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ボーナスが威力を持つ場合とは?

「お金をあげるとやる気がなくなる?(内発的動機づけ理論)①②」で見たように、金銭報酬を与えられると内発的動機づけが低下する(その結果、パフォーマンスが下がる)ことがあります。しかしながら、もちろん金銭的報酬が威力を発揮する場合もあります。


■お金をあげるとパフォーマンスはあがるのか?

行動経済学者のダン・アリエリーらの次の実験を見てみましょう。

MITの学生を対象に、2つの課題を用意した。
①そこそこ頭を使う計算問題を2回やってもらい、そのうち1回では少額のボーナスを、もう1回は高額のボーナスを提示した。
②キーボードの上の2つのキーを素早く連打するというまったくの単純作業について、同様に1回は少額のボーナス、もう1回は高額のボーナスを提示した。

①については高額のボーナスはパフォーマンスに悪影響を及ぼし、②については高額のボーナスはパフォーマンスに好影響を及ぼした。


実験の結果から言えることは、多少なりとも頭を使う作業については高額のインセンティブはパフォーマンスに悪影響を及ぼし、単純作業については好影響を及ぼす可能性があるということです。

退屈な作業ではお金で釣るしかないということですね。「自分のために頑張れ」と言われても本人にとって魅力がない仕事では頑張れないということです。一方、頭を使う作業で高額のインセンティブがかえって悪影響を及ぼすのは、インセンティブに気を取られすぎるからではないかとアリエリーは推測しています。


■優秀でない人にはボーナスが効く

またアリエリーらは優秀なスタッフと優秀ではないスタッフとでボーナスを与えた場合の効果が異なるのかを実験したところ、優秀ではないスタッフの方がボーナスによってパフォーマンスが上がったという結果を得ました。

優秀な人は優秀だからパフォーマンスが出せるのであってボーナスを与えても効果が薄いというわけです。


■お金とモチベーションの関係(まとめ)

これまでお金とモチベーションの関係について見てきましたが、少々ややこしいので「管理者が部下のモチベーションをどう上げるか」の観点からまとめてみます。

・部下のモチベーションを上げるために一番有効なのは、適性がある仕事を用意し自主性に任せること。
・単純労働で従業員のモチベーションを上げるためには、金銭的報酬で釣るしかない。
・複雑で頭を使う仕事の場合は、金銭報酬を上げてもあまり効果がない。特にもともと自発的に行動していた場合は、内発的動機づけを損なう可能性がある。
・ただし感謝や賞賛という形で金銭報酬を与えるのであれば、内発的動機づけを高めることができる。
・協働が求められる場合に個人に対し金銭報酬を与えると、自己の利益にしか頭が行かなくなるので好ましくない。
・わずかな金銭報酬を与えるくらいなら、社会規範(人間関係)に訴えたほうがモチベーションが上がる。



【参考】
『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー著 早川書房
『お金と感情と意思決定の白熱教室』ダン・アリエリー著 早川書房

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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