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日本の格差は拡大しているのか?(ジニ係数)

2000年代に入り、日本でも所得格差が拡大しているという指摘がマスコミや識者の間でよくされています。トマ・ピケティの著書「21世紀の資本」が1昨年度にベストセラーとなったこともこのような風潮によるものでしょう。


■ジニ係数とは?

所得格差については、ジニ係数という指標で判断することが一般的です。ジニ係数の算定にあたっては、下のような横軸に世帯数の累積比を、縦軸に所得額の累積比をとったローレンツ曲線というものを使います。
ジニ係数

まず45度線ですが、これは下位から合計10%の世帯で国全体の所得の10%を占め、下位から合計50%の世帯で国全体の所得の50%を占めるといった関係を示しています。

世帯数合計に比例して所得合計が増加しますので、完全に所得が平等であることを示しています。しかしながら実際にはこのような完全に平等な所得分配はありえません。

次にローレンツ曲線ですが、これは実際の1国の所得の世帯分配を表しています。たとえば下位から合計10%の世帯で国全体の所得の1%しか占めず、下位から合計50%の世帯で国全体の所得の10%しか占めないといったような関係を示しています。逆に横軸を右側から見ると、上位10%の世帯が国の所得の40%を占めるということを表しています。つまり実際の所得分配の不平等さを示しているものです。

ジニ係数は図の「A÷(A+B)」で算出されます。ローレンツ曲線が下側にせり出しているほど(図のAが大きいほど)不平等度が高いと言えますので、ジニ係数が大きいほど不平等度が高いと言えます。


■日本のジニ係数の推移

日本の所得格差については、「2000年代初頭の小泉政権下での、いわゆる竹中路線(新自由主義)の結果である」というのが通り相場ですが、実際にはどうなのでしょうか。

ジニ係数は2種類あり、課税前・社会保障給付前の「当初所得」、課税後・社会保障給付後の「再分配所得」について産出されています。

日本のジニ

当初所得のジニ係数は拡大傾向にあります。よく言われる日本の所得格差拡大はこれに当たります。高齢化が進むほど、(それまでの所得が累積的に加算されるので)所得格差は進みます。

一方、再配分後の所得のジニ係数は横ばい(若干低下)です。当初所得ジニ係数と再配分所得ジニ係数の差の当初所得ジニ係数に対する比率は、所得格差是正効果と捉えることができ、これを再分配改善率とすれば、改善傾向にあります。

自由主義経済では所得格差はつきものです。より大事なのは当初所得格差ではなく再分配後の格差でしょう。再分配後の所得で見た場合、2000年代に入り日本の所得格差は拡大傾向とは言えず、所得累進課税、相続税、社会保障給付などの再分配政策はそれなりに機能していると言えます。


【参考】
ダイヤモンド・オンライン/高橋洋一の俗論を撃つ!(153回)/民進党は経済政策を見ても前途多難だ



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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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