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正しい目標設定①

多くの会社で目標管理制度が導入されています。目標を設定したほうが仕事に対する意欲が高まり、成果も高めやすいということには異論がないかと思います。しかしながら目標の設定のしかたによってはモチベーションを十分に引き出せないこともあります。

■「ベストを尽くせ」は正しいか?

心理学者のレイサムは、木材の伐採をする作業員を2つのグループに分け、片方のグループには伐採すべき木の本数について具体的で困難な目標を与え、もう片方のグループには最善を尽くしてできるだけ沢山の木を伐採するように伝えました。

結果は「具体的で困難な目標」を与えられたチームのほうが、「最善を尽くすように」と言われたチームより成績が良かったのです。

理由は「最善を尽くせ」と言われただけでは、評価も場当たり的になりやすく、その結果、「これくらいでいいだろう」という受容可能な業績レベルが人によって大きく異なるからだと指摘されています。
どのくらい頑張ればよいのかが曖昧だと、ついつい自分に甘くなりがちだというわけです。

また「最善を尽くせ」というような具体性のない目標の場合は、評価者である上司と実行者である部下が想定する「最善の水準」にズレがあることも問題になります。部下としては「こんなに頑張ったのに評価してくれない」と不満に思う一方で、上司の側でも「なんでこれしかやらないのか」と不満を抱くといった事態になりかねません。

一方、目標がはっきりつかめると、どの程度努力すればよいか、どんな方法を取ればよいかを具体的に考えやすいし、それによって覚悟ができやすいということがあります。

「具体的で多少困難な目標を設定する」ほうが業績が向上することが多くの研究成果によって明らかになっています。


■天井効果

さて企業であれば、大抵は部門や個人の目標は具体的で多少困難であるはずです。期末になると目標のクリアに四苦八苦するというのが見慣れた光景でしょう。

一方、期中に早々と目標をクリアしてしまうとどうなるでしょうか。目標を達成するとそれ以上に頑張らなくなることを天井効果といいます。

天井効果には、2つの要因が指摘されています。1つは、これ以上頑張って今期あまりに高い実績を残すと、次期にもっと高い目標を課せられて苦しむことになると予想するため、ほどほどにしておこうという心理が働くということがあります。

毎年、実績に10%上乗せしてノルマを設定するというやり方だとこのようなことが起きます。こうした事態を放置しておくと、モチベーションが高く実力もある人が十分に力を発揮し成長していくチャンスを奪うことになると同時に、組織としても大きな損失になります。

2つめは、ノルマを達成したかしないかだけで評価がなされ、目標を上回った部分に対する評価がないと、目標以上の成果を出しても意味がないと判断され、目標達成が見えてきたら、もう頑張る気力が沸かなくなるということがあります。

営業部門では、今季の目標をクリアしそうになるとできるだけ追加の受注は来期に回すよう調整を命じられるということは一般的に見られる事象です。

天井効果を防ぐためには、次期については今期の実績を考慮するにしても納得性の高い現実的な目標を設定する、目標超過分についても適正に評価することが求められます。


【参考】
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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