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トランプ経済学④(公共投資の効果)

トランプ氏の財政政策(公共投資と減税)について見てみましょう。今回は公共投資について考えます。

■大規模なインフラ投資

トランプ氏は規模は明らかにしていませんが、クリントン候補の倍以上のインフラ投資を行うと選挙前に発言しています。これが事実なら5年間で5000億ドル以上の極めて大規模な公共投資を行うことになります。

一方でトランプ氏は大規模な減税を打ち出していますから、公共投資の財源は国債発行によって賄うことになります。

つまり借金をして支出に使うということですが、これ自体は景気浮揚策としては誤りではありません。誰かが支出を増やさなければ経済は廻らないわけですが、もし民間が支出しないなら政府が支出するしかないからです。


■クラウディング・アウト

しかしながらその一方で公共投資にはクラウディング・アウト(押し出し効果)と呼ばれる副作用が生じます。

クラウディング・アウトとは、政府支出の増加が利子率(金利)を上昇させて、民間の投資を減少させてしまう現象をいいます。 政府需要の拡大が民間需要を押し出してしまうのです。

たとえば公共投資を行う財源として国債を発行すると、資金市場での需要が増加することになる(借り手が増える)ので、資金調達コストである利子率が上がります。

利子率が上がれば設備投資や住宅投資などのための借入が減少するので、民間投資が減少することになります。


■マンデル=フレミング効果

経済学ではマンデル=フレミングモデルというものがあります。これは固定相場制や変動相場制における金融政策や財政政策の国民所得に与える影響についての理論的なモデルです。

ロバート・マンデルとジョン・マーカス・フレミングによって考案され、現在の国際経済下での政策を分析するのに大変有用なものであり、マンデル教授は1999年にノーベル経済学賞を受賞しています。

このモデルでは、日本やアメリカなどの先進国の変動相場制の下では、財政政策は効果がないことになります。

先に触れたように、財政政策は利子率の上昇を招きますが(クラウディング・アウト)、その結果、自国通貨が増価して輸出が抑制されるからです。

日米を例にすると、アメリカの財政支出の拡大はドル建ての債券の利子率(収益率)の相対的な上昇を招き、ドル建ての債券の需要が増加します。ドル建ての債券ですからドルの需要が高まり、円売りドル買いが進んで円安ドル高になります。これはアメリカの輸出の減少(日本の輸出の増加)につながります。

以上、財政支出の拡大は利子率の上昇から民間投資の抑制と輸出の減少という副作用を招き、総需要拡大を抑制してしまうのです。

トランプ氏の言う財政支出を行うとクラウディング・アウトが生じる可能性があります。実際にトランプ氏当選以降、これを見越してかアメリカの10年物国債の金利が上昇しています。

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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