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一番大事なのは自分の意思で行っているかどうか(自己決定理論)①

このブログでは、内発的動機づけ理論について取り上げました。少しおさらいすると、次のようなことでした。

<外発的動機づけ>
外的報酬によりモチベーションを高める。
給料・賞与、昇進、賞賛・表彰など。

<内発的動機づけ>
内的報酬によりモチベーションを高める。
熟達感、成長感、充実感、達成感、責任感、使命感、好奇心など。

このうち内発的動機づけはモチベーション要因として強く、外発的動機づけはアメとムチ、すなわち「やらされ感」が強いので内発的動機づけを損ない、積極的な意欲を引き出せないとされます。

やりがいや成長に重きを置く内発的動機づけ理論は私たちのポジティブな価値観に訴えやすく、多くのビジネス書でも内発的動機づけの重要性を主張しています。


■最初から内発的に動機づけられていることは少ない?

しかしながら、単純に「外発的動機づけ=モチベーションに寄与しない」「内発的動機づけ=モチベーションに寄与する」というのは少し単純かもしれません。

ここで勉強と仕事を考えてみます。「良い大学に入りたいから一生懸命勉強する」「みんなに認めてもらいたいから仕事を頑張る」というのは、外発的に動機づけられた状態です。手段や賞賛のために動機づけられているからです。

一方、勉強や仕事が楽しくやりがいがあるから頑張っているのなら、内発的に動機づけられていると言えます。

しかしながら、ここで注意したいのは、「やっているうちに楽しくなる(やりがいを感じるようになる)」ということもあるということです。というより、ほとんどの場合は外発的なこと(必要性や賞賛、目的のための手段)がきっかけで始めたのが、没頭しているうちに好きになったということではないでしょうか。

最初から勉強が好きな子供や、最初から現在の仕事が好きな社会人は、ほとんどいないでしょう。


■内発・外発を善悪に分けるのは単純すぎる

以上を踏まえると、単に「内発的動機づけ=○」「外発的動機づけ=×」という図式は成り立たなくなります。そこで重要なモチベーションの基準となるのが、自分の意思で行っているという自己決定の感覚です。本ブログでも「自由であるための抵抗(承認欲求③)」で取り上げましたが、内発的動機づけ理論のデシも自己決定の感覚を最も重視しています。

先ほどの例で言うと、仕事でも勉強でも、そのものの楽しさではなく、何か他の目的(出世する、社内で一目置かれる、良い大学に入るなど)のためであっても、アメやムチで無理やりやらされているのではなく、自分の意思で行っているんだと思えれば、モチベーションは高まるでしょう。


■自己決定理論

自己決定の感覚を扱ったものに、デシやライアンの自己決定理論というものがあります。自己決定理論では、手段としての行動を促す外発的動機づけの中にも自己決定性が高いものがあることを認め、内発的動機づけと外発的動機づけの二分法をとるのをやめています。

そして以下のようにまったくやる気のない状態(非動機づけ=無気力)と内発的動機づけの両極の間に、自己決定の度合いに応じて何段階かに分けて外発的動機づけを位置づけています。

自己決定理論

無気力:
まったくやる気がない、動機づけが欠如している状態。


外的統制:
報酬や罰によって他人や組織から強制されて(仕方なしに)働くような状態。


取り入れ的動機づけ:
人から認められたい、恥をかきたくない、成績をあげたいから頑張るといった状態で、多少自己決定的な部分があるが、いまだ外発的な動機づけ
である。ただしそれによって知識やスキルがつき、そのことが有能感や成長感を刺激し、内発的動機づけに近づくこともある。

同一化的動機づけ:
将来役に立つと思って学ぶ、自分の夢の実現のために頑張る、経験を積むことが成長につながるはずだから辛抱するといった場合のように、自分のためになるといった思いで学んだり働いたりするときの動機づけ。自分の成長のためなど何らかの目的のための手段として頑張っているが、それが習慣化することで、目的意識も薄れていき、ごく自然に勉強を頑張っている、当然のように仕事に没頭するというように、内発的動機づけによる行動に進化することが期待される。

統合的動機づけ:
自己決定の度合いが非常に強く、何かのためという意識はなく自分にとって意味のあることだからということで無理なく自然に学んだり働いたりするときの動機づけ
を指す。内発的動機づけとほぼ重なる状態。

内発的動機づけ:
完全に自己決定的で、学ぶことが楽しい、知識が増えるのが嬉しい、できないことができることが楽しい、もっと上手くなりたい、働くことが楽しいなどといった思いで学んだり働いたりするときの動機づけ
を指す。
(つづく)

【参考】
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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