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優れたグループのアイデアはどのように引き出されるか

1966年に592人の科学者の研究活動を調査した結果、もっとも多作な科学者は共同研究の機会も圧倒的に多いことがわかりました。また別の調査では、ノーベル賞受賞者41人とそれ以外の科学者を比較し、ノーベル賞を受賞していない科学者よりノーベル賞を受賞した科学者のほうが頻繁に共同研究をしていることがわかりました。

これまで集団の意思決定が勝るのは、問題創造型の意思決定の場合であること、ただしオリジナルのブレイン・ストーミングは上手くいかないことについて取り上げました。ではブレイン・ストーミングを有効に機能させるためには、どうすればよいのでしょうか。

まずは問題創造型の意思決定で求められることから確認しましょう。問題創造型意思決定とは、そもそも問題や課題がよく分からず、それに対する解決策もよく分からないという場合でした。よって、意思決定というよりはアイデアの創造といったほうがよいかもしれません。

このような場合では、何らかのひらめきが求められます。ひらめきは個人的なものですが、1人1人のひらめきが積み重なれば(集団でのひらめき)、より熟成したものになるでしょう。またこうした集団でのひらめきは、一度限りの個人のひらめきより早く成長するでしょう。

不完全であっても1人1人のひらめきを誘発させ、それが正しい方向に積み重ねられる(即興性を生む)ような環境を整備すれば、グループでのアイデアは優れた個人のアイデアに勝ることになります。

さらに、ひらめきは個人的なものですが、いくつかのひらめき(アイデア)の中から選ぶのは、条件が整えばグループのほうが優れています(注)。ここでのポイントは、優れた集団のアイデアは、1つ1つのアイデアを単に足し算して生まれるのではなく、掛け算的、つまりアイデア同士を融合させ進化させていくことで(シナジー)生まれるということです。

集団によるアイデアの創造は、よく即興劇やジャズにたとえられます。ジャズの歴史で黄金のカルテットと言えば、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、マッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルビン・ジョーンズ(ドラム)のカルテットで、バンド全体が一体となって演奏を繰り広げるという表現方法を確立しました。

コンサートでは、1曲の演奏時間が30分から1時間に及ぶこともざらであったようです。このように才能豊かなそれぞれのミュージシャンが、1つの方向の下でひらめきの連鎖によって時にはぶつかり合いながらも調和していくことで素晴らしい演奏が生まれていったのです。

即興劇においても同様で、予期せぬ役者のセリフがきっかけとなって新しいセリフが創造され、即興的にストーリーが出来上がっていくのです。

即興性はアートやカルチャーの場面に留まらず、イノベーションを生みだすすべての場面で観察されます。即興型のチームが優れたアイデアを生み出すのです。


注:
複数の選択肢の中から正しいものを選ぶためには、「グループのメンバーが多様な意見を持っている」という条件が必要になります。これについては回を改めて取り上げます。

【参考】
「凡才の集団は孤高の天才に勝る」キース・ソーヤー著 ダイヤモンド社
「みんなの意見」は案外正しい」ジェームズ・スロウィッキー著 角川書店
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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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