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トランプ経済学⑥(公共投資の効果2)

前回、ヘリコプターマネー政策について触れました。ヘリコプターマネーとは、中央銀行が、政府が発行した国債を引き受けるというもので、財政と金融の同時緩和政策(ポリシーミックス)です。これにより、大規模な財政支出を行っても利子率の上昇を抑えることができます。

財政と金融の同時拡大の効果は、マンデル=フレミングモデルからも確認できます。要は利子率の上昇を押さえられれば、財政政策は効果を持ちます。また金融緩和によって通貨高も回避することができます。


■アベノミクスに対する強い関心

大統領選翌日の安倍首相とトランプ氏との電話会談で、トランプ氏から「アベノミクスを高く評価する」「アベノミクスについて教えて欲しい」との話があったという報道がありました。

先日の両者の会談でもトランプ氏は安倍首相の話を熱心に聞き入っていたという好意的な報道があります。

もしかするとトランプ氏も財政と金融のポリシーミックスについてかなり意識し始めたのかもしれません。


■足元では利上げが望まれているというジレンマ

ここまでトランプ氏の提唱する財政政策を効果的に実現するための条件として金融緩和による利子率の低下について述べてきましたが、現時点での状況はかなり複雑です。

アメリカでは10月の消費者物価指数で年率1.6%、生鮮食料品を除くコアで2.1%の上昇率と既に高いインフレ率で推移していること、さらに労働市場が完全雇用(いわば失業率の下限状態)に近いことから、昨年来、金融引き締め(金利引き上げ)の時期が取り沙汰されており、実際昨年末に利上げを実施しています。

ちなみに物価上昇率は2%程度で抑えることが現在の世界標準です。

さらに大規模なインフラ投資を行うと景気が加熱して物価が上昇します(インフレ)。また量的金融緩和を行っても物価は上昇することになります。財(モノ)に対して貨幣が余り気味になるので、財の価値が上がり(物価の上昇)貨幣の価値が下がるからです。

財政政策を実行するためには量的緩和で利子率を下げたいが、足もとの状況では利子率の引き上げのタイミングである、量的緩和を行うと物価が限度を超えて上昇してしまうというジレンマがあります。

利子率の抑制をとって物価の上昇を甘受するか、物価の安定を取って利子率の上昇を甘受するか、トランプ陣営としては難しい舵取りになるのではないでしょうか。


9月の日銀政策決定会合で示されたような金利調整を目的とした金融緩和政策がアメリカでも行われることが考えられますが、物価の抑制と利子率の低下を両立させることは容易ではないと思われます。


■日本の出方は?

さて仮にアメリカでヘリコプターマネー政策が実施されると、大幅なドル安円高となりますので、日本経済にとっては打撃になります。よって日本でも量的金融緩和の拡大が求められることになります。

海外では金融緩和が進む一方で、日本では金融引き締め気味だったことが、まさに民主党政権(白川日銀総裁)時代の経済苦境につながったという事実を踏まえる必要があります。

日米同時金融拡大は、日本にとっては脱デフレと為替安定化、アメリカにとっては国内経済の浮揚といったように悪いはないではありません。
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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