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パートナーがダメだと頑張る?(社会的補償)①

当ブログの「集団になると人は手抜きする(社会的手抜き)①」で触れたように、自分が集団の中に埋没して自分のパフォーマンスが評価されない場合には、社会的手抜き(集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも1人あたりの努力の量が低下する現象)が生じます。


■ダメな同僚と組むとがんばる

しかしながら、このような状況でも、なお個人のパフォーマンスが上昇する場合がありえます。能力が劣っている他者と組んで作業を行う状況で、しかも作業成果がグループ全体で共有される(連帯責任)場合には、他者の不足分を補うべく個人のパフォーマンスが上昇することが生じる場合があります。これを社会的補償といいます。


■重要な課題の場合は手を抜いてられない

2人の被験者が共同作業をし、相手が自分より能力が高いと思った場合と低いと思った場合、作業内容が被験者にとって重要だと思う場合と重要ではないと思う場合で実験をした結果、次のことがわかりました。

作業内容の重要性が高い場合には、他者の能力が劣っているときに個人のパフォーマンスが上がる社会的補償が生じ、逆に、作業内容の重要性が低い場合には、他者の能力が低いときにパフォーマンスが低下する社会的手抜きが生じたのです。

社会的手抜きや社会的補償は、思い込みでも生じます。男性は数的処理能力が優れていて言語能力は劣り、女性は言語能力に優れていて数的処理は苦手という印象が強く広まっています。

ある実験で、性別にかかわらず2人を組ませて数学の問題を共同で解かせたところ、相方が女性の場合は正解率が79%、男性の場合は55%となりました。一方、言語問題の場合は、相方が女性の場合は正解率が62%、男性の場合は71%となりました。

つまり数学問題では、女性と組んだ男性は女性をカバーしようと努力するが、相手が男性の場合は手抜きをし、言語問題では逆に、女性と組んだ男性は手抜きをし、相手が男性の場合は相手をカバーしようと努力したのです。


■オフィスでも見られる社会的補償

同僚が手を抜くと自分も手を抜くかというと必ずしもそうではないことは、オフィスでも言えるようです。あるアメリカの大企業で働く168名を対象に調査したところ、仕事の内容や目標が重要である場合、同僚の意欲や能力が低いほど、その分を補うべく努力する傾向が見られたのです。

管理者としては、作業内容の重要性が高い場合には、社会的手抜きは生じにくいのですから、心配はないでしょう。問題は、作業内容の重要性が低い場合には、意欲や能力が低い者に全体が引きずられてしまうということです。これについては、個人の成果を見える化する、(本当は作業の重要性が高いなら)作業の意義を理解させるといったことが求められます。


【参考】
『人はなぜ集団になると怠けるのか』釘原直樹著 中央公論新社

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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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