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能力が低い人は集団になると頑張る?(ケーラー効果)

社会的補償が、集団内で能力が高い人が低い人をカバーするものであったのに対し、逆に能力が低い人が集団作業になると頑張ってパフォーマンスが上がる場合もあります。

■能力が低い人は集団になると頑張る?

能力が低い人が集団作業になると頑張ってパフォーマンスが上がる現象を、ケーラー効果といいます。

ケーラー効果は、結合的課題(メンバーの能力の下限に集団の成果が依存するもの。リレー形式のものが典型例)で現れやすいです。これは自分のパフォーマンスが評価されるからです。逆に頑張らなくても評価できない場合には、ケーラー効果は生じにくくなります。


集団作業で1人1人の貢献が評価できる場合、周りの人が優秀だと自分も頑張らないとやばいという気持ちになるということですね。

水泳のリレー競技を見ると、チーム内の上位の選手は記録が伸びないのに対し、下位の選手は記録が伸びることが確認されています。

またケーラー効果は、弱者と強者の能力がほどほどの場合に現れやすいことが確認されています。あまりに実力差があると、自分が頑張っても仕方がないと思ってしまうのでしょう。


■ケーラー効果が生じる理由

ケーラー効果が生じる理由としては2つ考えられます。

1つめは、上方比較によるものです。上方比較とは、自分のパフォーマンスが周りより劣る場合に、周りに近づくように努力するというものです。

2つめは、社会的不可欠性認知です。これは、自分の低能力のために集団全体のパフォーマンスを下げてしまい、集団に迷惑をかけるので、それを避けるために努力するというものです。

上方比較と社会的不可欠性認知は同時に働きますが、どちらかと言えば後者のほうの影響が強いことも分かっています。


■女性のほうがケーラー効果が生じやすい

女性のほうがケーラー効果が現れやすく、男性のほうが社会手抜きが現れやすいと言われています。

この理由としては、男女の指向性の違いから説明されています。女性は相互依存的、集団指向的であるのに対して、男性は独立的で個人指向的、自己主張が強く、対象を道具として見る傾向があり、社会的地位にこだわり、他者を支配する指向性があることがわかっています。

このことから、ケーラー効果は、男性の場合は上方比較によって単純に自分のパフォーマンスを上げたいから生じ、女性の場合は周りに迷惑をかけたくないとい社会的不可欠性認知によって生じることが推察されます。上方比較より社会的不可欠性認知のほうが強く働くので、女性のほうがケーラー効果が生じやすくなります。

社会的手抜きを防ぐためにケーラー効果を促すためには、どのようなことが考えられるでしょうか。男性・女性を一緒くたにするのもステレオタイプ的ですが、人によって説得の仕方を変えることは有効でしょう。

たとえば相手の指向に応じ、「君の頑張りに全体がかかっている」という社会的不可欠性を訴求する言い方や、「ここで頑張れば得られるものが必ずある」という上方比較を促す言い方を使い分けるということです。相手の指向を無視した言い方では効果がないでしょう。



【参考】
『人はなぜ集団になると怠けるのか』釘原直樹著 中央公論新社


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プロフィール

三枝 元

Author:三枝 元
1971年生まれ。東京都在住。読書好きな中年中小企業診断士・講師。資格受験指導校の中小企業診断士講座にて12年間教材作成(企業経営理論・経済学・組織事例問題など)に従事。現在はフリー。
著書:「最速2時間でわかるビジネス・フレームワーク~手っ取り早くできる人になれる」ぱる出版 2020年2月6日発売
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