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挑戦意欲を引き出すもの(達成動機説②)

前回、達成動機の強さによって行動の選択やパフォーマンスに違いがあり、また挑戦意欲が異なることを見ました。では、挑戦意欲はどうすれば引き出せるのでしょうか。


■挑戦するためには「やらねばならぬ」より「やれたらいいな」

私たちは、「こんな自分だったら素晴らしい」という願望や希望に基づいて動機づけられることもあるでしょうし、「こんな自分でなければならない。そうでないと大変なことになる」といういわば義務感で動機づけられることもあるでしょう。

前者の理想的な状態の実現という肯定的な結果が得られたかに焦点を当てることを理想自己指針と言います。理想自己は自分自身で掲げるものであり、肯定的な結果に焦点を当てるため、成功を目指す積極的な行動を導きます。

後者の義務を達成することで否定的な結果(失敗)を免れることができたかに焦点を当てることを義務自己指針といいます。義務自己は他者によって突きつけられる(あるいはそのように自分では感じている)ものであり、否定的な結果に焦点を当てるため、失敗を回避しようという消極的な行動を導きます。

義務自己指針より理想自己指針が優勢であると望ましい目標に近づこう(達成しよう)とし、逆に理想自己指針より義務自己指針が優勢であると失敗しそうな望ましくない目標を回避しようという姿勢が取られやすくなります。

以上から言えるのは、次の2点です。

・「こんな自分を目指したい」という願望や希望に基づく欲求の方が、「こんな自分でなければならない」という義務感に基づく欲求よりも、積極的な姿勢を生み出す。

・本人が自ら設定する目標を目指す場合は積極果敢に取り組むことができるが、他者から目標を与えられた場合は失敗しないようにという意識が強まり消極的な姿勢が取られやすい。

ちなみに行動を引き出すためには義務感によるプレッシャーのほうが、理想を追い求める欲求より効果がある場合はあります。ここで話題にしているのは、挑戦的な課題に取り組む意欲は、義務感よりも理想を追い求める姿勢のほうが引き出しやすいということです。


■競争心を煽ったほうが意欲は高まるか?

達成動機には、競争的達成動機と自己充足的達成動機があります。競争的達成動機とは、他者を凌ぎ、他者に勝つことで評価されることを目指す動機のことです。自己充足的達成動機とは、他者や社会の評価にはとらわれず、自分なりの達成基準への到達を目指す動機のことです。

アメリカなどでの研究では、「達成動機の強い人=競争心が強い人」という傾向がありますが、日本の場合、個人差はあれど、協調性や社会性に重きを置く傾向があり、必ずしも競争心を煽ることが意欲の向上につながるわけではありません。

むしろ自己充足的達成動機に働きかけ、本人自身の成長に目を向けさせるように導くことが有効です。
「できるようになりたい」という思いを刺激し、頑張った成果や頑張りのプロセスに目を向けさせることで「自己の成長」を実感させ、「もっとできるようになりたい」という思いがさらに湧いてくるようにするのです。

そのためにも、前回触れたように、チャレンジして上手くいかなくても失敗とみなして減点するのではなく、チャレンジした積極性を評価するという姿勢が管理者には求められるのです。


【参考】
『モチベーション・マネジメント』榎本博明著 産業能率大学出版部
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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