fc2ブログ

企業の業績は何で決まるのか?

本ブログの「シャープが経営不振に陥ったのは?」では、シャープを例に、外部環境(為替レート)が企業に与える影響について考えてみました。
企業の業績に影響を与えるのは、大きくはマクロ的な経済環境、業界環境、そして個々の経営努力でしょう。では、一体、企業の業績は経営努力によってどの程度決まるものなのでしょうか。


■業績要因を測定した4つの調査

下図は企業の業績要因を測定した4つの調査の結果です。産業効果とは、「どの業界にいるか」で決まる業績要因であり、企業効果とは「企業それぞれがどのような特性を持ち、どのような戦略を採っているか」で決まる業績要因です。マクロ経済環境は「説明できない部分」に含まれると考えてよいと思います。

業績要因

(1)1985年の調査(MITシュマンジー)

1975年の米企業1775社のROA(総資産利益率)を基に調査したもので、企業間の利益率のバラツキの要因を説明できるのは全体の20%程度に留まり、産業効果が約20%、企業効果はわずかに0.6%にすぎませんでした。

(2)1991年の調査(カリフォルニア大学ロサンゼルス校ルメルト) 

74年から77年の6931社を対象に調査したもので、企業間の利益率のバラツキの要因を説明できるのは全体の50%強で、結果は企業効果が46%、産業効果が8%に留まりました。

(3)1997年の調査(HBSポーター/トロント大マクガバン)

85年から91年の米企業約58,000社を基に調査し、企業間の利益率のバラツキの要因を約60%説明でき、企業効果が約32%、事業間のシナジー効果(要は多角化することによる効果)が約7%、産業効果が20%となりました。

(4)2011年の調査(青学大福井/慶應大牛島)

1998年から2003年までの日本企業を対象としたもので、企業間の利益率のバラツキの要因を約70%弱説明でき、企業効果が約53%、事業間のシナジー効果が約9%(計39%)、産業効果が5%となりました。


■企業効果や産業効果は企業によって異なる

よく考えれば業界内のすべての企業が等しく企業効果や産業効果を受けるわけではないことが想像できます。同じ産業にあってもパフォーマンスが良い企業もあれば、そうでない企業もあるはずです。

この点に注目した調査として、2003年のINSEAD(欧州経営大学院)のハワウィニらのものがあります。彼らは「特に業績の優れた企業」「特に業績が悪い企業」「その他大部分の企業」に分類し、その企業の経営・戦略の善し悪しで業績が決まるのは「特に業績の優れた企業」か「特に業績が悪い企業」であり、業績が中庸な企業は「どの産業にいるか」で決まるという結果を発表しました。


調査によって結果がまちまちですが、サンブル数や統計手法の精緻化を考えると、より新しいもののほうが妥当性は高いと思われます。おおよそではありますが、「どの産業にいるのか」は業績に影響を与えるが経営努力で克服することは可能である、実は多角化の効果はそれほど大きくはないといったことがデータでも確認できます。


【参考】
『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』入山章栄著 日経BP社
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

No title

少しご無沙汰して失礼しました。またまた面白いトピックスですね。少ない経験ですがどんな産業でも経営のやり方によっては儲かる経営が可能という気がします。実はこの4月から追加で顧問になった会社なのですが業歴90年ですが社長の年齢が40台はじめで産業的には厳しい右肩下がりの業界に属していますが、数年前までの赤字から経営のやりかたを180度変えV字回復しています。業界的には
古い体質の業界なのですが社長の超スピード経営(経営はほとんどスマホのチャット機能などITでコミュニケーションを行いその日の各拠点、部署の課題はその日に結論をだして
すすんでいます。月に取締役会は1度だけで経営会議廃止で海外拠点10箇所程度も同時に日本語、英語で
コミュニケーションをとってスピード判断、経営を推進し
右肩上がりで伸びています。間接部門も超効率経営でSAPを使って
海外拠点も統一管理にしました。私も30分に一度くらいスマホとにらめっこするはめになっております。
もちろん内部統制など
注意しないといけない点などありますが儲かるか儲からないかは業界も重要ですが経営方法も重要だと日々痛感しています。そのため 言い訳ですが少し肝心の勉強がおろそかになってしまっております。挽回します。

No title

こんばんは。
コメントありがとうございます。

すごいバイタリティのある方ですね。経営者が変わると会社が変わる見本のような会社ですね。

自分は業務的な意思決定はスピード、戦略レベルはやや慎重にという考えですが、そのような会社なのだと推察します。

さて自分の場合、経営と経済の両方の教材担当経験があるからか(少し大げさですが)自分の考え方の整理がミクロとマクロの間で揺れ動くというところがあります。

特に後半は経済学の方に偏ってますので、ミクロ的(企業や個人レベル)では正しいがマクロ的にはどうかであるとか、エクセレントカンパニーは確率的には外れ値ではないかとか、ほとんど日常生活に関係がないことに興味を持ってしまうという(苦笑)。

とは言え、マクロ環境に対してどれだけ合理的に対応できるかが企業の命運というのはまったく同感です。

経営者・経営コンサルタントと経済学者では主張が異なりますが、うまく両方の視点を取り入れながらブログの記事がかければいいなと思っています。
プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR