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自由であるための抵抗(承認欲求③)

人から認められたいという承認欲求を満たすためには、同じく指示を出すにも、「こうしてくれ」「こんな風にやってほしい」などと一方的に命じるのではなく、「こうして欲しいのだが、どう思う?」「こんな風にするとよいと思うが、どうだろう?」などといったように相談口調で伝えたほうが相手はモチベーションを持って指示に従うことができます。このことは経験的にも分かるかと思います。

これは私たちが自律欲求を持つからです。一方的な指示は「させられ感」を感じモチベーションが低下するのに対し、相談口調であれば、信頼されている、尊重されていると感じ、承認欲求を満たすことができます。


■自由回復のための抵抗

以上の内容は、心理的リアクタンスという心理学の概念で説明することができます。心理的リアクタンスとは、人が自分の自由を外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする動機的状態のことです。

せっかくやる気になったのに、そのそばから「ちゃんとやれよ」「そろそろやらないとまずいじゃないか」と言われたら、やる気がなくなるでしょう。学生の頃、せっかく勉強する気になったのに、親から「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなった経験がある方も多いと思います。

人から指示されると、逆のことをやりたくなるといったこともあります。たとえば「医者になれ」と親から言われ続けたことに反発して他の職業を選ぶといったケースです。このように説得者の意図した方向とは逆の方向に被説得者の意見や態度が変わることを、心理的ブーメラン効果と言います。

リアクタンス(抵抗)の大きさは、①その自由が確信されているほど、②その自由が重要であるほど、③自由への影響が大きいほど、大きくなるとされています。
管理者が、プライドの高い部下のモチベーション管理を考える際に考慮するとよいでしょう。


■自由であるがゆえに…

さて話が大きく変わりますが、心理的リアクタンスについてふと思ったことがあります。それはテロとの関係です。

テロリストについての報道をみると、以外に高学歴の若者や富裕層出身の若者が多いことはご存知かと思います。7月1日に日本人7人が犠牲になったバングラデシュ・ダッカの襲撃テロの実行犯もそうでした。歴史的にもオウム事件、連合赤軍や中核派などの過激な学生運動は高学歴の若者が中心となって起こされました。

彼らはいわば特権階級ゆえに自由を確信し、自由を重要視しているはずです。さらにまだ社会生活に溶け込んでおらず、将来に対する不安が自らの自由への脅威と感じており、それへの反発から(結果的にはそれが自滅への道であるにもかかわらず)過激な行動に転じるといった側面があるのではないでしょうか。


【参考】
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社
『問題解決をはかる ハーバード流交渉戦略』御手洗昭治、秋沢伸哉著 東洋経済新報社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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