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集団になると人は手抜きする(社会的手抜き)①

1人1人の力を合わせれば、集団の力の合計は少なくともその総和になるはずです。たとえば仮に1人の力を仮に100とすれば、3人合わせれば力の合計は300になると考えるのが自然でしょう。
しかしながら多くの研究では、集団の力は個人の持つ潜在的な力の合計には及ばないことが指摘されています。


■集団になると人は手抜きする

これは社会的手抜きという現象によって説明されています。社会的手抜きとは、集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも1人あたりの努力の量が低下する現象のことを指します。

たとえば綱引きをした場合、下のように1人1人の持つ力(100%)の合計よりも実際の力の合計は必ず下回ることが明らかになっています。

  2人⇒93%  3人⇒85%  4人⇒77%  5人⇒70%
  6人⇒63%  7人⇒56%  8人⇒49%

みんなで声を出すなど他の共同作業においても同様の結果が得られており、確かに社会的手抜きは存在するようです。

よく神輿を担ぐのは2人、担いでいるふりをしているのが6人、ぶら下がっているのが2人などと言われますが、このイメージです。

また集団の人数が多くなるほど1人あたりの努力が低下することを、リンゲルマン効果と言います。


■社会的手抜きの原因

社会的手抜きの原因としては、次のようなことが指摘されています。

①評価可能性
 1人1人の集団への貢献が適切に評価できない。
②努力の不要性
 周りが優秀なので自分が努力しても集団の成果に影響を与えない。
③手抜きの同調性
 他人がサボっているなら自分もサボる。
④緊張感の低下
 集団の中にいると当事者意識がなくなり緩んでしまう。
⑤注意の拡散
 他人に気を取られて自分のことに注意がいかなくなり、自己意識が低下して目標を意識しなくなる。


■意欲は確率で決まる

また社会的手抜きはモチベーション理論の1つである期待モデルによっても説明できます。期待モデルは、期待・道具性・誘意性の3つから動機づけの過程を捉えるものです。

期待とは、個人の努力が個人のパフォーマンス向上につながることの予知です。努力をすれば成果につながる可能性が高ければ期待は高くなります。

道具性とはパフォーマンスが何らかの報酬や罰に結びつくと思っている度合い(信念)を意味します。業績が上がれば給料が増えたり、賞賛されたり、名誉を得ることができると思っている程度が強い場合、道具性が高いことになります。

誘意性とは得られる報酬の主観的な魅力です。たとえば10万円の魅力が高ければ誘意性は高く、魅力が低ければ誘意性は低くなります。

モチベーションの強さは期待・道具性・誘意性の積(掛け算)で決まりますので、いずれか1つが低ければモチベーションは低下します。

社会的手抜きとの関係で言うと、期待・道具性・誘意性のいずれかが低いと社会的手抜きが生じることになります。先に挙げた評価可能性や努力の不要性は道具性の話と捉えることもできます。


【参考】
『人はなぜ集団になると怠けるのか』釘原直樹著 中央公論新社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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