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集団でよい知恵が生まれるか?①(集団プロセスの損失)

「3人寄れば文殊の知恵」という言葉に代表されるように、私たちは「みんなが集まれば優れたアイデアを生み出すことができる」ということを信じています。
その一方で、本音ではいつもそうだとは限らないということも感じています。


■優れた集団の知恵はどう生まれるのか?

そもそも優れた集団の知恵とはどのようにして生まれるのかについては、以前にも取り上げましたが再確認しておきます。それは1つ1つのアイデアを単に足し算するのではなく、掛け算、つまりアイデア同士を融合させ進化させていくということです。

これはよくオーケストラやジャズの即興にたとえられます。1人のプレイヤーが即興演奏を始めると、それに呼応して他のプレイヤーが即興を始め、その結果、オリジナリティの高い演奏が生まれるというものです。


■集団で創発が生まれることはほとんどない

しかしながらこれまでの集団に関する研究を見る限り、個人のレベルでは存在しない知恵が、グループ、特に互いに未知の人間から構成される一時的な作業グループにおいて新たに創発することは極めて希であることが分かっています。

さらにグループの成果は平均的なメンバーの成果を上回るものの、その中で最良のメンバーの成果を上回ることはほとんどないことも判明しています。



■集団プロセスの損失

これはプロセスの損失がプロセスの獲得(創発性)を上回るからです。プロセスの損失とは、これまで見てきた社会的手抜きの問題に加え、各メンバー間の調整の難しさによる生産性の低下も含みます。

これには目標(方向性)の認識が一致していないために生じるロスがあります。たとえば5人で綱引きをしていても各メンバーの綱を引く方向が微妙に違えば、各メンバーの力の合計が全体の力の合計を上回ることはないでしょう。また各メンバーで綱を引くタイミングがずれても同様のことが生じます。

会議でも同様で、それぞれのやりたいこと(目標や目的)のイメージが異なれば、得られる結論は結局のところ中途半端なものになります。同床異夢というものですね。

メンバー間の創発性を促すことを目的とするブレインストーミングと、個人が他のメンバーと相互作用せす独立して考え、それを集めて集団の成果とする場合とでは、ほぼ必ず後者のほうがアイデアの数が多く、かつ質的にも優れているという結果が出ています。

これは社会的手抜きのほかに、各メンバーの発言に気を取られて自身のアイデアの練磨に集中できないという生産性の阻害によるものです。

(つづく)

【参考】
『人はなぜ集団になると怠けるのか』釘原直樹著 中央公論新社
『会議の科学』岡本浩一、石川正純、足立にれか著 新曜社
『合議の知を求めて』亀田達也著 共立出版

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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