fc2ブログ

「1人あたりの生産性を上げる」は正しいか?(需給ギャップ)②

1回間を置きましたが、前々回の『「1人あたりの生産性を上げる」は正しいか?(需給ギャップ)①』では、デフレギャップ(需要不足)が生じている場合は実際のGDPは総需要によって決まること、現在の日本はデフレギャップが生じていることを取り上げました。
需給ギャップ
■デフレギャップ下で生産性を上げると?

現在のようなデフレギャップの状態で1人あたりの生産性を上げるとどうなるでしょうか。1人あたりの生産性を上げるということは、潜在総供給を上げることです。総需要が足りないのに潜在総供給を上げてもデフレギャップが拡大するだけになります。言うなれば需要が見込めないのに設備投資を行って生産能力を高めるようなものです。

この点については、3月に国際金融経済分析会合で来日したスティグリッツ教授が「適切な需要なしには、サプライサイド(供給サイド)の改革は、失業を増加させるだけで、経済成長には寄与しない。」と指摘しています。需要がない中で1人あたりの生産性を上げれば、それだけ人手が余るからです。


■今必要なのは安定化政策

本ブログの「アベノミクス再確認」でも触れましたが、経済政策には次の3つがあります。

成長政策:
GDPの長期的な成長を目標とする。「GDP=国内総生産」であるので、生産の量(や質)を高める政策と言える。具体的には自由化と規制緩和がこれに該当する。

安定化政策:
短期的な景気の安定化(好況・不況の緩和)を図る政策。財政政策(公共投資や増税・減税、給付金支給など)と金融政策(中央銀行による貨幣量のコントロールなど)がこれに当たる。

再分配政策:
格差是正を図る政策。累進課税による高所得者から低所得者への所得再分配などがこれに当たる。

成長政策は潜在総供給を上げる政策です。構造改革は成長政策に該当します。安定化政策は潜在総供給と総需要のミスマッチ(超過供給・超過需要)を解消させるための政策です。

現在の日本のようにデフレギャップ(需要不足)が生じている場合には、まずはその解消、つまり安定化政策が求められます。確かにデフレギャップ解消後には潜在総供給はGDPの上限にはなり、その点では潜在総供給を上げることは否定されるものではありませんが、現在においては優先度が下がるということです。
(つづく)

【参考】
首相官邸ホームページ/国際金融経済分析会合/第1回 国際金融経済分析会合 議事次第・配付資料
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
連絡先:rsb39362(at)nifty.com
※ (at) は @ に置き換えて下さい
(お急ぎの場合は携帯電話までご連絡ください)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR