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上司の仕事

■上司の行動は、「仕事の進捗」と「部下の尊重」

仕事に絡んで個人が心の内面に抱く認識や感情をインナー・ワーク・バランスと言います。インナー・ワーク・バランスは、知的労働者のパフォーマンスに重要な影響を与えるものとして注目されており、これがポジティブであると、組織のパフォーマンスが向上することが分かっています。

インナー・ワーク・バランスに最も大きな影響を与えるのが、上司の態度です。アマビールらの調査研究によれば、上司の行動として重要なのは、①仕事を進捗させること、②部下を人間として尊重することの2点です。

リーダーシップ論では、リーダーシップ行動を、タスク志向型(組織としての業績を優先する)と人間関係志向(メンバーとの良好な関係を優先する)の2軸で捉えるものが多いです。

リーダーシップの行動特性理論(ベストなリーダーシップのスタイルを抽出する)では、伝統的な理論の多くが、タスク志向と人間関係志向の両方が大事としています。一方、リーダーシップの状況適合理論(状況に応じたリーダーシップのスタイルを求める)によれば、環境が安定的なら人間関係志向で、不安定ならタスク志向というものが多いです。

ただし、アマビールらの調査研究によれば、従業員たちが最も素晴らしい日(職場が最高だと認識できた日、最も嬉しいと感じた日、最も内発的動機づけが高まった日)であると感じた日と、最低だと感じた日を比較した結果、インナー・ワーク・バランスに最も大きな影響を与えるのは、「仕事が進捗したかどうか」であり、次に「人間として尊重されたかどうか」でした。

もちろん、仕事が進捗していれば(あるいは人間として尊重されていれば)、部下のインナー・ワーク・バランスは高まります。


■大事なのは具体的な目標を設定すること

では、部下が仕事を進捗するために、上司はどうすればよいでしょうか。直接支援する、適切な資源や時間を与える、教育的指導をするといったことがありますが、最も重要なのは、具体的な目標を設定することだとされています(これについては、本ブログの「正しい目標設定①~⑥」を参照下さい)。また仕事の重要性を明確に伝えることです。アマビールらの調査研究でも、このことが裏付けられました。


■日米の労働者の意識の違い

アマビールらの調査研究によれば、インナー・ワーク・バランスに最も大きな影響を与えるのは、「仕事が進捗したかどうか」であり、次に「人間として尊重されたかどうか」でしたが、日本の労働者を対象にした調査では、この順番が逆転することが分かっています。

また自己決定の感覚についても、欧米では自分で決めるということがモチベーションの最大要因とされる研究結果が多いのに対し、日本人(アジア人)の場合は、それが当てはまらず、人間関係重視であることも分かっています。

よって、人間関係を重視した行動が上司には求められます。
具体的には部下が持つ承認欲求に働きかけることです。承認欲求については、具体的には本ブログの「認めて欲しい(承認欲求)」「モチベーションの概要②」でも取り上げましたが、要は「自分のことを認めて欲しい」という欲求のことです。

もっとも日本人でも仕事の進捗のほうを重視する人もいるし、大抵の人は、順番はともかく仕事の進捗と人間関係の両方が大事だと考えていますから、当然ながら、双方に配慮した行動が上司には求められます。


【参考】
『モチベーションの新法則』榎本博明著 日本経済新聞出版社
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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