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比べてなんぼ(相対評価)②

■望むように買い手に選ばせるためには?

前回、「比較対象が変わると評価も変わる」「比べやすいものだけを比べて、比べにくいものは無視する」という私たちの傾向について見ました。これをマーケティングに応用するとどうなるでしょうか。

あるビールメーカーには特価ビールであるAブランドと高級ビールであるBブランドの2種類があります。
マーケターであるあなたは、高級ビールであるBブランドの拡販を考えています。さてあなたならどうしますか?
※競合メーカーについては考慮しなくてよいです。


AブランドとBブランドのポジションを図示すると、次のようになります。
相対評価1
消費者にとっては特価ビールも高級ビールもそれぞれ魅力があり、優劣つけがたく選択しにくいです。よって比較しやすいようにおとりを設ける、つまりBブランドと価格は同じで少し品質が落ちるものを用意します。
相対評価2
消費者は「比べやすいものだけを比べて、比べにくいものは無視する」傾向がありますから、Aブランドは対象から外れBブランドとB´ブランド(おとり)を比べて明らかに優位なBブランドを選択することになります。

同様の手口は不動産紹介で見られます。不動産屋の営業マンはどうしても今日中に成約をまとめたいが、お客の方はルームA(条件がよくて賃料高い)とルームB(条件も賃料もそこそこ)で迷ってしまって決めかねているとします。そこで不動産屋の営業マンは、こう切り出します。「近くにもう1つオススメの部屋がありますが、ご案内しましょうか?」

営業マンはそう言って手持ちの物件の中からルームB´(条件はそこそこで賃料は高い)をピックアップしてお客をそこに案内します。お客はルームBとおとりのルームB´を比較して、すぐにルームBに決めるはずです。


■おとり戦術を新商品の販売に利用する

ウィリアムズ・ソノマ社が初めて家庭用ブレッドベーカリーを売り出したとき、ほとんどの消費者は無関心でした(家庭用パン焼き器なんてほんとにいる?)。
ソノマ社から相談されたあなたは、どのような販売拡大策を提案しますか?



これは実際にあった話です。相談されたマーケティング調査会社は、「最初のパン焼き機より大型で、値段は1.5倍するモデルを新たに発売すること」を提案したのです。

もっとも新モデルはおとり役で、比較対象を得た消費者は従来モデルを買うようになったのです(まあパン焼き機のことはよくわからないけど、もし買うとしたら、小さくて安いほうかな)。


■賢い引き立て役の選び方

選ばせるためには比較軸を1つに絞ることが求められます。先のビールの例であれば、特価ビール(低品質)と高級ビール(高品質)とで、価格と品質の2つの軸があるので選びにくかったわけで、対策としては品質に評価軸を絞り、おとりビール(高価格で低品質)を用意したわけです。

さて男性諸氏であれば、「女友達に合コンのセッティングを頼むと自分より見た目が劣る友達を連れてくる」傾向に賛同される方が多いと思います(女性の友人に確かめると必ず否定されますが)。

真偽はともかく、自分が選ばれる確率を高くするためには引き立て役を設けたほうが合理的です。ただし重要なのは「誰を引き立て役にするか」です。

あなたがルックスに自信があるのなら、会話のセンスが良いお友達を選んではいけません。「会話のセンスは同等でルックスは自分以下」あるいは「ルックスは同等で会話のセンスは悪い」を選ぶことをオススメします。

逆に会話のセンスが同じくらいの友人から合コンに誘われたら、もしかしたらあなたは「おとり」なのかもしれません??

【参考】
『予想どおりに不合理』ダン・アリエリー著 早川書房





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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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