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居てくれると有難いライバル(良い競争業者②)

前回見たように、自社の地位を高めたり保全してくれたりするような企業を良い競争業者といいます。特に成熟産業において既に確固たる地位を自社が築いている場合には、良い競争業者の存在は有難いものです。ここでは良い競争業者が存在することの意義や良い競争業者の条件について、マイケル・ポーター(HBS教授)の考えを整理してみます。


■良い競争業者が存在することの意義

良い競争業者が存在することの意義について、マイケル・ポーターはおおよそ次のことを挙げています。

(1)自社の競争優位を高める
①需要変動の吸収

需要変動の変化に応じて設備を増強させていては過剰設備化する。よって変動部分は下位企業に任せてしまうことで、安定操業を図ることができる。

②比較対象を設けることで差別化する
比較対象がなければ差別化はできないし買い手は購入に躊躇する。自社商品をライバルと比較させることで際立たせる。

③魅力のないセグメントを押し付ける
収益性が見込めないセグメントをライバルや下位企業に押し付ける。ただし当初、魅力がないと思われたセグメントに参入した企業がそこで力を付け、魅力あるセグメントへの突破口とする場合や、初めは魅力がないと思われたセグメントがやがて大きなセグメントになる場合があるので注意する(例:1970年代に米国の小型車市場に参入した日本メーカーのケース)。

④高コスト業者の存在に甘えることができる
他社が高コスト(高価格)であると、それを基準に自社も高い価格を設定することができる。

⑤業界の地位を高めることができる
複数の企業で業界団体を組織してロビー活動を行えば、行政への交渉力が増す。

⑥独占禁止法違反による会社分割の恐れがなくなる
一定以上の市場シェアを握ると独禁法違反で会社分割される恐れがある。よってある程度のシェアを他社に取らせる必要がある。

⑦切磋琢磨により結果的に競争力が増す
たとえばかつて日本企業は長年国内で激しい競争を業界内で繰り広げた結果、技術力やコスト競争力を高め、その後の海外市場への進出において外国企業に対して優位性を発揮したと言われている。
※本ブログの「アメリカと日本の戦略パターンの違い(対話としての競争)」も参照してみてください。

(2)業界全体の発展に寄与する
①技術の進展が速まり業界の魅力が増す
画期的な新製品の市場を立ち上げる際に、複数の企業が競って開発を進めればそれだけ技術の進展が速まる。

②サーポーティング・インダストリーが形成される
業界全体の規模が大きくなれば、業界に原材料や部品、ソフトウェアや各種サービスを提供するサーポーティング・インダストリー(供給業者)の育成が促され、それが業界のさらなる発展につながるという好循環が生まれる。

③業界への注目度が高まり需要が喚起される
業界内の各社がさかんに広告などマーケティング活動を行うことで、業界への注目度が高まり、需要が喚起される。

(3)新規参入を阻止する
複数の企業で業界全体を棲み分けていれば、新規参入の隙がなくなる。また業界にとって好ましくない企業の新規参入に対し、共同で対抗することができる。そもそも既存企業間で激しい競争が行われていれば、それが新規参入を躊躇させる(参入障壁の形成)。


■良い競争業者と悪い競争業者

順番が前後しましたが、そもそも良い競争業者とはどういう業者なのでしょうか。ポーターは、良い競争業者の条件として、現実的な目標を掲げ、ルールをわきまえており、自らの弱みを知っていることなどを挙げています。つまりお行儀が良くて分をわきまえている業者です。

一方、悪い競争業者とは、その逆、大胆でこれまでの業界慣習にとらわれない業者であり、業界の攪乱者です。異業界からの参入者や外国企業が典型例でしょう。

前回のコカ・コーラとペプシの話に戻ると、ペプシにとっては入手したコカ・コーラのレシピをばらしてどこの馬の骨とも分からない新規業者に参入されるより、激しい競争を繰り広げながらもツーカーの中であるコカ・コーラとの競争の継続を選んだと言えます。

【参考】
「競争優位の戦略」M.E.ポーター著 ダイヤモンド社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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