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集団になると人は手抜きする(社会的手抜き)②

前回、集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも1人あたりの努力の量が低下するということについて取り上げました(社会的手抜き)。今回は集団が直面する課題と社会的手抜きの影響について考えてみます。


■課題の種類

課題には大きく次の5つがあります。

(1)加算的課題
各メンバーの成果が合算されて集団としての成果の最大化を目指すもの。
たとえば綱引きや応援、合唱などです。全体の成果を個人レベルの貢献に落としにくいことが多いです。

(2)補正的課題
各メンバーの判断や回答を平均化して集団の回答とするもの。
たとえばスキージャンプや体操の採点などです。量に関して判断する場合は補正的判断が優れています。たとえば1年後の株価を予測する、ビンの中に入ったジェリービーンズの数を当てる、牛の体重を当てるといった場合、専門家とされる人の予測よりも素人の集団の予測の方がむしろ正解に近いことが実証されています。

(3)分離的課題
集団で1つの解答を出すことが要請され、少なくとも1人が課題に成功すれば課題の完了となるもの。
たとえば通常の会議、裁判の判決、集団で1つの回答を出すクイズ番組などです。
この場合は集団内で最も優秀な個人の能力が集団の成果を決めますので、そもそも集団向きの課題ではありません。最も優秀な個人が判断したことを他のメンバーが従えばよいのです。

(4)結合的課題
メンバーの能力の下限に集団の成果が依存するもの。
リレー形式のものが典型例です。たとえば生産ライン全体の生産能力(生産のペース)は、最も生産能力が低い(作業ペースが遅い)工程に依存します。業務プロセスがチェーン上になっている場合は結合的課題ということができます(例:サプライチェーン)。

(5)任意的課題
(1)から(4)にように形式が決まっておらず、また集団の決定方法を自由に変えるというもの。
たとえば最初はメンバーの平均を取ることにしたが、後から専門家の判断に委ねることにしたといったケースです。


■社会的手抜きはどの課題でも生じる

社会的手抜きはどの課題でも生じます。それは前回挙げた社会的手抜きの原因である①評価可能性②努力の不要性③手抜きの同調性④緊張感の低下⑤注意の拡散を満たしてしまうからです。


まず社会的手抜きというと最も成果へのインパクトが直接的のは加算的課題です。

補正的課題では誰かが手抜きしても、平均化により集団成果へのインパクトが減じられればそれほど問題にはなりません。

分離的課題では、集団内で最も優秀な個人の能力が集団の成果を決めますので努力の不要性(周りが優秀なので自分が努力しても集団の成果に影響を与えない)により社会的手抜きが生じますが、そもそも能力が低いメンバーが手抜きしても集団の成果には影響を及ぼしませんから、あまり問題ではありません。ただし最も優秀な個人の主張を他のメンバーが理解できない場合や受け入れられない場合、他のメンバーの手抜きがひどく優秀な個人のやる気が失われる場合は、当然ながら集団の成果は低下することになります。

結合的課題では、能力が低いメンバーにより集団の成果が決まるので、彼(彼女)が社会的手抜きをする可能性は低いと言えますが、もし手抜きされると致命的になります


【参考】
『人はなぜ集団になると怠けるのか』釘原直樹著 中央公論新社
『グループ・ダイナミックス』釘原直樹著 有斐閣




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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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