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中国は成長できるのか?①


中国経済については「生産過剰」「資産価値バブル」「地方自治体の過剰債務」という3つの爆弾を抱えていると言われていますが、今回はこれら短期的な問題とは別に中長期的な問題について取り上げたいと思います。


■経済成長のプロセス

経済成長のプロセスは簡略化すると次のようになります。

①低生産性部門から高生産性部門への労働力の移動
たとえば農業などの伝統的部門から都市の工業部門への労働力の移動です。日本でも高度経済成長前期には集団就職などの形でこのような労働力移動が見られました。

②設備投資の増強
労働力の高生産性部門への移動を通じて国民所得が徐々に増加し、国内の需要が拡大すると、成長機会を捉えるべく設備投資や研究開発投資が活発化します。また国内の労働力の拡大はやがて頭打ちになりますから(1人あたり人件費も高騰)、設備導入による生産性工場が求められるようになります。

③技術力の向上
設備導入が高度に進んだ頃には右肩上がりの経済成長は終わり、経済が成熟化した段階に移行します。もはや大量生産した安価な製品では売れず、企業は高付加価値な製品を供給しなければ生き残ることが難しくなります。また一通り製品は普及した段階ですから、経済のサービス化が進みます。


■中所得国の罠

中所得国の罠とは、経済発展の段階で、中所得(1人当たりGDPが1万ドル程度)になると経済が停滞してしまい、先進国の仲間入りができなくなるという状況を指します。

「1人当たりGDP1万ドルの壁」を、日本は60年代、香港、シンガポールは70年代、韓国は80年代にそれぞれ突破し、その後も安定した成長を続けています。

一方、アジアではタイやマレーシア、中南米ではアルゼンチン、チリ、ブラジルなどが一時は成長し1人当たりGDPが1万ドルを超えて成長しそうな勢いであったのが、大きく減速しています。

中所得国の罠は、新興国が低賃金の労働力を活用して経済成長を遂げたものの、人件費の上昇と先進国との技術力との差に阻まれ、競争力を失っていくことによります。


■中所得国の罠にはまりつつある中国

いかんせん正確なGDPも人口も分からないので中国の正確な1人当たりGDPが算出できないのですが、一応公表されている約8000ドルとしますと、今後、中国な中所得国の罠に陥る可能性がでてきます。

先の経済成長のプロセスで言うと、「①低生産性部門から高生産性部門への労働力の移動」がほぼ終わり、「②設備投資の増強」の途中段階と見られます。
確かに国営企業などの過剰投資が指摘されていますが、中国全体から見ると、第2次産業就業者比率はようやく30%に達した段階であり、完全に第2次産業への移行が完了したとは言えない状態です。

ちなみに中所得国の罠を突破した際の現先進国の第2次産業就業者比率は、35%程度です。

今後、中国が経済成長するには、国内の第2次産業化を十分な水準に高めた上で、技術力の向上を図ることが求められます。


【参考】
『日本がわかる経済学』飯田泰之著 NHK出版
『中国GDPの大嘘』高橋洋一著 講談社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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連絡先:rsb39362(at)nifty.com
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