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お金をあげると失敗する!?①

新年、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

本ブログでもお金とモチベーションとの関係は何度が取り上げました。これまでの心理学の研究成果によれば、金銭的報酬は内発的な動機づけを低下させる可能性が高いということが裏付けられています。

※ただし金銭的報酬は必ずしも内発的な動機づけを低下させるわけではないことにも留意すべきです。詳しくは本ブログの「ボーナスが威力を持つ場合とは?」を参照してみてください。

今回は、高額の金銭的報酬を与えると創造性が失われることについて取り上げます。


■高額の報酬を与えると成績が悪くなる!?

行動経済学者のダン・アリエリーらは、インドで次のような実験を行いました。

彼らは実験参加者に、いくつかのゲームをしてほしいと頼んだ。それは、パズルだったり、何桁かの数字を記憶してもらうものだったり、テニスボールを的に向かって投げてもらうものだったり、アナグラム(ランダムに置かれた文字を意味のある言葉に並び替えるゲーム。たとえば「tiontivamo」を「motivation」と置き換える)だったりした。これには、注意力、記憶力、集中力、そして創造力など、様々な能力が必要とされる。

この実験では、参加者を、あるレベルの成績を達成した場合に与えることを約束した報酬の額によって3つのグループに分けた。具体的にはインドの1日分の賃金に相当する報酬グループ(4ルピー)、2週間分の賃金に相当する報酬グループ(40ルピー)、5ヶ月分の賃金に相当する報酬グループ(400ルピー)である。すべての参加者には、あるレベルの成績を達成した場合の報酬額として、3つのうちいずれかが前もって提示された交換条件付きの報酬である。



それでは、実際の成績は、提示された報酬によって変わったのでしょうか?私たちが考えるように、高い報酬を提示された方が、結果は良かったのでしょうか?結果は、最も少額の報酬グループが最も成績が良く、最も高額の報酬グループの成績が最も悪かったのです。


■高額な報酬は視野を狭くする

ドゥンカーの実験など他の心理学の実験でも、高額な報酬がかえって思考の明晰化や創造力を損なうことを示しています。

報酬には、もともと注意や発想の焦点を狭めるという性質があります。既存の問題を解決するような単純作業の場合には、この性質は役に立ちます。前方を見据え、全速力で走るには有効でしょう。

ただし、交換付きの報酬は、発想が問われる課題や、新しいことを次々と応用する必要があるクリエイティビティな課題にはまったく向かないのです。
広い視野で考えれば、見慣れたものに新たな用途を見つけられたかもしれないのに、報酬によって解決を焦り、発想の焦点が絞られたせいで自由度がなくなってしまったのです。

【参考】
『行動を起こし、持続する力』外山美樹著 新曜社
『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー著 早川書房


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
「中小企業診断士のための経済学入門」※絶賛在庫中!
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