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「分析をしてから結論を出す」は正しいか?(仮説思考)④

前回、経営戦略の分析型アプローチについて取り上げ、事前に詳細に分析して戦略を策定することの弊害について述べました。それは「環境変化を前提とすれば(過去の)分析など役に立たない」「精緻な分析をして策定した戦略や計画ほど変えたがらなくなる」というものでした。


■プロセス型アプローチによる戦略策定プロセス

正確に外部環境を予測することなどできないし、環境変化に応じて臨機応変に戦略を修正しなければいけないとしたら、最初からあまり精緻に戦略を作り込まないほうがよいことになります。プロセス型アプローチとは、まさにこのようなアプローチを指します。

プロセス型アプローチでは、まず大まかな戦略アウトラインが経営トップから示されます。戦略アウトラインは、経営者個人の洞察や観察の結果生まれます(周囲からのアドバイスがヒントになることもあります)。

次に戦略アウトラインが現場部門に降ろされ、その枠組みで試行錯誤を行いながら実行することが求められます。その結果、得られた成果が戦略アウトラインにフィードバックされ、戦略アウトラインが修正・精査されていきます。

つまり戦略アウトラインをコミュニケーションのベースとしながら、組織全体で修正を図っていくというプロセスです。当初想定されていなかった事態が起きても、それを排除せず、事業活動から得られた成果として、戦略アウトラインとして取り込んでいくのです。このことを指して創発戦略(偶然の機会や結果を積極的に取り込んでいく戦略)という場合もあります。

プロセス型アプローチは、いわば「走りながら考える」という戦略プロセスであり、「思いつき」「朝令暮改」のようなイメージを持つかもしれません。しかしながらこれらが単なる行き当たりばったりなのに対し、プロセス型アプローチでは最初の仮説を重視します。どうせ先は分からないのだから、それならば最初の分析はそこそこに仮説(戦略アウトライン)だけ立てて、それを実地で試して必要に応じて修正するほうが効率的ですし、有効でもあります。


■プロセス型アプローチを身近に活かす

さて、あなたが上司から何か企画書を2週間後に出すように言われたら、どのように対応するでしょうか。

マズイやり方は、2週間フルに使って分析と立案を行うということでしょう。2週間後に企画書を出したら、上司にはねられたなんてことも想定できます。さらに既に作り込んでいますから、修正することに大きな抵抗を覚えるはずです。

賢いやり方は、5日から1週間経ったら上司に企画初案(仮説)を出して反応を見るということです。そこで上司から修正の意見があっても、まだ期限がありますから、修正する余裕があります(まだ作り込んでいないので修正する気にもなります)。結果的に上司の期待に近い企画書ができる可能性が高くなります。

このように仮説思考の考え方は、ビジネス環境において効率良く活動する上で大きな力になります。


【参考】
『戦略計画 創造的破壊の時代』H・ミンツバーグ著 産能大学出版部
『競争戦略論』青島矢一・加藤俊彦著 東洋経済新報社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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