)」で触れたように、量的金融緩和の余地は十分にあります。そもそも黒田日銀総裁自体、マイナス金利導入後に「量的緩和のほかに金利手段も加えた」と会見で述べているわけですから、量的緩和が限界に達したわけではありません。

逆に4月の日銀の金融政策決定会合でも追加緩和が見送られると、当面は円高傾向が続くとみたほうがよいかもしれません。


■量的緩和は為替誘導ではない

ただしあくまで量的金融緩和は日本国内の経済対策で行うものであり、円安はその副産物である点には注意する必要があります。デフレ脱却のために量的金融緩和を行うと、副次的に為替が円安になるということです。

アベノミクス開始以降、「日本は意図的に通貨安にしている」との批判が海外からあり、今後の追加緩和でも同じような批判が予想されます。しかし、それは事実ではないしフェアでもありません。

日本は為替介入を行っていませんし、そもそもリーマンショック後に日本は行わなかった量的緩和を各国は行った(その結果、円に対して各国通貨は減価した)のですから、日本の追加緩和が批判されるいわれはまったくないでしょう。


【参考】
『現代ビジネス/この円高はやっぱり異常!ヘッジファンドを黙らせる「速攻の一手」を提示しよう/高橋洋一』
『現代ビジネス/この「円高」局面はいつまで続くのか?~マイナス金利は円安に働くはずなのに…/安達誠司』
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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