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中国は成長できるのか?②

■中所得国の罠を突破するには

過去の先進国の例を見ると、中所得国の罠(1人当たりGDP1万ドルの壁)を突破するには、資本・投資の自由化が条件になります。各国で自由に資本を融通できることは、対外取引を拡大するうえでの条件になるからです。

確かに日本の高度経済成長は、高い国内貯蓄が金融機関を通じて成長分野への投資に回ったことが大きな要因ではありますが、他の先進国の例を見ると、外国からの資本導入が大きな成長要因となっています。

また、日本は東京オリンピックに合わせるかたちで1964年にOECDに加盟することによって「資本取引の自由化に関する規約」に加入し、資本・投資の自由化に徐々に踏み出し、その後の貿易の拡大や経済発展に大きく寄与しました。

しかしながら中国は一党独裁の共産主義体制です。経済を体制側でコントロールするためには、(それを嚆矢に経済の民主化につながりかねない)外資の参入には制限をかける必要があり、資本の自由化を進めることができないという事情があります。

事実、中国企業との合弁にあたっては中国側の出資比率が51%以上という高い制限がかけられています。


■早すぎる脱工業化

前回見たように、中国の第2次産業就業者比率はようやく30%に達した段階であり、現先進国が1人当たりGDP1万ドルを超えたときの35%以上を下回る水準です。

十分な工業社会化が実現した後に脱工業化が始まるという正常な経済成長プロセスから考えると、中国はもう少し工業化を進める必要があります。

しかしながらその一方で短期的には国有企業の過剰投資・過剰生産があり、さらに政治的な問題から国有企業の構造改革を進められないこと、資本取引規制が外国からの投資のハードルになっていることから、工業化を進めにくいというのが実態でしょう。

さらに言えば、成長の第3段階の「③技術力の向上」にも大きく影を落とすことになります。1人あたり人件費が高騰し、高付加価値化を図りたいが、資本の自由化が制限され海外からの投資が進まないことで、海外からの高い技術の導入が不十分になります。また企業の約半分が国有企業であり、政治体制とベッタリな関係で、ガバナンスが効かず、自由競争の原理が働かないからです。

結局は中国の共産主義体制そのものが経済成長のネックになるわけです。


【参考】
『中国経済はどこまで崩壊するのか』安達誠司著 PHP研究所
『ゼロから学ぶ経済政策』飯田泰之著 角川書店
『戦後経済史は嘘ばかり』髙橋洋一著 PHP研究所
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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