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トランプ経済学③(保護貿易主義)

自由貿易の利益は、余剰分析という考え方によっても説明できます。

■供給曲線と需要曲線

余剰というのは、「取引の結果得られる利益」という意味で、大きく消費者余剰と生産者余剰に分けることができます。

少し長くなりますが消費者余剰と生産者余剰について説明したいと思います。まず下図は国内だけを考えた供給曲線と需要曲線です。
余剰分析①
供給曲線は、価格と供給量の組み合わせです。たとえば、100円なら1個供給して販売する、200円なら2個供給して販売するといった具合です。

需要曲線は、価格と需要量の組み合わせです。たとえば、700円なら1個需要(≒購入)する、600円なら2個需要(≒購入)するといった具合です。

市場全体の需要曲線と供給曲線が折り合うところで市場価格が決まります。上図で言えば、市場価格は400円で取引量は4個ということになります。


■消費者と生産者の取り分

余剰分析②
さて市場価格が400円で決まると、700円で買おうとしていた人も600円で買おうとしていた人も500円で買おうとしていた人も400円で買えるわけですから、得をするわけです。この払わなくて済んだ分の合計を消費者余剰といい、上図の青い三角形の面積になります。

一方、100円で売ろうとしていた企業も200円で売ろうとしていた企業も300円で売ろうとしていた企業も400円で売れるわけですから、得をするわけです。この高く売れる分の合計を生産者余剰といい、上図の薄いグレーの三角形の面積になります。


■自由貿易によって必ず社会全体の利益は増加する

余剰分析③
さてここで関税が撤廃され、海外から安価な製品が流入したとします。海外の安くても供給しようとする生産者の参入により、国内の生産者と海外の生産者を合わせた供給曲線は上図のように下側にシフトします。

国内だけを考えた場合と比較して、消費者余剰は必ず増加します。一方、生産者余剰の増減は不明ですが、生産者余剰の一部は海外の生産者に渡りますので、国内の生産者余剰は必ず減少します。

では消費者余剰と生産者余剰を足し合わせた社会的総余剰はどうでしょうか。国内だけを考えた場合と比較して、社会的総余剰は必ず増加します。よって貿易自由化を進めて社会的総余剰を拡大させ、その中から補助金などを使って損をした生産者に再分配するというのが経済学の常識です。


■建前上TPPには参加しないが…

自由貿易は安価な製品の流入によって消費者が得をし、国内生産者が損をするが、これまでの経済発展から貿易は社会全体の利益をもたらすということは感覚的にも理解できると思います。

以上、比較優位説と余剰分析から自由貿易の利益を見てきました。歴史上、自由貿易を否定して経済発展したケースはありません。

当選後、トランプ氏は共和党主流派との歩み寄りの姿勢を見せていますが、TPP参加は難しいにせよ、自由貿易主義の共和党の意見を取り入れて、2国間での自由貿易協定に乗り出すのではないかとの見方があり、その可能性は高いかもしれません。


【参考】
『戦後経済史は嘘ばかり』髙橋洋一著 PHP研究所



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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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