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SWOT分析は役に立つか?②

SWOT分析では、当該企業の直面する外部環境を機会・脅威の観点から、内部資源を強み・弱みの観点から分析・整理します。そして機会に強みをぶつけるというのが戦略の基本的な方向とされます。
今回は、SWOT分析の問題点について考えたいと思います。


■SWOT分析は「ある時点」での分析に過ぎない

SWOT分析では、外部環境を機会と脅威に整理するわけですが、これはある一時点での分析、つまり静態的(スタティック)な分析です。外部環境は変化していきますから、ある一時点でこれは機会でこれは脅威だと解釈してみても、意味がない場合があります。

SWOT分析を1回行っただけでは、変化する環境に沿った戦略を描けるわけではありません。


■機会か脅威かは主観的

機会・脅威・強み・弱みの識別は主観的なものです。外部環境について、何が機会で何が脅威かは企業によって異なるでしょう。少し前の話ですが、デフレの進行は多くの日本企業にとっては脅威という認識でしたが、そのような中でもユニクロや吉野家といった低価格を売りにする企業にとっては機会と映ったかもしれません。

そもそも解釈とは主観的なものですが、環境の解釈を誤ると不適切な戦略が導出されかねません。


■それって本当に強み?

同様のことは内部資源分析でも言えます。本来、強み・弱みとは相対的なものであるはずです。ここでは「強み」に絞って取り上げますが、強みについては、そもそも他社との比較が困難ですし、何か傑出したものを持っている企業ははっきり言って少ないでしょう。

よく「うちの強みは○○です」とおっしゃる中小企業の経営者の方がおられます。たとえば「顧客サービス」なんていうのが典型だと思いますが、冷静に考えて、本当にそれが他社を凌駕するものなのかは疑問です。こういっては何ですが、良くてもせいぜい経営者のこだわりにすぎないのではないでしょうか。本当は大したことがないものを「強み」と認識して戦略を策定しても、あまり上手くはいかないでしょう。

また「強み」とは、企業内部で独立的に存在するものではなく、あくまで外部環境にフィットしたものです。外部環境は変化するものですから、ある時点で強みであったものであっても、今後も有効性を維持できるかどうかは分かりません。

たとえば以前の松下電器のパナショップ、大手生命保険会社のセールスレディなどは販売面において圧倒的な強みでしたが、ネット社会の進展や流通構造の変化の前ではかえって足かせになるとも言えます。

また本ブロクでも「経営戦略におけるいろいろなジレンマ④(イノベーションのジレンマ:前編)」で触れたように、技術的な強みが次世代技術の進展により失われ、かえって環境変化への対応の重しになる可能性があります。

たとえばトリニトロン技術というブラウン管テレビでの圧倒的な強みがあったソニーは、それを捨て去ることができず、液晶テレビなどの薄型テレビの波に出遅れたという指摘があります。


【参考】
『逆転の競争戦略』山田英夫著 生産性出版
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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