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政党の経済政策への理解度をみるには(金融政策と労働市場)②

■金融政策を理解しない日本のリベラル政党の皮肉

ある党の共同代表が、NEWS23の党首討論で「アベノミクスについて数値を挙げて評価せよ」というキャスターからの問いに対し、まったく無関係な原発汚染水に関する数値を上げて政権批判をしていました。

ここまでひどいのは例外的ですが、野党の主張を聞いていると、「金融政策は失敗」「量的緩和は限界」といったことを繰り返すぐらいで、金融政策の効果や具体策についての言及はなく、ほとんど理解していないのではないかと思えます(マスコミも同様)。

もしかしたらそれまで自分たちがやらなかったので、いまさら金融緩和を肯定するわけにいかないという事情もあるのかもしれません。本来、金融政策を行って失業率を下げるという政策は、国際的にはリベラル政権が行うものなのですが、日本の場合はそうなっていないというのが皮肉なところです。


■客観的にアベノミクスを批判するとしたら

正規であれ非正規であれ、これまで職につけなかった人たちが働ける状態にちかくなったのですから、まずはアベノミクスの効果はあったことは間違いないでしょう。

正規雇用が伸び悩んでいること、実質賃金が上昇していないことを理由に「アベノミクスは失敗」と断じるのは誤りです。2014年度の消費増税がなければ、既に正規雇用の拡大や実質賃金の上昇は実現できていたのではないでしょうか。2012年に三党合意で消費増税を決めた民進党(旧民主党)としては、消費増税が失敗であったことは言いにくいでしょうが。

もし客観的・合理的にアベノミクスを批判するとしたら、「なぜ、実質賃金が上昇するまで追加の金融緩和を行わないのか」「なぜGDPギャップをすぐに縮小させないのか」でしょう(後者は財政政策の範疇ですが)。

イギリスのEU脱退、いつクラッシュしてもおかしくない中国経済という場合によってはリーマンショッククラスの危機の可能性がある現在、これらは安倍政権に対する的確な指摘になります。


■経済政策への理解度は金融政策でわかる

近年の経済学の潮流は、「財政政策だけでも金融政策だけでも効果は限定的で、両方をミックスして行わなければならない」ということです。財政も絞り金融政策を批判する政党は経済成長そのものを否定しているのと同義です。

選挙の争点は様々ですが、最大の焦点は私たちの生活に直結する経済政策だと思います。有権者1人1人が各党の経済政策を比較した上で投票するべきでしょう。

その際に注意していただきたいのは、特に金融政策です。金融政策を理解している政治家はかなり少ないので、そこに着目すればその政党(あるいは識者と言われる人)の経済政策への理解度がすぐに分かります。

経済の基本的なテキストにも載っているようなフィリップス・カーブ(金融緩和して物価を上げれば失業が減る)すら理解していないようであれば、金融政策の知識はゼロと考えて良いです。



■経済政策を価値観で判断してはいけない

さらに経済政策の提言は「こうあるべきだ」というイデオロギー(あるいは道徳論、価値観)によってではなく、実際のデータ(ファクト)によってなされるべきです。

「金融緩和をするとハイパーインフレになる」「日銀が買いオペすると国債が暴落して金利が暴騰する」「消費増税しても景気は落ち込まない」「成長戦略こそ必要だ」という主張は、これまでのデータを確認すればすべてデタラメであったことがわかります。

これについては政権側にも大いに問題があり、「暖冬(冷夏)のせいで消費が落ち込んだ」などという見解は誤りです。気候変動や(東日本大震災レベルでなければ)震災の影響は、経済全体からすればほとんどありません。

インターネットで比較的簡単にデータは入手できますから、「本当にこの政治家(あるいは識者)の言っているとおりなのか」自分自身で確かめる必要があると思います。



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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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